引っ越しの「アート」宅配便のヤマトの関連会社を完全子会社化
引っ越し事業を展開するアート引越センター(大阪市)は2025年1月に、宅配便最大手のヤマトホールディングス<9064>が保有する、家財宅急便事業や引越事業を手がけるヤマトホームコンビニエンス(東京都中央区)の49%の株式を取得する。
アートは2022年に、ヤマトからヤマトホームコンビニエンスの51%の株式を取得しており、今回の株式取得でヤマトホームコンビニエンスはアートの完全子会社となる。
ヤマトは株式売却後もアートと連携して「らくらく家財宅急便」と「海外引越」のサービスを継続する。
アートは株式取得と同時にヤマトホームコンビニエンスの社名を「アートセッティングデリバリー」に変更する。
アートとヤマトは、双方の経営資源を生かしながら協業し、大型家財の配送事業の拡大と引越事業の高度化を進めるとしている。
大型家財配送と引っ越しの相乗効果を確認
ヤマトホームコンビニエンスは、大型家財の配送サービス「らくらく家財宅急便」や、単身者向け引越サービス「わたしの引越」などのサービスを提供している。
アートは、コロナ禍の影響で急拡大した大物家具や家電などの配送を新たな事業の柱にすることを目的に、2022年にヤマトホームコンビニエンスの経営権を取得した。
ヤマトホームコンビニエンスの持つ開梱、設置、回収での高い品質に、アートのネットワークを組み込むことで、利便性の高い、高品質なサービスの構築に着手。
買収から2年半強が過ぎた現在、大型家財の配送事業と引越事業の相乗効果が確認できたため、さらなる成長を目指して、ヤマトホームコンビニエンスを完全子会社化することにした。
東京商工リサーチよると、ヤマトホームコンビニエンスの2023年3月期の売上高は282億7800万円(前年度比15.5%減)、当期損益は28億3100万円の赤字(前年度は214億8900万円の黒字)だった。引越事業は好調だったものの、家財宅急便事業が振るわなかったという。
アートとヤマトの協業の影響は
一方、アート引越センターは、1968年創業の寺田運輸が、1976年に立ち上げた事業で、1990年にアートコーポレーションに社名を変更したあと、2004年に東京証券取引所市場第二部に上場(2005年に東京証券取引所市場第一部に指定替え)した。
2011年に創業家によるMBO(経営陣による買収)に伴い、株式を非上場化したあと、2022年に社名を再びアート引越センターに戻した。
東京商工リサーチによると、2023年9月期は売上高788億6800万円(前年度比2.2%増)、当期利益46億2900万円(同22.0%増)の増収増益だった。
アートとヤマトの協業は、大型家財や引っ越しのビジネスにどのような影響を及ぼすだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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09/02 06:30
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