もしも回転寿司にひみつのレーンがあったら? ダジャレに絵探し… 親子でワクワクできる絵本『ひみつのおすしやさん』

『ひみつのおすしやさん』(黒岩まゆ/KADOKAWA)

 とにかく楽しい絵本に出会いました。黒岩まゆさんが描く『ひみつのおすしやさん』(KADOKAWA)です。

 現代美術家としても名を馳せる黒岩さんは、2021年に『うちゅうひゃっかてん』(小学館)で絵本デビュー。発売間もなく重版が決まった人気作『ひみつのラーメンやさん』に続く第2弾です。

 物語の舞台は回転寿司屋さん。家族で出かけたことがある子は、おすしが流れていくレーンの先にいったい何があるのか、気になったことがあるのでは? もしかしたら、そこには不思議な世界が広がっているかもしれません。

テーブルの下にもうひとつのレーンが!?

 今日はのりちゃんの誕生日。家族で向かった先は、ときどき特別なおすしがまわってくるという噂のある、おすしやさんです。

 食事中にお箸を落としてしまったのりちゃんが、お箸を拾おうとテーブルの下にもぐりこむと、そこには、もうひとつのレーンが!? 「よおし、いってみよう!」とのりちゃんが大きなお皿に乗って進むと…?

歌って踊る魚たちが祝福のダジャレを連発!

 のりちゃんを迎える魚たちは、何やらお祝いをしているようす。そうそう、なにしろ今日は、のりちゃんのお誕生日ですから。しかも、ただのお祝いじゃありません。とびっきりのダジャレ入りの歌でお出迎え。

 色あざやかな魚たちが楽しそうに歌って踊る姿は迫力満点。海の中に目を凝らすと、見たことのないいきものたちが泳ぐ姿も!? ここはまるで海のワンダーランド。

ひみつのレーンがたどり着いた場所は…

 のりちゃんを乗せたお皿がきらびやかな建物の中に入ると、海の神様が迎えてくれました。神様がいうには、ここは“特別な日にだけ食べられるおすしをつくる”場所。ひみつのレーンを見つけた子どもだけが来られる世界のようです。

 建物の中は、童話で見たことがある竜宮城のよう。でも、何かが違う。不思議な海の世界が子どもたちの目を惹きつけます。

のりちゃんが食べられてしまう大ピンチ!

 ところが、ここで大ピンチ! 何者かがのりちゃんのあとをつけていたのです。それは、巨大な海ぼうず。人間の子どもを食べたいと追いかけてきたのです。

 お皿に乗っているからって、おすしと間違えるなんて、このまま食べられてしまうのでしょうか!? いえいえ、のりちゃんはある行動でピンチを脱しますから、ご安心を。おすしが大好きなのりちゃんだからこそ思いついたアイデアをお楽しみに。

子どもが喜ぶしかけが満載の絵本

 半分リアルで、半分ファンタジー。著者が描く摩訶不思議な絵が、よく知っているはずのおすしやさんから非日常の世界へといざなってくれます。海ぼうずの登場にはちょっとした怖さもあって、子どもにとってはワクワクハラハラの大冒険。

 ページを開くたびに楽しさと驚きがあり、レーンがうわ〜っとジェットコースターのように動いたり、途中から絵探し(海ぼうず探し)を楽しめる仕掛けがあったりと、ひとときも飽きさせません。

 一緒に読んだ小2の息子は、今ちょうどハマっているダジャレが出てきたので「どんだけ言うんだよ」とうれしそうにツッコみ、海ぼうずが出てきた瞬間から前のページに戻って絵探しを堪能し、海の神様の耳がお魚になっていることに驚いていました。最後には「おもしろかった!」との感想も。

 帯には、海の神様にそっくりなあの人…「すしざんまい」の社長である木村清さんの姿も! 子どもはきっとワクワクしますよ、と自信をもってお伝えしたい絵本です。

文=吉田あき

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