そこは秘境「道が1本しかない県境」がサイコーの絶景だった!「林道」から名前を変更した道とは?

岐阜県と石川県を結ぶ唯一の道路「白山白川郷ホワイトロード」。たびたび災害に見舞われる険しい道でもありますが、そこには絶景が待っていました。ただ、将来的に“県境唯一の道”ではなくなるかもしれません。

ハードルが高いイメージから名前変更

 ユネスコの世界遺産に登録されたのどかな集落・岐阜県白川郷と石川県白山市とを結ぶ山間道路が「白山白川郷ホワイトロード」です。かつては「白山スーパー林道」の呼称でしたが、「林道」の名を前に、通行を断念する人が多かったこともあり、2015年に一般公募によって現在の名に改められました。

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野趣あふれる風景が続々と目の前に現れる「白山白川郷ホワイトロード」(2024年、松田義人撮影)。

 野趣あふれる風景が続く白山国立公園特別地域を通るルートで、また、岐阜県と石川県とを直接結ぶ唯一の車道でもあり、ドライブ旅愛好家の間で人気の高い道路です。

 一方、ルート上の各所で度々土砂崩れや落石などが起き、通行止めになることもしばしば。また、山間道路でもあることから急カーブも多く「運転の難易度が高いのではないか」と敬遠する人も一定数いるようです。

 冬季閉鎖から全線開通した直後の2024年6月にも土砂崩れが起き、約3週間通行止めとなっていましたが、7月13日に復旧。「夏場のドライブ旅のルート」として再度注目を浴びることになりました。今回、筆者は復旧から間もない「白山白川郷ホワイトロード」を岐阜県白川郷側から通行してみました。

「白山白川郷ホワイトロード」ゲートにほど近い「道の駅 白川郷」でトイレなどの用を済ませ、いざ出発。「白山白川郷ホワイトロード」を通行できる時間帯および通行料金は以下になります。

●通行時間帯
・6-8月:7時-18時(出口閉門19時)
・9-11月:8時-17時(出口閉門19時)
※冬場は通行止め

●通行料金
・軽自動車…1400円(片道)/2200円(往復)
・普通車…1700円(片道)/2600円(往復)
・マイクロバス…5000円(片道)/7900円(往復)
・大型バス…1万1000円(片道)/1万7600円(往復)

 また、「白山白川郷ホワイトロード」はバイクが通行できません。「バイクが通ると正面衝突などの恐れがあるほど狭い道が続くのかもしれない」と少々臆する筆者でしたが、意を決して「白山白川郷ホワイトロード」のゲートを潜りました。

「林道」の言葉通りなのか…?

 緩やかな勾配の直線をアクセルを踏み込み登っていくと、やがてつづら折りが交互にやってきます。ここでのアクセルワークは少々難しいですが、想像よりも運転しやすいです。全線にわたって車線が分離(2車線)された相互通行となっており、林道でありがちな、すれ違いの難しい区間はありません。

 また、進むにつれて山あいの絶景はもちろん、ルート上の近景も次々に変わり、この変化が爽快です。随所にある滝の脇を通ればマイナスイオンを感じることもできます。まさにドライブでの移動がそのまま観光になる絶景ルートだと思いました。

 さらにルート上の各所には、クルマを駐車場に停めて徒歩でアクセスする温泉施設や展望台などが複数あります。今回の通行時刻が遅かったこともあり、いずれも立ち寄りませんでしたが、次回通行の際は、これらのスポット散策も込みで計画し、時間に余裕を持って訪れたいと思いました。

 もちろん、ルート全てにおいていわゆる“酷道”のような、ガードレールもない断崖絶壁の脇をビクビク走るような場所もありません。全長33.3kmを約1時間半ほどで心地良く通行を終えることができました。

 ただし、それでもやはり山間道路であることには変わりはなく、天候の急変や思わぬ落石などがないとも限らず、安全運転を心がけることには越したことはありません。通行される方は事前に情報を調べた上で余裕を持ってアクセスすると良いでしょう。

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「白山白川郷ホワイトロード」岐阜県側ゲート(2024年、松田義人撮影)。

県境の道、1本じゃなくなるかも?

 ところで、現在「白山白川郷ホワイトロード」と並行するように「小松白川連絡道路」という道路も計画されています。
 
 冬場は通行止めとなる「白山白川郷ホワイトロード」に対し、長大なトンネルでつなぐ道路が想定されており、年間通して岐阜県と石川県とを行き来できるようにするもの。整備中の中部横断道と東海北陸道からなるネットワークを、直接、石川県に引き入れる構想でもあります

 実現した際には、絶景を楽しむ「白山白川郷ホワイトロード」、より効率良く移動できる「小松白川連絡道路」と、双方の道路に使い分けができることになるかもしれません。岐阜県・石川県双方の多彩な魅力を、様々なニーズに合わせて、より深く合理的に楽しめる日が来ることに期待を寄せるばかりです。

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