ルノー新型「アルカナ」はどう変わった!? 輸入車唯一 フルハイブリッド採用の燃費No.1“クーペSUV” マイナーチェンジの見どころとは

スタイリッシュなクーペSUVとして、2020年の世界初公開から人気となり、すでに全世界で24万台を突破したという人気モデルがルノー「アルカナ」です。日本でも2022年5月に登場し、およそ2000台が販売されています。今回マイナーチェンジを行い新型が登場しました。どんな変更がなされたのでしょうか。

ルノーの新ロゴを初採用したスタイリッシュ・デザイン

 クーペタイプのSUVとして2022年5月に日本での販売を開始したルノーアルカナがマイナーチェンジを施し、新しい顔で登場しました。

 どこが変わったのか、乗った印象も含めてレポートします。

ルノー新型「アルカナ」。フラットデザインのルノーの新エンブレムを初採用、フロントマスクの印象がより精悍になっている

ルノー新型「アルカナ」。フラットデザインのルノーの新エンブレムを初採用、フロントマスクの印象がより精悍になっている

 新型アルカナの大きな変更点は、1:新ロゴ&新デザインの採用、2:ESPRIT ALPINE(エスプリ・アルピーヌ)、3:レザーフリー3つです。

 ルノーモデルとして日本では初めて新型アルカナに採用された新ロゴは、フロントグリルの中央に飾られた縦菱形のルノーマークがクローム調から一転してブラックアウトされたフラットデザインの新エンブレムになり、モダンな雰囲気になりました。

 グリルを囲むクロームもなくなり、ハーフダイヤモンドシェイプが立体的に浮かび上がる斬新なグリルです。

 またテールゲートのARKANAと書かれたエンブレムやエキゾーストフィニッシャーなども黒色になりスポーティさを強調しています。

 テールランプレンズはクリアになり、点灯していないときに赤く見えるのはリフレクターを兼ねたブレーキランプ部とバンパー下部のリヤフォグランプのパートだけです。

 これまで「RS line」と書かれていた左右フロントフェンダーのエンブレムは「ESPRIT ALPINE」に置き換わりました。

 ここでもよりスポーティなモデルだと意識させます。ルノーの中で、アルピーヌの位置付けをメルセデスベンツのAMG、BMWのMと同じようなイメージに持っていきたいのだと思います。

 ただしアルピーヌのブランド価値は、スポーティなだけでなく、プレミアム、フレンチタッチという高級感、オシャレ感も醸し出そうとしています。

 室内に目を向けると、知らなければ革の表皮で作られたシートと疑いませんが、実は今回の売りのひとつであるレザーフリー素材でできています。

 後席表皮はTEPレザーと呼ばれる合成皮革です。前席のシートサイド部はTEPレザーでバックレスト、クッション部の身体に触れるところは肌触りの良い布が使われています。

 ハンドルのリムの部分にもTEPレザーが採用されていますが、持った感触は牛革と区別はつきにくいレベルに仕上がっています。エコでサステイナブルなレザーフリーインテリアは、サステイナビリティの一環である動物福祉への配慮からきています。

 インテリアではダッシュボード周辺の変更もありました。ダッシュボードとドアの内張りの材質変更により、ルノー的な表現ではスポーツシックな雰囲気になっています。

 スピードや車両情報を得るためのドライバー正面のメーターは同じですが、ダッシュボード中央にレイアウトされるタッチスクリーンは従来の7インチから10.2インチに大きくなりました。カメラによるクルマ周辺の情報も、車両サイドも映せるようになり、安全性も高まりました。

WLTCモードで22.8km/Lは輸入SUVでナンバーワン

 今回試乗したのは「ルノーアルカナ エスプリ アルピーヌE-TECHフルハイブリッド」です。

 センターコンソールにある赤色のハザードランプスイッチの左隣にある、5方向に風船が膨らんだような形のピクトグラムが描かれたスイッチは、新しいハイブリッドシステムに組み込まれたプログラムを使うためのものです。

ルノー改良新型「アルカナ」

ルノー改良新型「アルカナ」

 E-TECH(ルノー流フルハイブリッドシステム)のフェーズ1のバージョンでは、長く続く登り坂を進んで行くとき駆動用に使えるバッテリー残量がなくなってしまい、その後はエンジンだけで駆動するケースもありました。

 1.6リッター自然吸気ガソリンエンジンと電気モーターの2つを合わせれば、69kW(94ps)と205Nm+15kW(20ps)と50Nmを使えたのですが、電気モーター分の出力不足を感じることがないように、バッテリー充電のために登り坂の途中でエンジンをかけてくれるというプログラムができたわけです。

 絶対的な燃費重視であればフェーズ1のプログラムで良いわけですが、ユーザーによっては常時ゆとりのある駆動力が欲しいケースもあるわけで、今回はそれを選べるようになりました。ただしエンジンをかけ直した場合にはノーマルモードに戻るので、意識してスイッチを押す必要があります。

 F1の技術を流用したドッグクラッチを使ったトランスミッションは、電気モーター用の2速とエンジン用の4速を組み合わせたフルハイブリッドになっています。

 この中身の説明は難しいので割愛しますが、要するにトルクコンバータやクラッチのような滑るところがないので、駆動力を効率良く伝達できるのです。

 つまり燃費が良くなるわけで、カタログではWLTCモードで22.8km/Lと記されており、この数値は輸入車SUVとしてナンバーワンだといいます。

 現に試乗車に乗り始めたときのメーター上に表示されたレンジ(航続距離)は910kmでした。燃料タンクの量は50Lですから実用燃費としても立派な数字です。

 このフルハイブリッドシステムは市街地走行でもスムーズで滑らかに走ります。

 発進は必ず電気モーターから始まり、後からエンジンが掛かりますが、ドッグクラッチでありながら不思議なくらいスムーズです。さらにアクセルペダルに対してはダイレクトな反応なのでスポーティで気持ちよく走れます。

 フランス車は直進付近のハンドルのニュートラル感が良いクルマが多いですが、アルカナも例外でなく微小舵が正確な反応で長距離でも疲れ知らずのドライブができそうです。

ルノー改良新型「アルカナ」のインテリア

ルノー改良新型「アルカナ」のインテリア

RENAULT ARKANA ESPLIT ALPINE E-TECH FULL HYBRID
ルノー・アルカナ エスプリアルピーヌ E-TECHフルハイブリッド

・車両価格:499万円
・全長:4570mm
・全幅:1820mm
・全高:1580mm
・ホイールベース:2720mm
・車両重量:1470kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC+モーター
・排気量:1597cc
・駆動方式:FF
・変速機:ドッグクラッチマルチモードAT
・エンジン最高出力:94ps/5600rpm
・最大トルク:148Nm/3800rpm
・モーター最高出力:49ps/1677-6000rpm
・モーター最大トルク:50Nm/200-2865rpm
・タイヤ前後:225/45R19
・WLTC燃費:22.8km/L

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