スタートアップワールドカップ2024九州予選 StapleBio(ステイプルバイオ)が優勝

スタートアップによるピッチ(事業計画の短いプレゼン)コンテスト「スタートアップワールドカップ2024九州予選」が2024年8月27日に、熊本城ホール(熊本市)で開催され、次世代核酸医薬技術である「ステイプル核酸」を用いて創薬に取り組んでいる熊本大学発スタートアップのStapleBio(ステイプルバイオ、熊本市)が優勝した。

同社は京都予選(2024年5月21日開催)の優勝企業で、知的障害のある作家のアート作品をデータ化するとともに著作権の管理などを行うヘラルボニー(盛岡市)と、東京予選(2024年7月19日開催)の優勝企業で、ブロックチェーン技術によるゲームアイテムNFT(非代替性トークン)を提供しているDigital Entertainment Asset(シンガポール)の2社とともに、2024年10月に米シリコンバレーで開催される世界決勝戦に出場する。

世界決勝戦では世界106カ国と地域で行われた予選を勝ち上がった企業と、優勝投資賞金100万ドル(約1億4300万円)の獲得を目指して、ビジネスの有望性などを競い合う。

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希少疾患の治療薬の開発に期待

九州予選は京都、東京の予選よりも多い233社が応募し、主催者で米シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるペガサス・テック・ベンチャーズ(日本法人は東京都港区)が、書類審査で絞り込んだ11社がピッチを行った。

優勝したStapleBioの勝田陽介取締役CSO(最高科学責任者)は「このような賞をいただき、感謝します。ただ、我々が本当に評価されるのは、世の中に薬を出した時だと思っています。薬を一つ出すことが目標ではなくて、二つ目、三つ目を出せるように淡々とやっていきたいと思っています。そういう会社でありたい思っており、その目標に向かって一生懸命がんばっていきます」とあいさつした。

同社が手がけるStaple核酸は、たんぱく質の合成に関わるRNA(リボ核酸)の構造を変えることで、たんぱく質の発現量を治療目的に応じて制御することができる技術で、病気数7000、患者数3億人と言われる希少疾患の治療薬の開発につながるとして、期待が寄せられている。

また、今年新たに、スタートアップなどへの投資を行っている投資会社のALHD(東京都品川区)による特別賞「ALHD賞」が設けられ、東京、京都、九州の全予選登壇企業の中から、ホテルや飲食店と食品工場を結び、仕込みの代行を行っているシコメルフードテック(東京予選の登壇企業、東京都渋谷区)に、5000万円の投資賞金が贈られた。

熊本、福岡、北九州、別府の4市長が共同宣言

ピッチコンテストに先立って行われた、大西一史熊本市長、高島宗一郎福岡市長、武内和久北九州市長、長野恭紘別府市長ら4市長によるパネルディスカッションでは、それぞれの都市が取り組んでいるスタートアップ支援策を紹介。

ディスカッションの終わりに、九州が一体となって、九州から世界で活躍するグローバルなスタートアップを創出することを目的にした3項目からなる「グローバルスタートアップ・エコシステム創出宣言」を行った。

共同宣言風景

共同宣言の様子、左側3人目から右に、大西一史熊本市長、高島宗一郎福岡市長、武内和久北九州市長、長野恭紘別府市長

文:M&A Online記者 松本亮一

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