嫌な事を言ってくる子に「やめて」と伝えるべき訳

クラスメイト 不快

いやなことを言ってくるクラスメイトにどう接したらいいのでしょうか(写真:つむぎ/PIXTA)
学校生活でいやなことを言ってくるクラスメイトにどう接したらいいか悶々とする。友だちに一緒に遊ぼうとせっかく誘ってもらったのに用事があって行けない。大人に置き換えても難しい場面ですが、子どもなら、どう話すのがよいのでしょうか。
子どもの小学校生活で、「仲間に入りたい」「いやなことを言わないでほしい」「教えてほしい」「意見を言いたい」など、シチュエーションにあわせた言い方と、その考え方を紹介している齋藤孝さんの新刊『こんなときどう言う?事典』より一部抜粋、再構成してお届けします。

「いやだ」と思った時点で相手はやめるべき

<変なあだ名をつけたりいやなことを言ってくる人がいるんですけど!>

基本)「やめて」って言おう
できる!)「それを言われるとちょっと気持ちが落ち込むんだけど」と軽く言ってみる
これだけでもOK)先生に相談するのがいいと思う

<いやなことは「やめて」って言おう>

変なあだ名できみを呼んだり、いやなことを言ってくる人は、わざと言っている場合もあるし、こっちがいやだと思っていることに気づかないで、言い続けているかのどちらかだと思うんだ。

これは「どっちならば許せるか」とか、「わざとじゃないならいい」といった話ではなく、きみが「いやだ」と思った時点で、相手はやめるべきことですよね。

だから、まずは「やめて」と伝えたほうがいいと思います。

遠回しに言うと、「本当はいやがってないんだろうな」と思われてしまう可能性があるから、きみの「本当にいやなんだ」という気持ちを、はっきりと伝えたほうがよいと思うんです。

「『いやだ』と伝えて、相手が傷ついたらどうしよう」と、考える人もいるかもしれないけれど、すでにきみは傷ついています。つまり、すでに「だれも傷つかない」という状態ではなくなっています。

だから、まずは一言、「やめて」と伝えること。そして相手がやめてくれたら、それ以降は引きずらないで、これまでどおり仲よくしたり、おしゃべりしたりすればいいと思いますよ。

それでも、やっぱり「やめて」と言いにくいときには、「それを言われると、落ち込むんだけど」と、きみの気持ちを伝えてみましょう。その場合には、「いやな気分」「つらい」「うれしくない」とか、「いやだ」を言い換えたような言葉を使うと、相手に「やめてほしい」という気持ちが伝わりやすくなります。

どうしてもやめてくれなければ先生に相談しよう

もし、ここまできみが伝えながらも、相手がやめてくれない場合には、先生に相談しましょう。 そのときには、「○○さんに、変なあだ名をつけられてしまい、とてもいやです」と、いやなことだけを先生に伝えてください。相手のことをバカにしたり、必要以上にけなしたりしないようにしてくださいね。

あまりにもきみを傷つけるようなことを言ったり、きみが我慢できないと感じたりしたなら、その人とは無理に仲よくする必要もないと思うんだ。「でも、友だちだから」と考える必要もないんじゃないかな。だって、きみを傷つけるような人は、友だちとはいえませんから。きみは、きみのことを傷つけず、お互いに思いやりをもてるような人たちと、仲よくしたほうがいいよね。

まずは「やめて」と伝えて、やめてくれなかったら先生に相談する。あとは必要以上に気にせずに、「おはよう」などのあいさつをするだけの関係にしていけばいいと思います。 それにクラス替えをして、別のクラスになったら、顔を合わせなくもなりますし、まったく気にならなくなったりもします。

POINT やめてほしいことは「やめて」とハッキリ言おう

<「いっしょに公園で遊ぼう」ってせっかくさそってくれたのに、家族との予定があって、どうしよう!>

基本)「ほかの用事があって……」と理由をそえて断る
できる!)「木曜はダメだけど水曜と金曜なら大丈夫」とか、ほかの案を出すといいよ
これだけでもOK)さそわれてうれしい気持ちを伝えよう

<理由をそえて断れば相手もわかってくれるよ>

さそいを断るときには、必ず理由を言うようにします。

たとえば、「その日はおじいちゃんおばあちゃんの家に行く予定があるんだ」みたいな感じですね。すると相手も、「じゃあ仕方ないか」と思ってくれやすくなるんです。

これがただ「行けない」「無理」みたいにバッサリと断っちゃうと、相手もムッとして「せっかくさそったのに!」「あんなこと言わなくても!」なんて思いやすくなるんだ。

この「理由を言うか言わないかで、相手の気持ちが変わる」というのは、じつは実験でもわかっていることなんです。

その実験は、駅にある切符の自動券売機の前に並んでいる人の列に横入りする、というものなんだ。横入りってずるいことだから、並んでいる人は当然いやがります。「なんで横入りするんだよ!」「みんな、ちゃんと並んでるんだぞ!」みたいにね。

でも、横入りをするにしても、「じつは家族の具合が悪くて、急いで帰らなくてはならないんです」などと理由を話すと、並んでいた人たちはおこらなくなります。それどころか、「どうぞ先に買ってください」という雰囲気にもなるんだよね。断るにしても、理由を言うのと言わないのでは、相手の受け取り方にかなり差が出るんです。

理由を言いにくい場合には、「用事があるんだ」みたいに、ぼかして伝えてもいいんじゃないかな。たとえば、「勉強をしたいから」と言ってしまったら、「勉強なんてあとでいいよ」と言われそうですよね。そういうときは、「用事がある」でOKです。勉強だって大事な用事の一つですよね。

『こんなときどう言う?事典』より引用

代わりの提案をしてみよう

理由を話してきちんと断ったら、まずは「さそってくれてありがとう!」と伝えて、できれば「その日はダメだけど、この日は大丈夫だよ」と、代わりの提案をしてみてほしいんだ。

「べつの日ならOK」と伝えることで、相手も「自分がいやで、断ったわけじゃないんだな」と、ホッとしてくれると思うんだよね。

そして最後に「またさそってね」と伝えることも大切です。この一言があるとないとでは、相手の気持ちが全然違います。

POINT 「またさそってね」という気持ちを伝えよう

こんなときどう言う?事典

(齋藤 孝 : 明治大学教授)

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