日本コカ・コーラで学んだ、仕事の成否を大きく左右する「6つのステップ」とは?

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「営業は断られてから始まる」と言われる。だが、話術だけで成約に導けるほど甘くはなく、1度成功したアプローチが2度通用する保証もない。「買う・買わない」の決定権を相手が握る中、営業担当にできることは何か、すべきことは何なのか? 本連載では、日本一の営業成績を認められ、初めて地方ボトラーから日本コカ・コーラへの出向を果たした山岡彰彦氏の『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(山岡彰彦著/講談社+α新書)から、内容の一部を抜粋・再編集。顧客視点や組織力の大切さに気付いていく学びの足跡をたどる。

 第5回は、日本コカ・コーラで実践されている「成果の出る」仕事術を紹介する。

<連載ラインアップ>
第1回 「コカ・コーラを日本一売った男」が、上司のひと言で気づいた新規開拓のコツとは?
第2回 持てる資産を全て生かせ! 日本コカ・コーラのアメリカ人副社長から学んだ「組織営業」の極意とは?
第3回 日本コカ・コーラのセールスコンテストで日本一をとった男が、「社内営業」の大切さを知った“長老”の苦言とは
第4回 アイデアは10分で出す、日本コカ・コーラの上司から学んだ仕事をスピーディに進めるための原則とは?
■第5回 日本コカ・コーラで学んだ、仕事の成否を大きく左右する「6つのステップ」とは?(本稿)
第6回 組織の機能を使い切るには? 四国コカ・コーラ ボトリングで気付いたシンプルな「組織営業」の基本

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仕事を進める順序を間違えない

 日本コカ・コーラ社という外資系企業で働くことで得た最も大きな学びは「考えて、行動するまでの順序を正しく進める」ということです。これは、私にとって、仕事のみならず、自分の人生における最大の資産ともいえる学びです。

 私が学んだ「考えて、行動するまでの順序を正しく進める」ことを整理すると次のようになります。

1. まず状況を把握すること。これは事実ベースで現状を捉えることです。

2. 次に問題を整理し、課題を抽出する。ここでの問題は目的の障害となる事象を指し、課題は目的とする状態とのギャップです。これを解決すれば目的を達成できるというものです。

3. 目的を達成するための目標を設定します。何を、いつまでに、どのくらいといった数値で表されるもの、もしくは、ありたい姿、具体的なかたちといった目に見えるものが目標にあたります。

4. 目標が定まったら、それを到達に導くための戦略を立てます。戦略的という言葉は頻繁に使われていますが、少し曖昧に捉えられているのではないかと思います。戦略は方向性とも言われますが、目に見えないものです。それゆえに、指針といったほうがわかりやすいかもしれません。

5. 戦略で方向性を定めたら、戦術を立てます。戦術はどのように活動を進めるのかという具体的な施策になるものです。

6. 最後に戦術を活動レベルで実行に移すということになります。

 じつはこの考え方で行動ができているか否かが、仕事のできる、できないに大きく影響します。営業現場の例をあげれば、担当地区の今月の売り上げが目標を下回っているので、なんとかマイナス分を補うよう指示を受けたとします。

 ここでありがちなのが、「じゃあ、この製品を値引きして売ってこよう。この店にお願いしに行こう」といった具合に、戦術からいきなり始めるというパターンです。いわゆる交渉事が上手い人、営業トークが優れている人ならそれである程度はできるのかもしれませんが、長くは続きません。

 このケースであれば、売り上げが低迷している状況を把握して、何が問題でどういった課題があるのかをつかむことが最初に行うことになります。課題が見えてくると解決に向けた戦略が立てられます。

 戦略を立てたうえで戦術を考え、具体的な活動を進めていく訳です。闇雲に活動を始めても、効果が得られないばかりか逆効果のことをしてしまうことになりかねません。

 日本コカ・コーラ社で働くようになって間もない頃、藤野さんから店頭での販促プランを考えるよう指示がありました。早速、1つのプランを立てて提示します。現場で培った感覚の見せどころです。

「セットメニューを対象にしたポイントをためるプロモーションはいかがでしょうか」

「なぜ、そのセットメニューなの。どうしてポイントにしたの?」

 シートに目をやりながら、最初から切りかかってくるような質問が飛んできます。

「はい、これがいまのトレンドですし、ポイントプロモーションは他より高い効果があります」

 なんとか切り返します。

「根拠は何、現状はどうなっているの?」

「現状ですか…、現場経験からこれが一番だと判断しました」

 たちまち返答に窮します。

「根拠はないのね。じゃ、どんな方向で進めようと考えたの。目標はどこ?」

「方向ですか…、目標…」

 もう次の言葉がありません。

「現状もわからない。方向性もはっきりしない。目標もない。闇雲に考えて、これをやろうじゃ、本当に市場の現状に応える販促にならないじゃない」

 いきなり具体策から考えたのですから、その傘となる考えがないのは当然です。しかし、よく考えてみると、何もわからないまま行動を起こすのと何ら変わらない状態は確かに無謀です。

 営業は、個人的な交渉スキルやその人が持つ独自の強みが取りざたされますが、どんなに個人的な能力に秀でていても、アプローチする方向を間違えていると目指す成果は得られません。

 戦術は戦略に勝てないのです。「考えて、行動するまでの順序を正しく進める」ということです。

<連載ラインアップ>
第1回 「コカ・コーラを日本一売った男」が、上司のひと言で気づいた新規開拓のコツとは?
第2回 持てる資産を全て生かせ! 日本コカ・コーラのアメリカ人副社長から学んだ「組織営業」の極意とは?
第3回 日本コカ・コーラのセールスコンテストで日本一をとった男が、「社内営業」の大切さを知った“長老”の苦言とは
第4回 アイデアは10分で出す、日本コカ・コーラの上司から学んだ仕事をスピーディに進めるための原則とは?
■第5回 日本コカ・コーラで学んだ、仕事の成否を大きく左右する「6つのステップ」とは?(本稿)
第6回 組織の機能を使い切るには? 四国コカ・コーラ ボトリングで気付いたシンプルな「組織営業」の基本

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