未上場企業「CSR企業ランキング」トップ15社

1位になったNTT西日本(撮影:ヒラオカスタジオ)

『週刊東洋経済』2024年2月10日号で発表した第18回「CSR企業ランキング」(2024年版)。今回は未上場企業に対象を絞った同ランキングを上位15位まで紹介する。

評価には、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』『同(ESG編)』2024年版掲載情報を用いた(ランキングの基データや作成方法などの解説はこちら)。上場企業を対象とした「CSR企業ランキング」とは異なり、財務得点は使わず、CSR得点のみでランキングしている。なお、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2024年版には上位45位まで掲載している。

1位となったNTT西日本の働き方

1位はNTT西日本(得点は291.9点、以下同)。人材活用6位(96.3)、環境2位(98.9)、企業統治+社会性28位(96.7)といずれも高位だった。

同社の特徴として、ワーク・ライフ・バランスに優れた職場環境の整備が挙げられる。コアタイムのないフレックスタイム制度や勤務間インターバル制度を導入している。有給休暇取得率は95.5%と高水準だ。育児休業も男女ともにほぼ全員が取得できている。また、本業を継続しながら募集のある社内の別業務に従事できる「社内ダブルワーク制度」など、従業員の自律的な働き方も後押ししている。

次点はサントリーホールディングス(291.1)。人材活用18位(94.4)、環境1位(100)、企業統治+社会性28位(96.7)といずれもトップクラスだが、僅差で2位となった。

同社は「水と生きる」をコーポレートメッセージに掲げているように、上場企業に引けをとらない規模で環境保全に取り組む。例えば、日米欧すべての自社生産・研究拠点および国内集合拠点の再エネ電力化を2022年末に完了させている。CO2を排出しない「グリーン水素」を製造する「やまなしモデルP2Gシステム」を、2025年に一部の自社工場へ導入予定だ。

3位は前回首位のNTTドコモ(287.7)だ。同社は社員の社会課題への関心を喚起するために、全社員に向けたWeb研修を毎月実施するほか、経営層向けの研修や支店・支社向け勉強会などを行う。各拠点で情報発信・行動推進を行う「カボニューアンバサダー」を募り(2022年度は全国約350人)、積極的に社内浸透に取り組む。同社のボランティア参加者数は9100人とトップクラスだ。

以下、4位NTT東日本(281.8)、5位NTTアーバンソリューションズ(280.7)、6位NTTコミュニケーションズ(278.4)と続き、NTTグループが上位を占めた。

7位のファミリーマート(275.4)は、小売業の未上場企業トップ。2500超の店舗で太陽光発電設備を導入するほか、フィンランドのNeste社と協働で、コンビニ配送車両へのリニューアブル燃料導入の実証実験に取り組む。

10位は物流事業のロジスティード(旧日立物流)(266.6)だ。2023年の上場廃止後も取締役会の過半数を社外取締役で構成するほか、同じく社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会を設置するなど、ガバナンス体制は上場企業と遜色ない。執行役員の年次賞与評価指標にCO2削減量を採用するなど、サステナビリティの視点を経営にも採り入れている。

未上場企業でもCSR・サステナビリティの意識に変化

近年は、未上場企業もCSR・サステナビリティの取り組みを強く意識するようになった。『CSR企業総覧』2024年版掲載の未上場企業は69社と、同2020年版の44社から徐々に増加している。

ここ数年で上場企業のCSR・サステナビリティに関する意識は大きく変わった。本ランキング上位の企業は、上場企業に匹敵する大企業が多いが、今後はサプライチェーンを通じて、地方の未上場企業などでも積極的に取り組みを推進する企業がより増えていくかもしれない。

なお、各企業の取り組みの最新情報は『CSR企業総覧』2025年版(2024年12月上旬発売予定)に掲載予定だ。

(村山 颯志郎 : 東洋経済『CSR企業総覧』編集長)

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