関越道の猛烈渋滞がマシになったのは「利用者のおかげ」? 「ナゾの緑の線」のスゴイ効果 渋滞解消も視野か

関越道の渋滞ポイントの路面に引かれた「緑の実線」が効果を挙げているようです。当初はその意味があまり理解されていなかった側面があったものの、徐々に浸透。長かった渋滞は少しずつ改善されてきています。

緑の実線、面白いほど「みんな従ってる!」

 関越道の路面に“渋滞対策”として引かれた見慣れない「緑の実線」が、大きな効果を挙げているようです。

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東松山ICから関越道下り線への合流部。「車線キープグリーン」が始まる(乗りものニュース編集部撮影)。

 下り線の東松山ICの合流部から、第一走行車線(最も左側の車線)の両側に、「車線キープグリーンライン」と銘打った緑の実線が約4kmにわたって引かれています。「この先4km左車線キープ」「この先2km左車線キープ」「合流後左車線キープ」といった表示内容の看板も合わせて設置されているものです。

 これは、主に東松山ICからの流入車に対し、追越車線側への車線変更を控えてもらうことで、追越車線側に偏りがちな車線利用の平準化を図る狙いがあります。

 東松山ICの先には「サグ」と呼ばれる上り坂となる箇所があり、ここで追越車線側にクルマが集中することで、追越車線側から渋滞が発生しがちです。グリーンラインの区間は、このサグ部を越えたところまで引かれています。

 ただ2021年の設置当初は、見慣れない線であったためか、「何のために設置されているのかわからなかった」など、利用者の困惑が見られたこともアンケートで明らかになっています。

 しかし、2024年7月の休日に、東松山ICから流入してみると、前を走るクルマはことごとく、グリーンラインが終了するまで車線変更せずに第一走行車線を走り抜けていました。

「実は、設置1年後の方が効果が出たんです」。NEXCO東日本関東支社の第9代目「渋滞予報士」鳥海航太さんはこう話します。

 この対策は設置直後から効果を発揮し、月の渋滞回数が対策前の12回から8回まで減少しました。その後1年で、交通量が約4000台増えても渋滞回数は変わらず、車線がまんべんなく使われるようになったことで交通容量が増加、渋滞しづらくなったのだといいます。

 これも含め、関越道は対策の進展によって、確実に渋滞が緩和しているようです。

関越道の地獄渋滞、確実に緩和している!

 2015年お盆の渋滞予測を見ると、関越道の下り線で最も混雑する日は、「花園IC付近を先頭に最大45km」との予測でした。

 これに対し2024年お盆、下り線が最も混雑すると予測される日は、「高坂SA付近を先頭に最大30km」となっています。ただしその先、「嵐山PA付近を先頭に最大10km」も予測されています。

 以前は、北から花園IC付近、東松山IC付近、そして高坂SA付近と3つの渋滞ポイントがあり、それらが全部つながって猛烈な渋滞を作り出していました。

 しかし、花園IC付近は2018年に付加車線工事が完了し、下り線が4車線化され交通容量が増加。これによって渋滞は「解消」(NEXCO東日本関東支社)されたといいます。そして、東松山IC付近については、車線キープグリーンによって「緩和」、目下の渋滞ポイントは高坂SA付近のサグになっているとのこと。

 このように渋滞が短くなったからこそ、いまは東松山ICから入れば、下り線の渋滞を避けられることも多くなっています。

 なお、高坂SAについては上り線も渋滞ポイントになっており、現在、上下線で付加車線の設置工事が進められています。渋滞緩和に一定のメドも付いているといえるでしょう。

利用者へ、NEXCOから「感謝」

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下り線の花園IC付近。付加車線が設置され4車線となっている(乗りものニュース編集部撮影)。

 車線キープグリーンについて、NEXCO東日本関東支社は当初、「ドライバーの慣れ(学習効果)により、時間が経過すると対策効果が弱まってしまう懸念」があったといいます。

 しかし、「お客さまに車線キープグリーンラインの対策目的を知っていただき、実際にキープレフトにご協力いただけた効果、すなわち当社とお客さまの『渋滞対策の掛け算』が効果を発揮した」ものだと認識していると鳥海さんは話します。

 利用者が、車線変更をしたい気持ちをグッと抑えていることが、全体の渋滞緩和につながっているようです。

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