業績悪化の「日産自動車」三菱自動車株を売却 河⻄⼯業を新規保有 2024年11月の大量保有報告書  

M&A Onlineが大量保有データベースで2024年11月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、日産自動車が三菱重工業、三菱商事、三菱UFJ銀行と共同保有している三菱自動車株の9.96%を売却し、保有割合を56.44%から46.48%に引き下げ、日産自動車単独では三菱自動車株の保有割合が34%ほどから24%ほどに下がったことが分かった。

日産自動車では売却の理由を「将来の成⻑機会に備えるとともに、財務の柔軟性を高めるため」としている。

人員削減などの合理化策も

日産自動車は2024年11月7日に発表した2025年3月期第2四半期決算で、営業利益が前年同期比90.2%の大幅な減益に陥った。米国や中国、日本での販売が振るわなかったためで、生産台数は7.9%減少した。

このため同日に通期の見通しを下方修正し、第1四半期時に6000億円から5000億円に引き下げていた営業利益をさらに1500億円(前年度比73.6%減)に引き下げた。

また業績予想の修正と同時に世界の生産能力の20%削減や、9000人の人員削減、会社資産の合理化などからなる再建策を発表しており、三菱自動車株の売却はこうした取り組みの一環とみられ、売却額は700億円ほどに上る。

一方、日産自動車は⾃動⾞内外装部品の開発や製造を行う河⻄⼯業の株式の29.14%を新規保有した。

河⻄⼯業が実施する第三者割当を引き受け総額60億円を出資すると、2024年5月に発表しており、日産自動車では今回の株式保有については「投資契約に基づく政策投資の一環(重要提案行為等を行うことを含む)」としている。

麻生が住石ホールディングスを子会社化

このほか11月は麻生が、石炭事業が主力の住石ホールディングス株を2度買い増し(12.43%)、保有割合を50.64%に高めた。保有の理由は「子会社化することを目的とした保有(重要提案行為等を行うことを含む)」としている。

麻生は福岡県飯塚市に本社を置く企業で、医療や不動産関連の事業を手がけるとともに投資にも積極的で、2024年9月には海上土木を手がける若築建設の株式を1.01%買い増し、保有割合を36.78%に高めたほか、10月には弁当店「ほっかほっか亭」を展開するハークスレイの株式を1.74%買い増し、保有割合を9.96%にしている。

旧村上ファンド系の南青山不動産は、橋梁やマンションなどを手がける三井住友建設の株式を3度買い増し(3.52%)、保有割合を20.65%に引き上げた。

南青山不動産が三井住友建設株を買い増すのは4カ月連続で、保有目的を「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。

2024年11月の大量保有報告などの提出件数は940件で、このうち保有割合を増やしたのは286件、新規保有は135件、保有割合を減らしたのは453件、契約の変更などは66件だった。

文:M&A Online記者 松本亮一

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