取り締まられないの? 東京都内「路駐多いスポット」のナゾ 現地をよく見ると「確かに」
東京都内で路上駐車をしようものなら、すぐに取り締まられるイメージがあるかもしれませんが、なかには、やけにクルマが多く止まっているスポットも存在。一体なぜなのでしょうか。そうした場所で規制が見直されたケースもあります。
「禁止標識なし」「日曜だけOK」も
都市部でハンドルを握るドライバーのほとんどは、「道路は駐車禁止が原則」と認識しているのではないでしょうか。あるいは「パーキング・メーターの作動時間外は、駐車していい場所もある」と理解している人もいるでしょう。
実は、意外にも法律の建て付けは、まったく逆になっています。
道路への駐車は原則として合法で、「道路標識や道路標示により停車又は駐車を禁止する場所」「道路標識の設置の有無にかかわらず停車又は駐車を禁止する場所(交差点から5m以内、駐車場や車庫などの出入口から3m以内など)」への駐車が違法ということになります。
つまり大都市の繁華街であっても、そこに「駐車禁止」「駐停車禁止」の規制標識や標示がない限り、「無余地駐車(車両の右側の車道上に3.5m以上の余地がない場合での駐車など)」「停車又は駐車の方法に従わない駐車(道路の左側端に沿わない駐車など)」に抵触しない駐車は、取締りを受けることはないのです。
じつは東京にもいくつか、そうした場所があります。ただし路上駐車を推奨するものではないため、具体的な場所は明かしません。
まずは山手線エリアからやや離れた、高台の住宅地を抜ける幹線道路沿いの約500mの区間です。この区間を挟む交差点にはそれぞれ「駐車禁止」の標識が、「終わり」を示す補助標識とともに設置されていますが、区間内にはそうした標識はなく、また路肩の縁石にも「駐車禁止/駐停車禁止」を示す黄色いペイントはありません。
ただ、当然のことながら、ここが駐車禁止ではないことを積極的に示す標識などは設置されていないこと、また近隣に商店やオフィスが少なく、最寄りの鉄道駅からもそこそこ離れていることもあってか、路上駐車はそれほど多くない状況です。
つぎにご案内するのは、東京23区内でも有数の大きさを持つ公園の周辺です。
近隣の道路には「駐車禁止」の標識が設置されていますが、公園を周回する道路のうち約1.2kmの部分と、近隣を走る国道からその公園にアプローチする道路の約300mだけは、「駐車禁止」の標識に補助標識として「日曜 休日を除く」が併設されています。つまり日曜休日は駐車禁止が解除になり、路上駐車が違法ではなくなるのです。
こちらでは標識により「日曜休日が駐車禁止でないこと」がわかりやすく示されているためか、該当日には路上駐車が数多く見られます。公園の有料駐車場は台数が限られていることから、来訪者向けにこうした措置がとられているのかもしれません。
逆に「あそこ路駐なくなったよね」スポットも
最後にご案内するのは、東京都心のど真ん中にある駐車可能道路です。
場所は高層ビルが立ち並ぶオフィス街で、駐車可能となっているのは約200mの一方通行の東西に走る街路、その街路から信号を隔ててつながる約40mの対面通行の街路、さらにその街路と直交する南北約200mの一部一方通行の街路です。
こちらには「9時から19時は駐車禁止」という標識と、「土・日曜、休日を除く」という補助標識が設置されています。つまりわかりやすく言い換えると、「平日は19時から9時までは駐車可能」「土日休日は終日駐車可能」ということです。
クルマを停めた場所から地下に降りると複数の路線が走る地下鉄駅、JRのターミナル駅までも歩いて5分ほどという“好立地”のため、駐車禁止が解除となる土休日は路上駐車のクルマで埋まります。
日中にこの街路に入り、「空いているから停められそう」と思って近づいても、そんな場所は消火栓や駐車場の出入口付近など、法律により駐車が禁止されているところばかりです。こちらに路上駐車するには、早朝にアクセスする以外、よほど運に恵まれる必要がありそうです。それにしてもなぜここだけが駐車禁止の指定から外れているのか、不思議に思うばかりです。
一方、東京23区内には、かつて路上駐車が多く見られたものの、今はそうではなくなっている、というところもあります。
たとえば、「味の素ナショナルトレーニングセンターからひとブロック東の一方通行の道路(北区)」「東京国立博物館北東側の一方通行の道路(台東区)」「豊海埠頭(中央区)」など、いくつも駐車禁止の標識や標示がない道路がありました。しかしこれらは近年、規制の見直しにより駐車禁止の指定が行われています。
今回ご案内した道路も、現状の“駐車してもいい状態”がいつまで続くのか、まったく不透明です。ある日突然「駐車禁止」になるかもしれません。
なおこれらの駐車が違法ではない道路においても、自動車保管場所法第11条(保管場所としての道路の使用の禁止等)により、同一場所への引き続き12時間以上(夜間は8時間以上)の駐車は禁止されています。そしてその罰則は、20万円以下の罰金と、道路交通法上の放置駐車違反での反則金、放置違反金よりも厳しいものとなっています。
08/18 09:42
乗りものニュース