「それ“原付”だから違反です」「え、いま免許ないです」「じゃあ…」 ペダル付き原付、取締りの難しさ浮彫りに

「ペダル付き原付は原付バイク以上です!」――道交法改正を前に、東京都内では重点的な取締りが行われています。極太のタイヤを装着した“原付に見える”車両だけでなく、サイズ感からして自転車に見える車両も検挙されています。

原付っぽくない自転車も「止める」

 2024年9月に行われた秋の交通安全運動で、東京都が掲げる4つの重点目標のひとつが「自転車・特定小型原動機付自転車利用時のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底」です。警視庁は9月25日、港区表参道の交差点で、「ペダル付き原付」を対象とした集中取締まりを実施しました。

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取り締まられたランドナータイプのペダル付き原付。普通自転車のサイズだ(中島みなみ撮影)。

 今回は、従来のペダル付き原付の注意喚起と明らかに変わったポイントがありました。

 自転車と原付の特徴を併せ持つペダル付き原付は、これまで歩道を自転車のように走ることが問題でした。普通自転車の規格である車幅60cmを超える“ファットバイク”は、自転車でも、そもそも歩道を走ることはできません。しかも区分は“原付”以上。そうした車両の歩道走行によって、歩行者との接触事故が懸念され、利用方法がクローズアップされました。

 しかし今回、取締まりの現場となった青山通り(国道246号)は片側3~4車線。一部を除き自転車レーンも整備されています。わざわざ歩行者の多い歩道より車道を選ぶような道路です。何が取り締まりのポイントになったのでしょうか。

 原付には制限時速30km/hの「一般原付」と、同20km/hの「特定小型原付」があります。そこで問われるのはスピード。警察官はそこに注目したと考えられます。

 今回の取り締まりで特徴的だったのは、長距離旅行に適した自転車“ランドナー”を模したペダル付き原付への対応です。

 自転車ですが長距離旅行用に多くの荷物を積むことを想定したランドナーは、通常の自転車よりタイヤは太いですが、自転車として想定の範囲の太さです。ランドナー型のペダル付き原付であっても、自転車との見分けが付きにくいのが特徴です。アシスト力が自転車規格を外れて大きくても、加速調整用の部品がついていなければアシスト自転車のようにも見えますが、実際に走っている姿でペダル付き原付としての取り扱いが問われました。

「じゃあ、家まで」免許所持確認で警察官が同行する徹底ぶり

 取り締まられた運転者の一人は、車両のハンドルに加速調整用のスロットルレバーが付いていたことから、当該車両は免許が必要なペダル付き原付であると判定されました。車両を市区町村へ届け出た証である課税標識(ナンバープレート)は車体に取り付けていませんでした。その取付けを怠った条例違反のほか、ヘルメット未着用でも道交法違反に問われました。

 さらに、免許の提示を求められましたが、運転者は「運転資格はあるが、免許は不携帯である」と主張しました。

 ただ、その場で確認ができなかったため、警察官が免許証のある場所まで警察官が同行して確認することになりました。その間、車両に乗ることはできず、自転車を押す運転者と警察官が歩道を歩くことに。

 スロットルでスピードを調整し自走する車両はペダル付き原付、という認識は広がってますが、規格外のアシスト力を備えた車両には注意が必要です。生産国ではフル電動車として作られた輸入車両が国内に流通し、自走はできないようにしつつも、規格外のアシスト自転車となっている可能性もあります。車両の詳細を見なければ、原付と判定しにくいケースがあるのです。

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警視庁の注意喚起チラシ(画像:警視庁)。

 時折、雨も降る同日の取り締まりでしたが、ペダル付き原付では30-50代の男性3人、5件の違反切符が交付されました。うち1人は無免許運転でも摘発されています。

 また、個人所有の電動キックボードの運転者一人も、課税標識なし、ヘルメット未着用で摘発を受けました。

 市区町村への届け出を行っていないペダル付き原付、電動キックボードの公道走行はできません。適した車両区分の課税標識取付は必須です。

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