Open AI創設者の暗号通貨ネットワークが「ワールド」へ改称

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Image: © World via Gizmodo US

このオーブを見て、トキメキますか?

世界最強のAI企業を経営するテクノロジー界の大富豪サム・アルトマン氏は、多くのサイドプロジェクトを抱えています。その1つが今話題のワールドコイン。これはユーザーの虹彩をスキャンし、デジタルIDで個人を認証してオンライン決済を行なう新しいグローバル経済システム構想です。

ボットやAIコンテンツが横行する現代、プロジェクトの支援者は「デジタルIDはAIと人間を区別するのに非常に役立つ」と考えているようです。

たしかにその通りなのですが、ちょっと不自然な気もしますよね。だってアルトマン氏といえばOpenAIですし、ある意味、おたくの製品もデジタルフェイクを生成するAIを助長してるんじゃ…という気がしますよね。それをワールドコインで解決しようとするなんて、矛盾なんじゃ?…と。

ワールドコイン→ワールドに改称

ともあれ今週ワールドコインは、事業の刷新を発表しました。ワールドコインから「コイン」を外して「ワールド」と改称したほか、目新しい変化としては、コンパクトでスピーディ、かつ効率的とされるまったく新しい「Orb(オーブ)」が発表されたこと。同社のブログには、「Orbは、World ID保有者が人間であることや、固有の人であることを確認するための、包括的で安全な匿名デバイスです」と書かれています。

「最新バージョンでは、Orbは最先端のNVIDIA Jetsonモジュールを搭載しており、AI性能は旧バージョンの約5倍に成長。つまり、このバージョンのOrbはより高速で、より良く機能するということです。

それでも、主な問題がすべて解決されたわけではありません。

誰も自分の生体認証データを往年のSF映画『ウエストワールド』のデロス社のような美学とPR傾向の企業に(一時的にせよ)提供したくはないでしょうから」

今週サンフランシスコで開催されたイベントで、同社のアップデートが発表されました。プロジェクト担当幹部のリッチ・ヘリー氏は 「すべての人間にアクセスを提供するためには、より多くのOrbが必要です。おそらく現在の1,000倍は必要でしょう。Orbの数そのものだけでなく、より多くの場所により多くのOrbを増やす必要があります」と述べました。

ディストピア感は拭えない…

このプロジェクトが最初に登場したとき、米Gizmodoはワールドコインへのサインアップ体験をレビューし、この事業について「退屈」「まぎれもなくディストピア的」「シニカル」であると評価しています。

ワールドコイン(現:ワールド)はすでにサインアップ数200万以上だと主張していますが、少ない取り扱い金額で数を稼いでおり、まだまだ大衆に浸透しているとはいえません。

とはいえ、ワールドは今後の拡大を計画中。今週、コスタリカ、ブラジル、インドネシア、パナマ、アラブ首長国連邦、モロッコ、台湾、オーストラリア、ハンガリー、ルーマニアなど、多くの国に向けて、新たにこのディストピアチックなハードウェアを展開すると発表しています。

同社は生体認証データを保存しないと約束していますし、広告資料もあくまで親切でフレンドリーな雰囲気を醸し出しています。でも、なんとも奇妙で不気味なものに騙されているのでは…という警戒心を拭い去るのは難しいですね。

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