鈍行少ない、「特急率」が高い鉄道路線ランキング
「特急率の高い区間」をいかに通り抜けるか
この夏の「青春18きっぷ」の利用期間が終了した。いま、この記事を読まれている方の中にも「18きっぷ」を利用して遠くへ出かけたかたもおられるだろう。また、出かけることはできなかったものの、乗り継ぎの計画だけ立てたという方もいるだろう。
私も、この夏は「鉄印集め」、「ライブ鑑賞」など、目的別にいくつかプランニングをして、中からいくつかのプランを実行した。そんな乗り継ぎプランを作成している際にポイントとなるのが、特急は結構な本数走っているのに、普通列車、快速列車の運転本数が極端に少ない、「特急率の高い区間」をいかにして通り抜けるかということだ。
普通列車、快速列車には有効期間内であれば何度でも乗車できる「18きっぷ」。だが、特急や新幹線に乗車する場合は、特急券、新幹線特急券だけでなく、乗車券も購入しなければ乗ることができない。そんな「18きっぷ」ならではのルールもあって、時刻表をめくると特急率が高い区間というのが目に付いてしまう(こういった事象が起こるのは、普段より冊子の時刻表を読み込むのが趣味という私の特性もあるのだが)。そこで今回は、全国のJR線の特急率が高い区間を調査。その特急率と増加率を調べてみた。
データは2024年8月号の時刻表から私が手計算で調査したもの。そのため、数値のズレがあるかもしれないが「特急ばかり走っている区間って結構あるんだな」「うちの近くにも特急ばかりの区間があるんだ」ぐらいの気持ちで読んでいただけたらありがたい。
全国21路線が「50%以上が特急」
平日に運転される列車のうち、50%以上が特急というところは、普通列車の運行本数に合わせて細かく分類すると全国で21路線46区間あった。会社別にみると、JR北海道6路線16区間、JR東日本3路線5区間、JR東海1路線2区間、JR西日本5路線8区間、JR四国3路線8区間、JR九州3路線7区間となった。ざっくり分類すると全国24区間で、こんな感じだ。
1位は石勝線・新夕張―新得間
さらに特急率70%以上に絞り、特急率の高い順にランキングするとこのようになる。
特急率70%以上となる区間は峠越えなどがあるところが多く、生活圏、文化圏をまたいではしるところばかり。主に地域の人が利用する普通・快速列車が少ないもの致し方ないというところだ。ちなみに1位の区間は石勝線が開業以来普通・快速列車が1本も走っていない(そのため、特急でも「青春18きっぷ」に乗車できるという特別ルールがある)。
だが、中には石勝線の追分―新夕張間、中央本線の木曽福島―中津川間のように峠越えを含まない区間もある。そこで、特急率70%を超える13区間について、10年前の時刻表と特急率を比較してみると、このような結果となった。
特急が減ると、運賃が上がる?
特急しか走らない石勝線の新夕張―新得間、JR九州の2区間、秋田新幹線の通る田沢湖線、山形新幹線の通る奥羽本線は数値に大きな変化がなかったが、普通列車の削減によりJR四国の3区間で特急率が5%以上、JR東海で15%、JR北海道では18~31%ほど上昇していた。さらにJR北海道函館本線の滝川―旭川間では、特急列車を削減する動きが進み、その結果特急率が減少するという現象まで起こっていた。
特急列車が増え、普通・快速列車の利用者が特急に乗るようになれば収益が上がる。これまで鉄道会社はそのようなビジネスモデルで特急率を上げ、運賃の値上げを最小限に抑えていたと思われる。が、函館本線の滝川―旭川間のような、特急列車さえも削減しなければならない現象が広がれば、乗車券の大幅値上げなどの新たな動きが起きてくるだろう。
(渡辺 雅史 : 時刻表探検家)
09/23 07:00
東洋経済オンライン