ルネサスエレクトロニクス、アルティウム買収を来週中に完了
ルネサスエレクトロニクス<6723>は25日に開いた2024年12月期第2四半期(中間)決算会見で、米アルティウムの買収手続を来週中(7月29日〜8月4日)に完了すると表明した。「第3四半期中に連結決算に組み込まれるが、業績見通しに大きな変更はない」(柴田英利社長兼CEO)という。
早期にアルティウムとの一体的運営を目指す
買収完了後は「一体的運営を強く意識し、積極的にインテグレーション(統合)を進めていく」と意欲を示す。アルティウムはプリント基板設計ソフトウエア「Altium Designer」を手がけている。ルネサスは2024年2月に、同社を約8900億円で完全子会社化すると発表した。
ルネサスは同社の買収により、EV(電気自動車)分野など顧客企業の電子機器開発の生産性向上に貢献するソフトを拡充して、競争力強化を狙う。
中間決算は売上高が前年同期比2.4%減の7106億円、営業利益が同11.7%減の2241億円、中間利益が同10.6%減の2025億円の減収減益だった。第2四半期(2024年4~6月)のみの業績は、売上高が3588億円(前年同期比2.7%減)、営業利益が1106億円(同14.3%減)、純利益が967億円(同18.7%減)と、こちらも減収減益で終わっている。
顧客の在庫圧縮に対応
柴田社長は「産業向けで需要の調整が長期化している。(第2四半期に続き)第3四半期もまだ底に向かっていく見通しだ」と厳しい見方をしている。第3四半期は夏期休暇の影響や産業向けの需要が低調なことから、工場稼働率を引き下げる。
その結果、同期の売上高見通しは3480億円±75億円と前年同期比8.3%(±2.0ポイント)の減少、営業利益率も27.5%と同7.4ポイントの減少を予想している。
主力の自動車向けについては「慎重に見ており、(自動車向けの売り上げを)どんどん伸ばしていくのではなく、市場をよく見ながら在庫コントロールをしながらやっていく。世界生産台数を下方修正するメーカーも出ており、在庫の絞り込みに対応しなくてはならない」(柴田社長)と、警戒感を強めている。
日本メーカーの撤退が相次ぐ中国市場については「余剰キャパシティー(生産能力)で過剰競争になっている。そのため価格引き下げのプレッシャーが強い。わが社としては中国でのシェアを伸ばすよりも、自社の強味を生かした競争をしていく。シェア奪われるのは甘受し、売上や利益を優先する」(柴田社長)と、価格競争に巻き込まれない姿勢を示した。
文:糸永正行編集委員
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