香港投資ファンドのオアシスが「小林製薬」を新規保有 クスリのアオキや大黒屋は売りに 2024年7月の大量保有報告書

M&A Onlineが大量保有データベースで2024年7月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントが紅麹サプリ問題で揺れる小林製薬の株式の5.2%を新規保有(報告義務発生日は2024年7月22日)したことが分かった。

オアシスは保有目的を「ポートフォリオ投資および重要提案行為」としたうえで、「株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある」としている。

報告書の提出は2022年11月以来

小林製薬は2024年7月23日に、紅麹サプリを摂取した人に多数の健康被害が出た問題の責任を取って、小林一雅会長と小林章浩社長が辞任することを決めた。

同社の株価は、2024年3月の事件発覚後に大きく下落したが、足元は発覚前の水準にまで戻している。

2024年5月10日に発表した2024年12月期第1四半期決算では、紅麹製品の回収関連費用として、38億6200万円を特別損失として計上しており、同期の当期利益は前年同期比72.9%減の9億7600万円に落ち込んだ。

小林製薬に関する大量保有報告書の提出は、2022年11月にマサチューセッツ・ファイナンシャル・サービセズ・カンパニーが1.23%手放し保有割合を4.39%に引き下げて以来となる。

オアシスは小林製薬のほかに、人材派遣業のパソナグループの株式を5.02%新規保有したのをはじめ、キャッシュレス決済サービスやベンチャー投資などを手がけるデジタルガレージの株式についても3.24%買い増し、保有割合を12.5%に高めた。

トヨタ自動車がアイシン株を売却

このほか7月は、トヨタ自動車系の部品メーカーのアイシンの株式について、トヨタ自動車が2.67%売却し、保有割合を20%に引き下げたほか、豊田自動織機も4.17%手放し、保有割合を2.63%にした。

両社はともに報告書の提出理由を、保有割合が1%以上減少したことに加え「担保契約等重要な契約の締結」としている。

北陸の大手ドラッグストアであるクスリのアオキホールディングスについては、同社社長の青木宏憲氏が0.51%売却し保有割合を16.94%に、同社副社長の青木孝憲氏が0.1%売却し保有割合を15.13%に、それぞれ引き下げた。いずれも報告書の提出理由を「株券等に関する重要な契約の変更」としている。

また、中古ブランド品買い取り事業を手がける大黒屋ホールディングスについて、同社社長の小川浩平氏が3度売却(3.5%)し、保有割合を31.8%に引き下げた。

2024年7月の大量保有報告などの提出件数は1149件で、このうち保有割合を増やしたのは371件、新規保有は143件、保有割合を減らしたのは549、契約の変更などは86件だった。

文:M&A Online記者 松本亮一

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