スーパーカー世代は思い出が蘇る!? 半世紀前のフェラーリ「ディノ246GTS」を発見 “右ハン”極上車は製造わずか8台の希少モデル

ロンドンで開催されたオークションに、右ハンドルの1973年式フェラーリ「ディノ246GTS」が出品され話題となりました。デイトナスタイルのシートを装備する、わずか8台しか製造されなかったモデルのうちの1台という、希少なモデルとなっています。

デイトナスタイルのシートを備えた8台のうちの1台

 2024年11月1日から2日間、ロンドンで開催されRMサザビーズのオークションに、1973年型のフェラーリ「ディノ246GTS」が出品されました。

 ディノといえば、スーパーカー世代にはランボルギーニ「カウンタック」などと並び人気のクルマで、漫画「サーキットの狼」にも登場するモデルです。どんなクルマなのでしょうか。

オークションに登場した1973年式フェラーリ「ディノ246GTS」Tom Gidden(c)2024 Courtesy of RM Sotheby's

オークションに登場した1973年式フェラーリ「ディノ246GTS」Tom Gidden(c)2024 Courtesy of RM Sotheby's

 このシャシナンバー06752のディノ246GTSは、1973年4月にイングランドのスウィンドンにあるフェラーリのスペシャリスト、ディック・ラベット・フェラーリが注文しました。

 ネロ(黒)のインテリアにロッソ(赤)ディノの塗装が施され、パワーウインドーやきわめて重要なデイトナスタイルのシートを追加で装着しています。

 英国で新車販売された235台のディノ246GTSのうち、このシャシナンバー06752はきわめて珍しい個体で、デイトナスタイルのシートを備えた8台のうちの1台なのです。

 フェラーリのインボイスは1973年7月12日に発行され、クルマはサリー州エガムのマラネロ コンセッションに送られました。

 ディック・ラベットは7月17日に5612ポンドの請求書を受け取り、その月の後半にクルマを受け取りました。

 このディノは、デモカーとして数カ月間ロンドンのディーラーに展示され、1973年10月23日に最初のオーナーであるケント州のN.G.パーラム氏に売却されました。

 そのとき付けられた「OHR 606M」というナンバープレートは、今もなおこのクルマに装着されています。

 1973年11月20日、ディック・ラベットは「A」と「B」の点検を行い、そのときオドメーターは1335マイルを記録していました。

 パーラム氏は1970年代を通してこのクルマを使用し、1987年にはMoT証明書に走行距離は2万2680マイルと記載されました。

 1993年以降、パーナム氏はディノの整備とメンテナンスをケント・ハイパフォーマンス・カーズ社に依頼するようになり、2005年までに2万3329マイルを走破したという記録が残っています。

 同年、パーナム氏はついに246GTSと決別し、M.ウレン氏に売却しました。ウレン氏は引き続き同じフェラーリのスペシャリストに整備を依頼しました。

 そして18年後の2023年4月、ウレン氏はこのクルマを委託先のオーナーに売却しました。

 今回、この1973年型フェラーリ ディノ246GTSは、黒いインテリアの上にロッソ ディノというオリジナルのカラーコンビネーションで素晴らしい姿を見せています。

 点検の結果、この車両はマッチングナンバーのエンジンとギアボックスを保持していることが確認され、両ブーツヒンジには「2203」の正しいナンバーが付けられています。

 オドメーターは、カタログ作成時点で2万5763マイルを指していて、詳細なサービスヒストリーが記録されていること、新車時からの所有者が限られていることから、この数値は正確であると思われます。

 このフェラーリには、フェラーリのマニュアルや書籍を収めた希少なディノ エンボスレザー フォリオを含む、関連するすべてのエクストラが付属しています。

 走行距離が少なく、デイトナスタイルのシートを装着した8台の右ハンドル車のうちの1台である、このフェラーリ ディノ246GTSの希少性はハンパではありません。

 傑出した実績と歴史を持つディノを探している人にとって、このシャシナンバー06752のディノ246GTSは、検討すべき一台であることは間違いないでしょう。

 なお、このディノ246GTSは35万英国ポンド(1英国ポンド=198円として、6930万円)という希望売買価格が提示されていますが落札されず、現在は“ask”の状態です。

ジャンルで探す