空自の次期戦闘機「頭脳と眼」は誰が作るの? 見えて来たヒント…その根拠とは

空自の次期戦闘機開発プロジェクト「GCAP」の「頭脳」や「眼」といえる部分の開発はどこが行うのでしょうか。英国の航空ショーで、そのヒントを見ることができました。

自社だけじゃできない「火器管制・探知システム」

 2024年現在、航空自衛隊の次期戦闘機開発プロジェクト「GCAP(Global Combat Air Programme/グローバル戦闘航空プログラム)」が日・英・伊の3国共同で進行しています。この操縦システムや、火器管制・探知システムといった「頭脳」や「眼」といえる部分は、参画メーカーは明らかになっていますが、3か国のどこを中心に開発・生産されるのかはまだ一般には見えていません。このヒントを、7月に行われたファンボロー航空ショーで見ることができました。

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BAEシステムズが公開したGCAP(グローバル戦闘航空プログラム)の実物大模型(画像:BAEシステムズ)。

 GCAPにおいて、3か国がのどの部分の開発を重点的に行い、自国での生産につなげるかは、各々の国での雇用に結びつくだけに、産業界にとっては大きな関心のひとつです。

 そのなかで、火器管制・探知システムについて、「英国が有利」と思える展示が同航空ショーにありました。これらシステムは通信技術を生かして友軍機や地上の友軍などと広範囲な連携を図るもので、その意味で機体の「頭脳」や「眼」といえる装備です。

 そして、これらは武器の発射につながるだけに、ミサイルや爆弾を開発・製造するメーカーの協力も必要不可欠ともいえます。

 ファンボロー航空ショーでは、この協力態勢を英国側が既に築いていると見られるような場面がありました。GCAPの英国側担当メーカーであるBAEシステムズの専用展示場と並ぶようにして、欧州のミサイルメーカー「MBDA」が専用展示場を構えていたのです。

MBDAがキーマン?

 戦闘機への搭載兵器として、日本もこれまで99式空対空誘導弾(AAM-4)や93式空対艦誘導弾(ASM-2)などを開発してきました。しかし、輸出はされず空自が採用したのみです。加えて精密誘導爆弾などの対地攻撃兵器の開発は、日本ではほぼありませんでした。

 これに対して、2001年に欧州内の企業のミサイル部門を統合して誕生したMBDAは、空対空と空対地で多彩なミサイルを生産しています。ミーティアやストームシャドー、スピアといったそれらの実物大模型が、専用展示場前に並べられ、それらを搭載する各国の戦闘機の模型も飾られていました。

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ファンボロー航空ショーで展示されたMBDAのミサイルなどの屋内展示場。各兵器が搭載される戦闘機の模型もあった(相良静造撮影)。

 欧州内の企業の統合で生まれたMBDAは、それだけ多彩なミサイルの開発経験があり、技術的な蓄積は日本を大きく上回っているのは確かでしょう。それゆえに火器管制・探知・通信システムの開発は、英国内で進める方が協力態勢を築きやすいといえます。そのため、英国が提携し、システム開発を進める方向が有力である可能性が高いといえます。

 さらにステルス戦闘機では、搭載兵器は兵器倉への収容が求められます。兵器倉の設計は難しく、高速かつ高機動飛行時の使用に支障がないか、ミサイルや爆弾をそれらの種類ごと個別に兵器倉へ積んで試験をしなければなりません。これも、ミサイルメーカーとの密接な協力が不可欠です。

 GCAPの開発費の分担は、日英が4割ずつ、伊が残りを負担するとの情報も散見されます。今回の火器管制・探知システムをはじめ、3か国がGCAPの開発をどのように分担するのでしょうか。

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