日銀、金融政策維持を決定 物価への影響見極め、追加利上げ見送り

会見する日銀の植田和男総裁=2024年6月14日午後4時31分、東京都中央区、川村直子撮影

 日本銀行は20日、金融政策決定会合を開き、現在の政策を維持することを決めた。銀行間で短期資金をやり取りする金利(無担保コール翌日物)を0.25%程度に誘導する。日銀は前回7月の決定会合で0.15%幅の追加利上げに動いており、経済・物価への影響を見極めることにしたとみられる。

 日銀は7月会合で利上げの理由を、物価上昇率2%の実現に向けて賃金と物価の「好循環」が強まっていることに加えて、一時1ドル=161円台まで円安ドル高が進んだことで為替が物価を上ぶれさせるリスクを挙げた。利上げ後、為替市場では急速に円高が進み、8月5日に東京株式市場で日経平均株価が過去最大の下落幅を記録。日銀幹部は、金融市場が不安定な状況で追加利上げはしないとの考えを表明していた。今回の会合でも市場の動向を見極める必要があると判断したとみられる。

 また、160円台まで下落した円安の流れに一定の歯止めがかかり、輸入を通じた物価上昇リスクが減った。そのため、日銀が利上げを急ぐ必要性が薄くなったことも、政策金利を据え置いた一因とみられる。

 一方で、日銀は、経済や物価が想定通りなら利上げを続ける方針を崩していない。植田和男総裁は20日午後に記者会見し、政策を維持した理由などについて説明する。(神山純一)

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