レーシーなデザインの「大型リアスポイラー」が大胆! ヒョンデの電動コンパクトSUV「コナ」にスポーティな新グレード登場!! 公道での印象は

ヒョンデの電動コンパクトSUV「コナ」にスポーティな新グレード「Nライン」が登場しました。快適装備も充実した「コナ」のハイエンドグレードは、果たしてどのような仕立てなのでしょうか?

ヒョンデの電動SUVにスポーティな新グレード「Nライン」が登場

 気づけばメキメキと世界シェアを拡大し、いまやグループ全体ではトヨタやフォルクスワーゲンに続く世界第3位の販売規模を誇るまでになった韓国の自動車メーカー・ヒョンデ。

 そんなヒョンデの「コナ」は、全長4385mmとコンパクトなSUV。ボディサイズはトヨタ「カローラクロス」を10cmほど短くしたくらい、と思えばいいでしょう(全幅は「カローラクロス」と同じ1825mmで国際水準)。

ヒョンデ「コナ Nライン」

ヒョンデ「コナ Nライン」

 海外市場ではエンジン搭載車も販売されていますが、同社の日本における戦略もあって、日本仕様はエンジンを搭載しないBEV(電気自動車)のみのラインナップとなっています。

 そんな「コナ」に先頃加わったのが「Nライン」という新グレード。これまで最上級グレードだった「ラウンジ」よりも上に位置するグレードで、快適装備などは「ラウンジ」のそれに準じています。

 なので、電動スライドガラスルーフやBOSE製オーディオといった上級アイテムも標準装着。プレミアムグレードという位置づけです。

 では、「ラウンジ」とは何が違うのか? それが「Nライン」を理解する上で最大のポイントとなるわけですが、見た目の印象からいえば「ラウンジ」よりも精悍でカッコいい。なぜなら独自のスタイリングが採用されているからです。

 前後バンパーやリアスポイラー、そしてアルミホイールを「Nライン」専用のデザインとし、ドアミラーのカラーリングもブラック化。なかでも、大胆でレーシーなデザインのリアスポイラーが印象的です。

 一方のインテリアは、質感が上がっているように感じます。ブラックを基調にレッドを差し色としたカラーリングが施され、アルカンターラと本革を組み合わせたシート表皮を採用。エクステリア同様にスポーティなコーディネートとなっています。

 そんな「Nライン」専用のインテリアは、接してみるとスポーティな雰囲気なのはいうまでもありませんが、なぜか他グレードと変わらないはずのダッシュボード回りの質感までもが、これまで筆者(工藤貴宏)が接してきた「コナ」よりも上質になっている印象。ブラック内装やアルカンターラ&本革シートとの相乗効果なのか、より高品質に感じられるから不思議です。

 正直なところ筆者は、インテリアが上質に感じられるというだけで「Nライン」を「コナ」のイチオシに選びたくなったほどです。

●ヒョンデの「Nライン」はどんな立ち位置か?

 ところで、ヒョンデの「Nライン」ってどんな立ち位置のグレードなのでしょうか?

 そのヒントとなるのが、ヒョンデにおける「N」の存在です。「N」はヒョンデのモータースポーツ&超高性能市販車部門であり、WRC(世界ラリー選手権)で活躍するほか、超高性能BEV「アイオニック5 N」も手がける組織です。いわばメルセデス・ベンツの「AMG」、BMWの「M」、さらにはトヨタの「GR」などと同じポジショニングをイメージすればいいでしょう。

 ヒョンデの「Nライン」は、そんな「N」の高性能モデルを気軽に味わうためのグレードで、メルセデス・ベンツの「AMGライン」、BMWの「Mスポーツ」、トヨタの「GRスポーツ」などと同じ存在というわけです。

 とはいえ、「コナ」の新グレード「Nライン」はメカ部分に手が加えられておらず、走り自体はアップグレードされていません。「AMGライン」も「Mスポーツ」も「GRスポーツ」も、専用のサスペンションを採用しているのとは対照的です。

「Nライン」が日本市場に導入されるのは今回の「コナ」が初めてですが、本国などでは他モデルにもすでに設定されていて、何を隠そう、エンジン車では車体補強が施されていたり、サスペンションが変更されていたりするモデルも存在します。

 ヒョンデによると、「コナ」のメカ部分に手を加えていないのは、「BEVは元々エンジン車に対して車体剛性が高く、サスペンションも完成度が高いので変える必要がないと判断した」とのことでした。

「Nライン」専用のサスペンションが欲しかった

 実際にドライブしてみると、なるほど確かにヒョンデ側の説明は理解できます。

ヒョンデ「コナ Nライン」

ヒョンデ「コナ Nライン」

「コナ Nライン」は高速域でのスタビリティが高く、一方、ひとたび峠道に差しかかればターンインの素直さもコーナリング中の安定感も文句のつけどころがないレベル。しかも乗り心地も、BEVにありがちな突き上げ感が極めて少なくフラットライドで、完成度は本当に高いと感じます。

 そういう意味では、標準のサスペンションでも不満はありませんが、筆者の個人的な気持ちというか願いとしては、絶対的な性能という意味よりも他グレードの差別化とか特別感、記号性という意味で、「Nライン」専用のサスペンションが欲しかったというのが正直な印象。次の商品改良あたりでぜひ期待したいですね。

 ちなみに価格は消費税込で506万円(45万円の補助金や減税が受けられるので、実質的には455万円ほどの感覚)と、「ラウンジ」に対して16万5000円のアップ。その金額で内外装をスポーティにドレスアップできると考えれば、十分に納得できる差額ではないでしょうか。

 ところで、「コナ」を始めとするヒョンデの日本仕様車は、右ハンドル化されているだけでなく、多くの右ハンドル輸入車が世界標準の左側ウインカーを採用するのとは違って、日本車同様にウインカーレバーを右側に装備しています。

 また、「コナ」は急速充電のシステムを日本規格のCHAdeMO(チャデモ)としているのに加え、ドライブモードの設定もノーマルでは“よりおだやかに”、スポーツは“より加速の反応をよく”といった日本人の嗜好に合わせた専用の制御を採用。意外なところまで日本市場にローカライズしているなど、日本に対する本気を感じさせます。

 そこまで手を加えている輸入車は、ヒョンデ以外では中国のBYDくらい。このところ筆者は、両社のクルマに接するたびに、アジアンメーカーの仕事ぶりの“徹底”と“底力”を感じています。この辺りのこだわりが、世界中でシェアを伸ばしている理由のような気がします。

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