駐車場の「斜め駐車」がとっても危険な理由 リスクを減らすための具体的対策とは

苦手な人が多いバック駐車

駐車場に並ぶ自動車(画像:写真AC)

駐車場に並ぶ自動車(画像:写真AC)

 車を運転する際、「駐車」が苦手だと感じている人は多いだろう。ウェブクルーが2023年8月に行った「車の運転」に関する調査では、車の運転に自信がない人が苦手な運転操作として「バック駐車」を挙げている。

 これは、縦列駐車に次ぐ2位で、61.4%の人が苦手意識を持っている。また、運転に自信がある人でも28.7%がバック駐車を苦手と回答していた。

 街中の駐車スペースに普通に駐車しているドライバーのなかには、駐車が苦手な人が一定数いるようだ。そう考えると、斜めに駐車されている車を時々見かけるのも不思議ではない。駐車枠に収まっていれば、「駐車が苦手なんだな」と優しく見守ってあげたいところだが、そうはいかない。

 なぜなら、駐車場で斜めに駐車することは危険をともなうからだ。では、斜め駐車によってどのような危険が生じるのか、この記事で解説していく。

駐車場の斜め駐車が危険なワケ

車をバックで駐車する女性(画像:写真AC)

車をバックで駐車する女性(画像:写真AC)

 斜め駐車によって生じる危険のひとつは「ドアパンチ」だ。

 斜めに駐車すると、隣の車との距離が近くなり、乗り降りの際に自分のドアを隣の車にぶつける可能性が高くなる。もちろん、自分の車も隣の車からドアパンチを受ける危険が増すことになる。

 さらに、斜めに駐車していると、入出庫の際に隣の車と接触する危険も高まる。斜め駐車によって、隣の駐車スペースとの間隔が狭くなってしまうからだ。

 バックで駐車した場合、隣の駐車スペースに近い側のフロント部分が擦られてしまう可能性がある。自分が駐車することを考えればわかりやすいが、隣の車が斜めに駐車していると、その車の角がこちらに飛び出ているため、バックで駐車する際の位置確認が非常に難しくなる。

 斜め駐車による危険は、隣の車との間隔が狭くなることによって生じる。当然、間隔が狭くなれば、駐車場を利用する人が通る際に体や物をぶつけて車を傷つける危険も出てくる。まっすぐに駐車すればこうした危険が完全になくなるわけではないが、斜め駐車の方がそのリスクは高くなるといわざるを得ない。

先進技術がアシスト

超音波センサーとカメラで駐車スペースを検知し、バック駐車時のステアリング操作をアシストする「パーキングアシスト」機能(画像:トヨタ自動車)

超音波センサーとカメラで駐車スペースを検知し、バック駐車時のステアリング操作をアシストする「パーキングアシスト」機能(画像:トヨタ自動車)

 では、何か解決策はないのだろうか。まず考えられるのは「パーキングアシスト」機能のついた車に乗り換えることだ。

 この機能は、各メーカーによって名称や仕様が異なるが、ハンドルやペダルの操作をシステムが自動で行い、駐車をサポートしてくれるものだ。日本自動車連盟(JAF)が以前行ったユーザーテストでは、車庫入れが苦手なモニタードライバーでも、支援機能を利用することで、JAFインストラクターと同じくらいの時間で車庫入れを終えることができた。

 しかし、支援機能にも限界がある。JAFのテストでは、駐車スペースに人や後続車が近づいたり、三輪車があったり、隣の車のドアが開いたりする場合、障害物を認識できず、ドライバーがブレーキを操作する必要が出てくることがあった。

 そのため、この機能の限界を理解し、ドライバー自身が注意を払いながら利用すれば、駐車が苦手でも安全にまっすぐ駐車できるよう支援してくれる。

斜め駐車を回避するポイント

カーナビのバックモニター(画像:写真AC)

カーナビのバックモニター(画像:写真AC)

 もうひとつの方法は「駐車の苦手を克服する」ことだ。それは無理だと感じるかもしれないが、コツをつかむと意外と簡単になる。そのコツは「後輪」を意識することだ。駐車スペースに対して斜め45度の位置からゆっくり後退し、内側の後輪を中心に円を描くイメージでバックすると、駐車しやすくなる。

 落ち着いてゆっくりと、内側の後輪を固定するポイントまで下がる。目印は、駐車したいスペースの白線より少し内側だ。一時停止して、ハンドルを内側に切る。そして、ゆっくり後退を始めると、内側の後輪は隣の車両から少しずつ離れていく。次に反対側にも注意を払う。ミラーや目視で白線と平行になっていることを確認したら、もう一度止まってハンドルをまっすぐに戻す。そして、まっすぐに後退すれば駐車完了だ。

 繰り返しになるが、バック駐車時に内側の後輪を中心にコンパスのように円を描くのがコツだ。もちろん、駐車場によって状況は異なるので、周囲の安全を十分に確認することが大切だ。自宅の駐車場などで繰り返し練習すると、感覚とコツをつかむことができるだろう。

 駐車場でよく見かける斜め駐車には「ドアパンチ」や「接触事故」の危険がある。駐車時には、

「一発で駐車したい」
「何度も入れ直すのは恥ずかしい」

といった心理が働くかもしれない。しかし、中途半端な駐車になるくらいなら、まっすぐ駐車できるまで焦らず何度でもやり直すことをおすすめしたい。

 もしバック駐車に苦手意識を持っている人は、パーキングアシストなどの最新装備を活用したり、コツをつかんだりするまで練習してみるといいだろう。

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