「えっ、水素が燃料!?」 カワサキが世界初公開・初走行した「水素エンジンバイク」が大反響 ネットでの声とは

2024年7月に開催された歴史ある2輪レース「FIM 世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」にて、カワサキが世界初の「水素エンジンモーターサイクル」をお披露目、コースを走行しました。

鈴鹿8耐の会場で初お披露目 コースを走行

 川崎重工業グループ傘下のカワサキモータース(カワサキ)は、先進的で驚きに満ちたモデルの発表が多く、ファンを期待させています。

 世界初の量産スーパーチャージドバイクの「ニンジャ H2」、同じく世界初のストロングハイブリッドモデル「ニンジャ7 ハイブリッド」を市販し、未来に向けたバイクの魅力や環境性能を模索しています。

 また、往年の名車「Z1」「Z2」の復刻版「Z900RS」を発売するなどファンに寄り添う姿勢も見せています。

 2024年のカワサキは未来に向けた姿勢を一段と見せています。フル電動のスポーツバイク「ニンジャ e-1」および「Z-e1」、そして前述の「ニンジャ7 ハイブリッド」および「Z7 ハイブリッド」が発売されたのが2024年前半の大きなニュースです。

 そして後半にも大きなニュースがありました。水素を燃料としたバイク(プロトタイプ)を発表したのです。

カワサキが世界初公開した「水素エンジンモーターサイクル」プロトタイプ

カワサキが世界初公開した「水素エンジンモーターサイクル」プロトタイプ

「水素エンジンモーターサイクル」と発表されたそのモデルは、2024年7月20日に「鈴鹿サーキット」(三重県鈴鹿市)で開催された「2024 FIM 世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」(鈴鹿8耐)の会場で初お披露目され、鈴鹿のコースを実走しました。

 “水素の乗りもの”というと、多くの人は「水素燃料電池車」を想像するでしょう。

 “電気分解”の逆の原理で水素を燃料として発電し、その電力で走る電気自動車(EV)が燃料電池車で、バイクでの研究も行われています。

 しかし鈴鹿で走った水素エンジンモーターサイクルは、従来の内燃エンジンが車体の中央に鎮座し、バイクらしい“エキゾーストノート”とともに観客の前を走り去りました。

 水素を燃料として“従来の内燃エンジン”を駆動しているのが、今回発表された水素エンジンモーターサイクルの大きな特徴なのです。

 ちなみに水素を燃料とした内燃エンジンの実験は四輪でも行われています。

 トヨタ自動車および、豊田章男氏が代表を務める「ルーキーレーシング」が、「スーパー耐久シリーズ」にそのエンジンを積んだ「カローラ」を走らせています。液体水素を世界で初めて使用したことでも話題となりました。

 もちろん、二輪版の実走も世界初の快挙です。

マフラーから聞こえる音は通常のバイクのそれと変わらない

 水素エンジンモーターサイクルの詳細仕様は非公表ですが、スーパーチャージドエンジンを搭載したツアラー「ニンジャ H2 SX」をベースに開発したことは公表されました。

2024年7月に開催された歴史ある2輪レース「鈴鹿8耐」でデモ走行をおこなったカワサキの「「水素エンジンモーターサイクル」プロトタイプ

2024年7月に開催された歴史ある2輪レース「鈴鹿8耐」でデモ走行をおこなったカワサキの「「水素エンジンモーターサイクル」プロトタイプ

 通常のツアラーではパニアケース(サイドケース)が装備される部分に、気体の水素タンクを左右に一基ずつ計二基搭載。

 その水素を、専用設計した燃料系統から筒内直噴仕様に改造した998ccの直列4気筒エンジン(ニンジャH2 SXベース)に注ぎ込み、爆発燃焼させてピストンを上下させています。

 マフラーから聞こえる音は通常のバイクのそれと変わりありません。しかし排気されるのは水なのでカーボンフリーを実現しているという形です。

「従来のバイクが持つ鼓動感や内燃エンジンのフィーリングを損なうことなく、カーボンニュートラルを実現したい」というカワサキの思いと挑戦がかけられているといえます。

 今回の水素エンジンモーターサイクルについては、SNS上でも反響が多数あります。

「水素タンクの大きさや補給といったインフラの課題があるけど、次世代エネルギー車のひとつの答えとなるよう早期に市販化してほしい」

「次世代エネルギーの中心は水素だと思うから、ぜひ市販に繋げてほしい」

「内燃エンジンに対してのカワサキの向き合い方には感心させられる。日本の未来の自動車産業が明るくなりますように」

「これをモノにしてしまう技術に関心。カワサキの本気の姿勢が伝わってくる」

「水素タンクのデザインは格好良いけど、将来的には小型化できたら良いと思う」

「これまで積み重ねてきた内燃エンジンの歴史を終わらせないでほしい」

 ネガティブな声はほとんど見受けられません。「ほかメーカーのユーザーだけど、カワサキのこの姿勢を応援する」という類の声も多数見られました。

※ ※ ※

 日本は水素社会の実現を宣言していますが、水素ステーションなどのインフラ整備が追いついているとはいえないようです。

 しかし日本は水にあふれた国であり、水素が日本の未来を担えるエネルギーとなることはじゅうぶんに考えられます。

ジャンルで探す