部下を“茹でガエル”にするマネジャーの、典型的なチームの状態の捉え方とは
チームの状態を正しく評価することは難しい。自分の印象で捉えるだけのマネジャーは、具体的な指導ができないから「もっと頑張れ!」と声援を送るだけになる。だが、檄(げき)を飛ばすだけではチームのパフォーマンスは高まらない。キーエンスでマネジャー経験がある岩田圭弘氏は、「数値化しなければ、チームの状態が良いのか悪いのか判断できない」という。本連載では、『数値化の魔力“"最強企業”で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド』(岩田圭弘著/SBクリエイティブ)から内容の一部を抜粋・再編集し、チームのマネジメントに欠かせない数値化の基本を紹介する。
第7回は、チームのマネジメントに欠かせない数値化について解説する。
<連載ラインアップ>
■第1回 毎日の業務を数値化すると、なぜ“10倍速の成長”が可能になるのか
■第2回 “会社から与えられた目標”をゴールに設定すると、なぜ未達に終わるのか
■第3回 仕事の成果が低い時、「能力不足かも」と悩む前にすぐやるべきこととは?
■第4回 「行動の量」を増やすことが、“根性論”にならない理由とは?
■第5回 「行動の量」を増やしても、残業が増えない発想とは?
■第6回 なぜ、「数値目標が設定しにくい業務」の数値化が重要なのか?
■第7回 部下を“茹でガエル”にするマネジャーの、典型的なチームの状態の捉え方とは(本稿)
■第8回 数値化が苦手なマネジャーは、なぜ感情的に部下を叱るのか?
※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。
<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者をフォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
●会員登録(無料)はこちらから
マネジメントでも活きる“キーエンスの数値化”
キーエンスでは、マネジメントにおいても数値化が大いに活かされています。
そこでここからは、マネジャーが組織の成果を最大化するために数値化を活かす考え方とノウハウについて解説していきます。
■キーエンスでは「マネジメントでも」数値化が徹底されている
ここまで個人のプレイヤーとしての数値化についてお話ししてきましたが、実はチームにおいても数値化の考え方の基本は同じです。
キーエンスでは「目論見」として、その半期に目標を達成するためにはどのようなプロセスで業務を遂行すべきであるかということを毎月モニタリングする文化があります。
このチーム単位でのモニタリングは個人単位でのモニタリング以上に重視されている印象がありました。
キーエンスでのチーム単位とは、事業部全体でもあり事業所単位でもあり、また部署単位でもあるという重層的な単位を示します。
これらの各単位で重層的に数値化によるマネジメントが実施されているのです。
実際、私自身も同社のマネジャーであったときには、チームのマネジメントに数値化は欠かせませんでした。
数値化しなければ、チームの状態が良いのか悪いのか判断できないためです。
たとえば受注件数だけ見ていても、その数値が何を示しているのかは、目標から逆算した数値を基準にしなければ理解できません。
受注件数が前年よりも伸びているからといって、目標がそれ以上に高く設定されていれば、決して良好な状態とは言えないのです。
またチームのメンバーに対して闇雲に「受注件数を増やせ」と指導しても、メンバーの一人ひとりは何をどのように努力すればいいのかわかりません。
檄を飛ばすだけではマネジメントしているとは言えないのです。
ですから、本書で述べてきたようにKGIからプロセスごとのKPIを逆算して、それが達成できているかどうかを確認するという点では、チームにおいても個人のプレイヤーが行ってきた数値化と同じ考え方が必要になります。
ただし、単位がチームに変わることによる注意点がありますので後述します。
■なぜ、マネジメントにも「キーエンスの数値化」を取り入れるべきか?
そこで、そもそもマネジメントにも「キーエンスの数値化」を取り入れるべきである理由を確認しておきましょう。
その理由とは、一言で言えば「茹でガエルになってしまわないため」です。
マネジメントにおいて最も危険なことは、「変化に気づかない」ことです。チームの働きぶりを感覚的に捉えていて、「なんとなくうまくいっている」などと思っていたら、実際には成果を上げていなかったということはよくあります。
このようにチームの状態を印象で捉えていてはマネジャー失格だと言わざるを得ません。
キーエンスでも振り返りをするミーティングがありましたが、業績の悪いチームは「その変化にいつ気づいたのか?」ということが話題になることが多かったです。
やはりマネジャーは、KGIからプロセスごとに逆算したKPIが達成されているかどうかを数値で把握できていなければならないのです。
それも半期や月次、そして日次で確認できていなければ、どのタイミングでどのプロセスに手を入れなければならないのかなどわかるはずがありません。
これらの数値を把握できていないマネジャーは、メンバーに対して具体的な指導をできませんから、「もっと頑張れ!」といった声援を送るだけになってしまいます。
それではチームの生産性を高めることやメンバーのモチベーションを高めることはできないでしょう。
逆に、プロセスごとの数値がKPIを達成できているかどうかを日次で追跡できているマネジャーであれば、本来あるべき理想の状態を具体的に把握できていますから、部下に対して具体的な改善策を指示することができます。
その結果、部下も自分が何をすべきか明確に理解できるので、マネジャーを信頼して行動することができます。
しかも、実際に成果を上げることができますから、チーム全体のモチベーションを高い状態で維持することができます。
これが、チームにおいて「キーエンスの数値化」を取り入れるべき理由です。
<連載ラインアップ>
■第1回 毎日の業務を数値化すると、なぜ“10倍速の成長”が可能になるのか
■第2回 “会社から与えられた目標”をゴールに設定すると、なぜ未達に終わるのか
■第3回 仕事の成果が低い時、「能力不足かも」と悩む前にすぐやるべきこととは?
■第4回 「行動の量」を増やすことが、“根性論”にならない理由とは?
■第5回 「行動の量」を増やしても、残業が増えない発想とは?
■第6回 なぜ、「数値目標が設定しにくい業務」の数値化が重要なのか?
■第7回 部下を“茹でガエル”にするマネジャーの、典型的なチームの状態の捉え方とは(本稿)
■第8回 数値化が苦手なマネジャーは、なぜ感情的に部下を叱るのか?
※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。
<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者をフォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
●会員登録(無料)はこちらから
06/14 06:00
JBpress