東京だよね!? 都内「私鉄の閑散駅」5選 一体どんな場所なのか “定説を覆す”超閑散駅も

都内の大手私鉄にも、極端に利用の少ない駅が存在します。それぞれ、どのような場所なのでしょうか。

利用が少ない閑散駅、私鉄にも

 東京都内の大手私鉄では、多くの駅で1日あたり万単位の人が利用していますが、なかには1万人にも満たない“閑散駅”が存在します。それぞれ、どのような場所なのでしょうか。今回は各社が公表している2022年度の乗降人員データに着目しながら、5つの駅を紹介します。

東急大井町線:北千束駅(東京都大田区)

・1日あたり乗降人員:6657人

 路面電車タイプの世田谷線を除き、都内の東急線の駅で最も利用が少ない駅です。住宅街のなか、昔ながらの区道をまたぐ高架橋のすぐ脇に駅の入口がありますが、高架橋が高さ制限2.6mとかなり低く、その注意喚起の看板がまず目につきます。

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東急大井町線の北千束駅(画像:写真AC)。

 駅周辺は狭く、バス路線などもなし。近くには目黒線・大井町線の大岡山駅、目黒線の洗足駅などもあり、利用が分散していると考えられます。

 1928(昭和3)年の開業当初は「池月」駅、その2年後に「洗足公園」駅、さらに6年後「北千束」駅へ改称されています。その変遷が示す通り、当時の目黒蒲田電鉄が駅の南側にある洗足公園の最寄り駅として開業し、ライバル関係だった池上電気鉄道(現・東急池上線)の洗足池駅に対抗しました。なお「池月」は、洗足池にゆかりのある源頼朝の馬の名前に由来します。

京成本線:新三河島駅(東京都荒川区)

・1日あたり乗降人員:5312人

 都内にある京成本線の駅では最も利用者が少ない駅です。日暮里駅を出たあと、北西から北東方向へと向きを変える大きなカーブを通過した先にあり、駅の真下は交通量の多い明治通りが通っています。

 よく、大ターミナルの次の駅は利用が分散するため、利用者が少ない傾向があるといわれます。新三河島の場合はJR山手線・東京メトロ千代田線の西日暮里駅など、周辺にも複数の駅があるほか、明治通りを通る都営バスも本数が多く、その傾向が顕著といえます。

 そんな新三河島駅ですが、戦前の一時期は、日暮里との間でさらに「道灌山通」駅もありました。同駅は日暮里駅に近すぎたこともあり、戦時中に不要不急の駅とされ、戦後に廃止されています。

なぜそこに駅? いよいよ「3000人台」ゾーンへ

 JRの東京23区内の駅で最も利用者数が少ないのは、京葉線の越中島駅(東京都江東区)の4807人(2022年度、乗車人員)ですが、それよりも少ない私鉄駅も都内にはいくつかあります。

東武スカイツリーライン(伊勢崎線):堀切駅(東京都足立区)

・1日あたり乗降人員:3939人

 東武スカイツリーラインの愛称区間(浅草~東武動物公園)のなかで最も利用者が少ない駅。都道から少し入った行き止まりの場所にあり、駅の東側は荒川の土手に面しているため人の気配すら少なく、駅前に目ぼしい店もありません。

 そもそも「堀切」は荒川の東岸、葛飾区の地名です。もともと駅はさらに東側にありましたが、人工河川である荒川放水路(荒川)の開削に伴い東武線のルート変更が行われ、西岸の“川っぺり”を通るように。その途中へ堀切駅も移設されたのです。

 これら堀切駅周辺の荒川の土手や緑地は、テレビドラマ「3年B組金八先生」のロケ地として知られます。

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東武スカイツリーラインの堀切駅(乗りものニュース編集部撮影)。

小田急線:南新宿駅(東京都渋谷区)

・1日あたり乗降人員:3588人

 新宿の次の駅ですが、2022年度、小田急線で最も利用者が少ない駅となっています。新宿駅に近すぎるうえ、JR・都営の代々木駅も500mほどという距離で、利用が分散しているのです。「大ターミナルの次の駅は利用者が比較的少ない」というのを象徴する存在としてよく語られます。

 駅に隣接する美容専門学校のアクセス案内をみると、代々木駅1分、新宿駅4~5分(改札等の場所により異なる)の次に、「小田急線『南新宿駅』隣接」と案内されているほど。ここはほぼ、代々木ないし新宿からの徒歩圏内という認識でしょう。

 駅としては、1927(昭和2)年に小田急線が開通した当初からあります。当時の駅舎は現在よりさらに100mほど新宿寄りで、「千駄ヶ谷新田」駅を名乗っていました。

京王線:長沼駅(東京都八王子市)

・1日あたり乗降人員:3570人

 小田急南新宿駅と僅差ですが、おそらく都内私鉄の主要幹線では2022年度に最も利用者が少なかった駅のひとつでしょう。八王子寄りの隣駅で、京王線から高尾線が分岐する北野駅は1万9438人、新宿寄りの隣駅である平山城址公園駅も7291人というなか、長沼駅の利用者の低さは際立ちます。

 高架駅なので駅南北の通り抜けは容易ですが、駅の北側は浅川が流れているほか、南側は広い校庭をもつ小学校が隣接しています。駅周辺にめぼしい商店などは見当たりません。

 さらに南側の丘陵は絹ヶ丘という分譲住宅地が広がっているのですが、主要バス路線はここから北野駅へ通じており、長沼駅周辺は八王子市のコミュニティバスが補完している状況です。
絹ヶ丘に隣接する広大な「都立長沼公園」のアクセス(徒歩5分)が、現在の長沼駅の主要な役割といえるかもしれません。

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