東急新横浜線の利用「当初計画の7割」に 楽観できない? 今後打ち出す施策は

2023年3月に開業した東急新横浜線の利用状況が当初計画の7割にとどまっています。ただ、もう少し長い目で見る必要がありそうです。

定期旅客と定期外旅客で明暗分かれる

 東急新横浜線が2023年3月18日(土)に開業してから、半年以上が経過しました。利便性は向上したものの、輸送人員は当初の計画値に及んでいないといいます。ただ今後、東急では利用促進に向けた様々な施策を打ち出す構えです。

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東急の5050系4000番台(画像:写真AC)。

 東急新横浜線は、日吉~新横浜間の約5.8kmの路線で、途中駅は新綱島駅のみです。同日に開業した相鉄新横浜線とは新横浜駅でつながり、相鉄線方面から東京都心への利便性が向上。神奈川県から東京都、そして埼玉県に至る広大な鉄道ネットワークが形成されました。
 
 東急は、2023年11月に公表した第2四半期決算資料で、東急新横浜線の輸送人員が当初計画の約7割にとどまっていることを明らかにしました。
 
 東急新横浜線の1日平均輸送人員は6万6251人。東急によると、定期外旅客については、新幹線利用者が転移したことや新横浜駅周辺のイベント需要で堅調とのこと。しかし、定期旅客が当初の想定に及んでいないとしています。

 東急では今後、新綱島駅周辺の再開発などにより、新横浜線の利用者が定着することを期待しています。新綱島駅周辺では、駅直結の複合施設「新綱島スクエア」が2023年12月から順次開業していく予定です。
 
「新綱島スクエア」は商業施設と公共施設、そして高層階の分譲タワーマンションなどからなる複合施設です。東横線の綱島駅と新綱島駅は近い位置にありますが、これら駅直結の商業施設やマンションの開業で、新綱島駅の定期利用者の増加が見込めそうです。

東急電鉄の福田社長「利用が定着するまでには約3年」

 東急電鉄の福田誠一社長は、2023年11月20日(月)に開かれた東急グループ記者懇親会で、新横浜線について「利用が定着するまでには約3年を見込んでいます」との認識を示しました。
 
 新横浜線の広域利用に関しては「東武東上線方面からの利用が増えているという実感はあり、新横浜まで乗り換えなしという点が評価されたのではと思います」と話しました。
 
 新横浜線のダイヤに関しては「2024年春にダイヤ改正を予定しており、足りない部分に関しては補っていきたいと考えています」と明らかにしました。
 
 今後はダイヤ改正のほか、通勤定期客の東急新横浜線への転換促進、各線と相互直通する広域鉄道ネットワークの利便性をPRするなど、各種施策を展開していくとしています。

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