濃縮シャンプーって何? 近年「洗車用品」が爆速進化している根本理由

洗車業界に見られる新たな動き

自動車を洗車する様子(画像:写真AC)

自動車を洗車する様子(画像:写真AC)

 近年、洗車用品の進化が著しい。かつて洗車は手間と時間がかかる作業とされていたが、今ではその手間を大幅に減らし、効果的な結果を得られる製品が数多く登場している。

 例えば、「濃縮シャンプー」は少量で強力な洗浄力を発揮し、節約と効率を両立させている。これにより、水とシャンプーの使用量を抑えつつ、しっかりと汚れを落とすことができる。

 次に、「マイクロファイバークロス」は高い吸水性と優れた拭き取り能力を持ち、車のボディに優しく、傷をつける心配も少ない。また、繰り返し洗って使えるため、環境にも配慮されている。

 洗車用品の進化だけでなく、手洗い洗車サービスも進化を遂げている。高圧洗浄機や専用洗剤を使ったプロの丁寧な洗車により、細部まできれいに仕上げることが可能となった。

 カーコーティングや手洗い洗車を専門に行う「KeePer LABO」を運営する業界大手の「キーパー技研」(愛知県大府市)のウェブサイトによれば、

「かつては車を頻繁に買い換え、新車に乗っていることがステータスでしたが、今では、たとえ年数がたった車でも、それを大切にキレイに乗り続けていることが一つのライフスタイルの表現になってきております」

とのこと。

 同社は、車を長期間きれいに保つためのコーティング技術を提供し、人気を集めている。その証拠として、2023年6月期の決算では売上高170.4億円を記録し、前年同期比で増収を達成している。

 では、なぜ洗車用品や洗車業界にこのような進化の波が押し寄せているのか、その背景を考察してみたい。

サブスク洗車の時代

洗車用品サブスクリプションサービス(画像:ソフト99)

洗車用品サブスクリプションサービス(画像:ソフト99)

 進化の波が押し寄せている理由として、まず、洗車用品のサブスクリプション化が進んでいることが挙げられる。具体的には、

・定期的に洗車機を利用できるサービス
・毎月洗車用品が自宅に届くサービス

が登場している。これにより、消費者は手軽に最新の洗車用品を試すことが可能になった。

 このサブスクリプション化は、消費者とメーカーの両方にメリットがある。消費者は定期的に新しい製品を試すことで、自分に合った商品を見つけやすくなり、洗車用品の購入手間も省ける。

 一方、メーカーにとっては、定期的な収益が見込めるだけでなく、消費者のフィードバックを直接受け取れるため、製品開発に役立てることができる。このように、サブスクリプションサービスは洗車用品の進化に大きく寄与している。

 さらに、洗車用品の性能や使い勝手も向上している。新しい素材や形状の開発が進み、従来の製品よりも効果的で使いやすい商品が市場に出回るようになったのだ。

2022年からの市場成長3.60%

洗車用品を使用したホイール洗浄(画像:写真AC)

洗車用品を使用したホイール洗浄(画像:写真AC)

 洗車用品は進化を続け、市場規模も拡大している。インドの調査会社データブリッジの市場調査によると、世界の洗車市場は2022年から2030年までの間に年平均成長率(CAGR)3.60%で成長し、2030年には4億4111万ドル(約646億円)に達すると予測されている。この成長の背景には、

・自動車産業の発展加速
・時間の効率化

など、複数の利点があると報告されている。

 日本国内の洗車用品市場では、都市部を中心に自宅での洗車スペースが限られているため、専門の洗車サービスや自動車ディーラー、ガソリンスタンドが高品質な洗車サービスを提供しており、リピーターが増えている。

 さらに、洗車用品市場の成長はインターネット通販の普及とも密接に関連している。オンラインショップではさまざまな洗車用品を手軽に購入できるため、消費者は自分に合った製品を選びやすくなっているのだ。

 近年、ユーザーの洗車頻度や意識にも変化が見られる。マーケティングリサーチ企業のGfK Japanが2024年に行ったアンケート調査によれば、洗車を月に1回行う人は約25%、3か月に1回程度の人は16%、半年に1回程度の人は15%である。

 また、車にコーティングを施している人に関する調査では、一度コーティングをした人は48%、複数回コーティングをした人は53%となり、月に1回以上洗車をする人が多いことが明らかになった。“車をきれいにしたい”という意識が高まっている。

洗車市場の未来と挑戦

無人対応の最新の洗車場(画像:京南)

無人対応の最新の洗車場(画像:京南)

 洗車用品の進化は今後も続くと予想されているが、一方でいくつかの課題も抱えている。まず、環境への配慮が求められている点が挙げられる。多くの洗車用品は化学物質を含んでおり、これが環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、環境に優しい成分を使用した製品の開発が進められている。

 次に、消費者のニーズの多様化に対応する必要がある。洗車用品市場が拡大するなかで、消費者はより個別化された製品やサービスを求めている。特に、特定の車種や用途に特化した製品の需要が高まり、これに応じてメーカーも増えてきている。

 さらに、デジタル技術の導入も重要なポイントだ。洗車機の操作をスマートフォンで行える技術や、無人の洗車サブスクリプションサービスなどが登場し、より便利で効率的な洗車が可能になっている。

 これらの進化と課題を踏まえ、洗車用品の市場は今後も成長を続けると予想される。消費者にとって、ますます便利で効果的な製品が提供される一方で、環境への配慮や個別ニーズへの対応がますます求められるだろう。

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