新型「ミニ・クーパー5ドア」登場 4車種揃った“新世代ミニ”はどう違う? 似ているようで異なるそれぞれの個性とは

2023年11月の新型「ミニ・カントリーマン」導入に始まり、2024年3月の新型「ミニ・クーパー3ドア」、6月の新型「ミニ・エースマン」、そして新型「ミニ・クーパー5ドア」と、新世代ミニが続々と登場しています。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

日本でも人気のミニ5ドアが新世代になって登場

 その愛らしさから、日本でも多くの熱心なファンを持つMINI(ミニ)。2024秋のコンパクトクロスオーバーSUV新型「ミニ・カントリーマン」の導入を皮切りに、続々とモデルラインが刷新されています。

 その最新作が、2024年6月13日に世界同時発表となったコンパクトハッチバック、新型「ミニ・クーパー5ドア」です。

2024年6月13日に発表された新型「ミニ・クーパー5ドア」。消費税込みの車両価格は408万円(ミニ・クーパーC 5ドア)から477万円(ミニ・クーパーS 5ドア)となっている

2024年6月13日に発表された新型「ミニ・クーパー5ドア」。消費税込みの車両価格は408万円(ミニ・クーパーC 5ドア)から477万円(ミニ・クーパーS 5ドア)となっている

 同車は、日本のミニの中でも主要なモデルだけに、ファンにとって嬉しいサプライズとなりました。そこで第4世代に移行した新ミニのラインナップと、今後についてまとめてみました。

 新世代ミニの最新作となるミニ・クーパー5ドアは、2024年3月にフルモデルチェンジを受けたミニ・クーパー3ドアをベースにロングホイールベース化、5ドアに仕立てたもので、その愛嬌のある胴長スタイルも継承されています。

 内外装デザインは、新世代ミニのデザイン言語「カリスマティック・シンプリシティ」に基づいたシンプルなデザインに仕上げられています。

 ただし3ドアと大きく異なるのは、パワートレインがエンジンに限定されること。現時点ではミニ5ドアにEVは設定されていません。

 その背景には、シティクロスオーバー新型「ミニ・エースマン」の存在も関係ありそうです。

 コンパクトハッチバック「ミニ・クーパー3ドア」とコンパクトクロスオーバーSUV「ミニ・カントリーマン」の中間というサイズは、ミニ・クーパー5ドアとも重なるものなのです。

 新型ミニ・クーパー5ドアのボディサイズは、全長4035mm×全幅1745mm×全高1470mm、ホイールベース2565mmとなっています。

 一方で新型ミニ・エースマンは、全長4080mm×全幅1755mm×全高1515mm、ホイールベース2605mmと少し大きい程度に留めています。

 ラゲッジスペースで比較してみても、新型ミニ・クーパ5ドアが275リッターから最大925リッターに対して、新型ミニ・エースマンは、300リッターから最大1005リッターとなっています。

 ボディ形状が異なるため、容量では新型ミニ・エースマンが有利となっています。もちろん、数字上の話であり、クラシックMiniからの伝統の色を強く残すハッチバックと、新進気鋭のクロスオーバーEVでは、ユーザー層も大きく変わることでしょう。

 ただ日本においては、先代で登場したミニ・5ドアが、ファミリーカーにもなる便利なミニとして根強い人気があります。その乗り換え需要も含めれば、日本での販売の主力がエンジン車となるだけに、エンジン車の登場は大歓迎すべきでしょう。

新世代ミニのラインナップはどう異なる!?

 もうひとつ、ミニのモデルバリエーションを複雑にしているのが、クルマの車体の基礎となるプラットフォームの存在です。

新世代ミニ。手前から新型「ミニ・クーパー3ドア」、新型「ミニ・エースマン」、新型「ミニ・カントリーマン」

新世代ミニ。手前から新型「ミニ・クーパー3ドア」、新型「ミニ・エースマン」、新型「ミニ・カントリーマン」

 新型ミニ・クーパー3ドアの場合、EVとICE(内燃機関モデル)では、プラットフォームが異なります。

 3ドアのEVには、新開発のEVプラットフォームを使用していますが、エンジン車のプラットフォームは、先代ミニのプラットフォームをアップデートさせたものを使用しています。このプラットフォームは新型ミニ・クーパー5ドアも同様です。

 そして、新型ミニ・エースマンは、新型ミニ・クーパー3ドアのEVと一部を共用しながらも、専用開発されたプラットフォームを採用しています。

 それでは、もっともサイズが大きいSUVの新型ミニ・カントリーマンというと、従来のミニ・クラブマンやミニ・クロスオーバー同様に、BMWの小型前輪駆動車向けのプラットフォームを使用。最新世代では、EVとエンジン車の両方に対応が可能となっています。

 その違いは、生産地にも反映されていて、新型ミニ・クーパーのエンジン車が英国製に対して、新型ミニ・クーパーのEVと新型ミニ・エースマンは、中国生産に。さらに新型ミニ・カントリーマンに関しては、ドイツ生産となっています。

 その背景には、生産に最適な設備を持つ工場が選ばれていることがあります。ただミニ・ブランドも将来的なEVシフトを掲げているだけに、その準備を開始しています。

 2023年9月には、英国工場でのEV量産化の投資を行うことが発表されています。そして、2026年から新型ミニ・クーパー3ドアのEVと新型ミニ・エースマンの生産も開始されるそうです。

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 最新ラインアップを整理すると、エンジン車を用意するのは、新型ミニ・クーパーの3ドア&5ドア、新型ミニ・カントリーマンの3タイプ。

 EVを用意するのは、新型ミニ・クーパー3ドア、新型ミニ・エースマン、新型ミニ・カントリーマンの3タイプとなります。

 新世代ミニのラインナップでもっともマルチな存在なのが、実は新型ミニ・カントリーマンです。

 パワーユニットに、ガソリン/ディーゼルエンジン、EVを採用するだけでなく、ガソリン車とEVにはALL4(4WD)も選べます。さらにハイパフォーマンスなガソリンエンジン車の「JCW」まで用意されています。

 もちろん、もっとも強く伝統を受け継ぐ新型ミニ・クーパー3ドアにも、この後、高性能なJCWの投入が控えています。

 市販モデルは、2024年10月に世界初公開される予定で、エンジン車だけでなく、初のJCWのEVも用意されるというから注目です。

 残すは、ファッションアイコンでもあるミニのオープンモデル、新型ミニ・コンバーチブルの行方でしょう。ただ世界中にファンがいる存在だけに、第4世代のコンバーチブルの開発も秘密裏に進んでいると期待して、続報を待ちましょう。

 将来的には、EVシフトを果たしていくだけに、エンジン車とEVの選択が可能な今が、もっとも悩ましくも楽しいミニ選びができる瞬間かもしれませんね。

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