ほぼ液体のネコ、「せまいすき間」と「低いすき間」どっちが苦手?

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Image: Nataliya Kuznetsova / Shutterstock

ネコの液状化に得手不得手があったとは。

これまでもいろんな研究が示唆してきましたが、やっぱりネコは液体だったようです。ネコと生活している人なら、研究結果が示さずともあり得ないすき間を通り抜けたり、自分より小さいスペースにすっぽりとおさまったり、尋常じゃないくらい平たくなったりしているのを目撃していますよね。

今回、ネコの体には流動性があって、しかも自身の体のサイズなど、身体的特徴を認識しているという研究結果が発表されました。

狭さと低さ、ネコが苦手なのはどっち?

ハンガリーのブダペストにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学の生物学者であるPéter Pongrácz氏が科学誌iScienceに発表した研究論文によると、ネコは高さがあれば狭いすき間でもスムーズに通り過ぎるものの、十分な幅があっても低いスペースを通り抜けるのはためらう傾向があるそうです。

2019年にイヌが小さなスペースを前に歩く速度を緩めて躊躇したという研究に携わったPongrácz氏は、「ネコはどうだろう?」と考え、今回の研究を行なうに至ったそう。

ただ、ネコは気性が荒かったりシャイだったりと、研究室でのテストが難しいため、持ち運び可能な実験セットをブダペストに住む29人のネコの飼主宅に設置したそうです。研究室の出張サービスですね。

用意した実験セットがこれ。

Equipments with various holes

Image: Pongrácz 2024 / iScience
A. 高さが同じで幅が徐々に狭くなっていく穴の開いたパネル と B. 幅は同じで高さが違う穴の開いたパネル

実験に用いられたのは、高さが同じで幅が徐々に狭くなる穴が5つ開いたパネル(上図A)と、幅は同じで高さが徐々に低くなる穴が5つ開いたパネル(上図B)で、パネルの片側に飼主が、もう一方に研究者とネコが位置して、飼主に向かって穴を通り抜けるネコを録画したといいます。

嫌がるネコもいたらしく、実験に付き合ってくれたのは38匹中30匹だったのだとか。思ったより確率が高い。筆者のネコは絶対にやらない自信あり。やらせようとしたらスプラッター映画になるの必至。

狭いの平気、低いの苦手

さて、気になる結果の方はというと、穴の高さは同じで狭さが違うパネルでは、最も狭い穴を前に立ち止まったネコは8匹だけしかいませんでした。ほとんどのネコが自分の体の幅の半分もないすき間を躊躇することなく通り抜けたのだとか。

一方、穴の幅は同じで高さが違うパネルを前に、30匹中20匹が自分の腰よりも低い穴を通り抜けるのにためらいを見せたそうです。で、通り抜けるのをあきらめて飛び越えるなど、別の解決策を模索したとのこと。箱にはまっても型にはまらないのは、さすがネコ。

体高があるネコほど、低い穴を避けようとしたといい、ネコの意思決定に体格の自己認識が関係している可能性があるそうです。

ネコにとってリラックスできるはずの自宅で実験を行なったので、未知の何かを警戒したとは考えにくいことから、体格を認識したうえでの自己防衛戦略かもしれないとも。

Pongrácz氏は研究論文で、ネコは狭い開口部を通り抜けるよりも、低い開口部を這うように通り抜ける方が難しいと感じるのかもしれず、ネコの解剖学的特徴がそれを裏付けていると述べています。

Pongrácz氏は、より難しい状況でネコが自分の体の大きさと体重を意識するのかどうか、それが意思決定過程にどんな影響を与えるかについて、今後も研究を重ねる計画だそうです。

筆者宅には大小さまざまなネコがいますが、たしかに背(体高)が高いネコはベッドの下の低いすき間に入ろうとしないので、この研究結果には納得です。

Source: Pongrácz 2024 / iScience

Reference: Lenkei, R., Faragó, T., Kovács, D. et al. 2020 / Animal Cognition, Science News, Science Alert

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