「首都高かよ!?」福島駅の山形新幹線向け新アプローチ線 驚愕のアクロバティック形状を見てきた

JR東日本が福島駅に山形新幹線用の新たなアプローチ線を建設中です。ただ、色々な路線や道路をまたいで、なおかつ急勾配にならないようにする必要があるため、まるで首都高のような形状になっているそうです。現場を取材してきました。

なぜ新たなアプローチ線が必要なの?

 2020年に建設が発表された、福島駅の上り山形新幹線用新アプローチ線。2024年夏現在は高架部分がほぼ完成し、線路の敷設工事が進められています。首都高速道路のジャンクションのように、既存の建造物や敷地といった制限があるなか、空間を上手に活用している点が見どころといえるでしょう。

 そもそも福島駅における山形新幹線の上り新アプローチ線は、山形新幹線の線路を上りと下りに分離し、より柔軟なダイヤ設定を可能にするために計画されました。

 現在、東北新幹線から山形新幹線(奥羽本線)へは、下り線側に設置されたアプローチ線(単線)を使って下りと上り双方の列車が行き来する構造です。このため、東北新幹線との分割・併結作業は、下り線(新青森方面)側の最西端に位置する14番線で実施されています。

 この方式では、上り列車の併結作業をする際、まず上りの東北新幹線「やまびこ」が下り線を横切って14番線に入り「つばさ」を待ち、併結したのち再び下り線を横切って上り線に戻るということになり、2回にわたって下り線を横切る「平面交差」が生じてしまいます。これがダイヤ編成上の課題でした。

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福島駅へのアプローチ線を走る東北新幹線(手前)と山形新幹線(画像:写真AC)。

 というのもダイヤが乱れた場合、現行の方式では14番線ホームを利用する上り列車が下り列車の進行を妨げる事態が発生し、通常運転に復帰するタイミングが遅れてしまうのです。アプローチ線を上下線に分離すれば平面交差がなくなり、ダイヤ乱れからのより早い回復が期待できます。

 こうして計画された上り新アプローチ線ですが、設計にはいくつかの制限がありました。

まるで「首都高速」みたいな立体交差

 現在あるアプローチ線は東北新幹線から分離し、奥羽本線に沿ってカーブを描きながらゆっくり地表へと降りていきますが、新アプローチ線では東北新幹線の高架の下をくぐって上昇する必要があります。

 さらに、東北新幹線をくぐる地点から福島駅ホームまでのほぼ中間には、地表を走る奥羽本線、東北本線、阿武隈急行線、福島交通飯坂線をまたぐ形で陸橋が架かっています。

 これは、福島県道310号庭坂福島線の「西町跨線橋」。この道は福島駅の東西を結ぶ重要なもので、この跨線橋をまたぐ形で上を横切る必要があります。一方で急勾配になると新幹線が登れなくなってしまうため、新アプローチ線ではそうならないよう外側に大きく開いてから東北新幹線の高架と接続する形になりました。

 ただ、大きく外側に開くといっても、使える用地には制限があります。曽根田駅(福島交通飯坂線)前の踏切をまたぎつつ、地表を走る在来線に橋脚で支障が生じないようギリギリまで接近して距離を稼ぎながら高度を上げ、跨線橋の上を横切って東北新幹線の高架に合流する様子は、まるでビルの合間を縫って建設された都心の首都高速道路を見るかのようです。

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JR福島駅に新設するアプローチ線のイメージ(画像:JR東日本)。

 新アプローチ線建設工事は2024年夏現在、高架部分に線路を敷設する工程が進められています。福島駅の上り11番線は現在、定期列車の発着がありませんが、完成後はこちらで上り列車の併結作業が実施される予定です。

 今後は2026年度末(2027年3月)の供用開始を目指し、線路のほか架線などの設備工事が進められます。完成後は運転間隔の調整がしやすくなり、ダイヤが乱れてもより早く復旧するといったメリットを乗客が受けられるようになることでしょう。

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