100年前にも“EV”があった!? 黎明期の電気自動車はなぜ当時の女性に人気だった? オークションに登場する「モデル57」とは

2024年10月9−10日に米国ハーシーで開催される自動車オークション、RMサザビーズにおいて、1916年製のデトロイト・エレクトリック「モデル57」が出品され話題となっています。1世紀前に登場したEVとはどんなクルマなのでしょうか。

なぜ当時は電気自動車が女性に人気だった?

 2024年10月9日と10日に米国ペンシルバニア州ハーシーにて開催されるRMサザビーズのオークションにおいて、およそ1世紀前の電気自動車が出品される予定となり、話題となっています。

米国で開催されるオークションに登場する1916年製の電気自動車、デトロイト・エレクトリック「モデル57ブロアム」Gabor Mayer ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

米国で開催されるオークションに登場する1916年製の電気自動車、デトロイト・エレクトリック「モデル57ブロアム」Gabor Mayer ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

 オークションに出品されるモデルは、1916年製のデトロイト・エレクトリック「モデル57ブロアム(Model 57 Brougham)」です。

 デトロイト・エレクトトリックは、米国ミシガン州デトロイトにて1884年に創業した「アンダーソン・キャリッジ・カンパニー」を起源とする「デトロイト。エレクトリックカー・カンパニー」が、1907年から1930年代後半まで製造した黎明期の電気自動車です。

 このモデルはじつに30年以上生産され続け、約1万3000台が販売されたといいます。とくに1910年代、第一次世界大戦中にガソリン価格が高騰したことを機に販売台数を伸ばしたといいます。

 この数字は、近年になってテスラなどの近代的な企業が成功するまで、他のどのアメリカの乗用車メーカーよりも多くの電気自動車を生産していたといいます。

 昔ながらの馬車のようなデザインは、保守的な顧客層のニーズに合っていたため、ほとんど変更されませんでした。
 
 発売当時、内燃エンジン車ではエンジン始動のため手動でクランクを回す必要がありましたが、この電気自動車はその操作を必要とせず、確実に即始動させることが可能でした。

 そのため女性ドライバーなどに好評で、当時の自動車王であるヘンリー・ジョイ・パッカード氏やヘンリー・フォード氏の妻がこのデトロイト・エレクトロックの所有者で、2人とも夫のメーカーのガソリンエンジン車よりも電気自動車の利便性を好んでいたといいます。

 今回オークションに出品される「モデル57ブロアム」は、豪華な応接室のようなインテリアで、刺繍のアクセントが付いた美しいボタンタフティングパターンの布張りが特徴です。

 ドライバーは2人の乗客と向かい合って座り (1人は会話しやすいように回転するバースツールのような椅子に座ります)、左手で速度を制御するレバーを操作しながら、膝の向こう側にある長い舵取りバーでステアリングを握ります。

 操作方法を学ぶのは非常に簡単で、20世紀末から1930年代初頭にかけての電気自動車のすべてと同様に、サスペンションと車体のきしみ音とわずかなガタガタ音を除けば、完全に静かに走行する、ということです。

 落札予定価格は8万5000ドルから11万5000ドル(日本円で約1236万円から1672万円)とされています。

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