DJIのカメラ、『シビル・ウォー 』でハリウッドデビューを果たす
日本でも上映スタートした『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。
監督・脚本は『エクス・マキナ』、『アナイアレイション -全滅領域-』のアレックス・ガーランド氏。他にも脚本家としてカルト的ゾンビ映画の『28日後…』なども手掛けているベテランです。
自分は試写でいち早く観させていただきましたが、戦地におもむくにも関わらず軽装な報道「写真家」に対して、重装備の報道「映像カメラマン」といった扱いの差が印象的な映画でした。
ギズモード・ジャパンでは今回監督への単独インタビューをしていますが、とくにユニークだと感じたのは「撮影に使用されたカメラ」でした。
通常、大規模予算のハリウッド映画には、ドイツのARRIやアメリカのRED、ソニーのシネマカメラなどが使用されますが、今回の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』に使用されたのはDJIのRonin 4D。ハリウッド大作映画に本格的に使用されるのは今回がおそらく初めて。でもこのカメラの何がすごいのか?
これを買えば大体そろう
Ronin 4Dは簡単に言うと、スタビライザーの先っぽにレンズが付いたカメラ。
普通のシネマカメラは、買ったとしてもスタビライザーやモニター、外部データ記録用のストレージなどが別で必要になってきます。もろもろアクセサリーを買うとカメラ本体と同じかそれ以上の値段になることも。
一方でこのRonin 4Dはスタビライザーはもちろん、モニター、ストレージ、大容量バッテリーポート、などなどすべてが本体に合体しています。なので、一度買ってしまえばことが済む、コスパのいいシネマカメラなんです。
そんなRonin 4Dが『シビル・ウォー アメリカ最後の日』に使われたのは、本作の撮影監督であるロブ・ハーディー氏によると、手持ちの揺れがあるリアルな映像とスタビライザーの安定した動きの映像をRonin 4Dなら1台で追加機材なしで実現できたからとのこと。
通常、本作のような映画の撮影現場だとクレーンや三脚といった大型の機材が使用されることが多いですが、本作はストーリーボード(絵コンテ)が用いられず撮影されたこともあり、360度の環境でカメラをどこにでもセッティングできることが求められたとのこと。いちいちカメラを三脚からスタビライザーに移したりしていると撮影時間が減ってしまうので、Ronin 4Dのセッティングの簡単さが買われたのでしょう。
また、Ronin 4Dにもともと備え付けられている映像トランスミッターにより、外部のモニターにワイヤレスで伝送でき(その距離なんと最長6km!)、遠隔でRonin 4Dを操作もできる点も役に立ったとのこと。
本作ではRonin 4Dはサブカメラとしての活躍で、メインカメラは別途ソニーのシネマカメラが使われましたが、ソニーのFX3と関連して、コンシューマーも手が届くカメラがハリウッドの第一線で活躍し初めているのは特筆すべきでしょう。
ちなみに米Wiredによると、アレックス・ガーランド氏脚本の最新作『28年後』はiPhone 15 Pro Maxで撮影されているとか。今後のコンシューマー向けのカメラの活躍が楽しみです。
10/17 07:00
GIZMODO