「品川の南にあるのに“北品川”」的な駅、実は多い!? 「地名と駅名は違う!」勘違いの悲劇が
品川駅の南にある「北品川」駅のように、「東西南北+地名」の位置関係が実態と合わない例がいくつかあります。なかには、東西南北のついた駅が“全く離れている”ケースも。勘違いが取り返しのつかないことになりかねません。
「東西南北つきの駅」が何かおかしい件
「地名」に「東西南北」のついた駅名は珍しくありません。たいていの人は「中心地になる駅から、東西南北それぞれの方向にひと駅くらい離れた駅かな」と考えるでしょう。そしてそうした駅にはじめて向かうときは、東西南北を冠さない「“本家”の駅を目印にすればいい」と思うのではないでしょうか。
ところが、そのような“常識”にとらわれない「東西南北+地名」の駅が、じつは数多く存在します。そうした“惑わせる東西南北つきの駅名”のうち、首都圏にある例を、いくつかご紹介しましょう。
西巣鴨駅(東京都・都営三田線)
巣鴨駅はJR山手線が田端駅から池袋駅まで東西に走る中間点にあります。その巣鴨駅の西にあるのは同じJRの大塚駅です。
これに対し西巣鴨駅は、山手線と直角に交わる都営三田線の駅で、巣鴨駅からはひと駅、方角はほぼ北西に位置します。
なお山手線をまたぐ道路にも「西巣鴨橋」がありますが、こちらは大塚駅と池袋駅の間で、現在8年近くにもわたる架け替え工事が行われています。
北品川駅(東京都・京急本線)
品川駅は多数のJR在来線のほか、東海道新幹線、さらに京急も乗り入れる東京の一大ターミナルです。
ところが、京急で品川駅から北にひと駅進んだところにあるのは泉岳寺駅で、北品川駅ではありません。じつは北品川駅は、品川駅から南にひと駅という、駅名とは真逆の位置関係にあるのです。
これは北品川駅が、旧東海道の「品川宿の北端」に位置していることから名付けられたことによるもの。ちなみに品川駅は東京都品川区にはなく、港区に所在します。「東西南北+地名」の関係があべこべなことで有名な例のひとつです。
東大宮駅(埼玉県・JR宇都宮線)
埼玉県庁最寄りの浦和駅は、「東西南北」のそれぞれを冠する駅もあることで有名ですが、その浦和駅と“ライバル関係”にある大宮駅も「東西北」の駅をそろえています。
このうち北大宮駅は、東武アーバンパークラインで大宮駅からひと駅、東大宮駅はJR宇都宮線でふた駅。東大宮駅が北大宮駅のさらに北にあるという、ちょっとわかりにくい位置関係にあります。
東川口駅(埼玉県・JR武蔵野線/埼玉高速鉄道)
川口駅はJR京浜東北線で、東京都から埼玉県に入り最初に停車する駅です。ほぼ北に向かう同線がつぎに停車するのは西川口駅で、方向としては多少のズレを感じますが、さらに意外な場所にあるのが東川口駅。なんと、その所在は川口駅から北に約6km離れたところなのです。
川口駅からの移動は京浜東北線で3駅先の南浦和駅で武蔵野線に乗り換え、さらに2駅進む必要があり、所要時間はおおむね20分が目安となります。「川口駅のすぐ隣だろう」というくらいに考えていると、大きな間違いです。
「東●●」が「●●のすぐ近く」だと思っていると痛い目に
「東西南北+地名」の駅が、本家の駅から“かなり離れている”ケースも多々あります。
東中山駅(千葉県・京成本線)
東中山駅は千葉県船橋市に所在し、周辺には京成中山駅、下総中山駅、原木中山駅など「中山」を名乗る駅が複数あります。ところが、首都圏でそのものズバリの中山駅は、遠く離れた神奈川県横浜市で、JR横浜線と横浜市営地下鉄グリーンラインが乗り入れる駅です。
もし「中山」という地名だけで神奈川県民と千葉県民が話をすると、それぞれ横浜市と船橋市をイメージしてしまい、やりとりがちぐはぐになってしまうかもしれません。ちなみに中山駅は高知県のとさでん交通伊野線にも存在します。
南大塚駅(埼玉県・西武新宿線)
大塚駅は、JR山手線で、メジャーでもマイナーでもない、わりと中間的な存在の駅で、東京に唯一残る都電、荒川線との乗り換え駅でもあります。ところがその荒川線で大塚駅から南に進んでも、南大塚駅はありません。
じつは南大塚駅は遠く離れた埼玉県川越市、西武新宿線の本川越駅の隣にあります。周辺住民や利用者以外への知名度が高いとはいえない存在です。知り合った人に住んでいる場所を聞いて「南大塚です」と言われた場合、「23区内の良い場所に住んでるんだなぁ」と勘違いするかもしれません。
ちなみに、JR大塚駅は「豊島区南大塚」に所在。その大塚駅の南にある東京メトロ丸ノ内線の「新大塚」駅は、「文京区大塚」にあります。
東小金井駅(東京都・JR中央線)
東京都小金井市にふたつあるJR駅のうち、東に位置するのが東小金井駅です。
では西側にあるのが“本家”の小金井駅だと思いがちですが、じつはそこにあるのは武蔵小金井駅。小金井駅はまったく別のところ、栃木県下野市にあるJR宇都宮線の駅なのです。
これだけなら「遠隔地にある似通った駅名」というだけですが、問題は東小金井駅にはJR中央線、そして小金井駅にはJR宇都宮線(上野東京ライン/湘南新宿ライン)という、いずれも東京駅、新宿駅を発着する路線が走っていることです。
東京に不慣れな人が東小金井駅を目指し、うっかり「小金井行き」という案内を頼りに東京駅からの東京上野ライン、新宿駅からの湘南新宿ラインに乗ってしまうと、東小金井駅まで戻るのに2時間近くかかるという悲劇に見舞われてしまいます。
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このように地名に「東西南北」を冠する駅は、もともとの地名の駅のすぐ隣にばかりあるわけではなく、ときには別の地域の、名前以外はまったく関係ない駅だったりします。利用の際は注意しましょう。
10/29 17:12
乗りものニュース