70代はとんがる!西ゆり子さんに「着る」を習って。「年齢を重ねるほど冒険できる」「枯れたおばあさんにはならない」

>『着る学校』受講生・リリーさん

受講生・リリーさん(写真提供:ご本人 以下全て)
ドラマスタイリストの西ゆり子さんが、一般女性に向けて2023年6月に開講した『着る学校』。好きな服を着るための基礎知識を学び、自分らしいおしゃれを楽しめるようになると、人生がどのように変わっていくのか。連載4回目は、70代になってますますおしゃれを楽しんで、日々の装いをアップデートしている受講生の方の学びを紹介します。(構成◎内山靖子 全5回連載/第4回)

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【写真】リリーさんのお気に入りアイテム

校長・西ゆり子さんのインタビューはこちら

好きな服をもっとおしゃれに着こなしたくて

専業主婦として2人の子どもを育て上げ、ようやく自分の時間ができた50代くらいから、あらためて自分の装いと向き合うようになりました。

もともと、おしゃれには関心があり、ふんわりしたデザインやフリルがついた服が大好きで、フリルがついたブラウスを目にすると、今でもついほしくなってしまうほど。若いときから服の好みはずっと同じで、まったく変わっていないんです。

その一方で、70代になった自分が若い頃と同じようなデザインの服を着ているのはどうなのかという不安もありました。いくら好きだからと言って、本当に今の私に似合っている? このまま好きな服を着ていてもいいのだろうか? そんな悩みを抱えていた中、西先生の著書を読んでみたところ、「おしゃれの基本は自分の好きな服を着ること」という文章が目に留まり、やっぱり好きな服を着ていていいのだと大いに共感。

さらに、どうしたら自分の好きな服をもっとおしゃれに着こなすことができるのかを知りたくて、『着る学校』のレッスンに参加することにしたのです。

目からウロコで、白いスニーカーに挑戦

授業を受けて衝撃的だったのは、自分が好きだと思って履いていたブロンズカラーのローファーを、西先生が「無難な靴」とコメントされたこと。自分では「どんな服とも合うので好き」と思っていたのですが、「どんな服にでも合うのは無難ということ!無難はおしゃれの敵よ」というひとことが目からウロコで。

その代わりに、先生がアドバイスしてくださったのが白いスニーカー。それもまた衝撃でした。というのも、私は「スニーカーなんて、おしゃれな服には絶対に似合わない」と思っていたので、それまで1足も持っていなかったんです。でも、思い切って試してみたら、同じ服を着ていても「スニーカーを合わせたほうが断然素敵!」と他の生徒さんたちからもとても好評でした。「スニーカーはおしゃれじゃない」「スニーカーは私に似合わない」というのは、自分の勝手な思い込みだったことにあらためて気づかされました。

『着る学校』受講生・リリーさん

ポップなアウターとスニーカーのコーデ

帽子も、それまでは麦わら系の小ぶりな帽子を愛用していたのですが、「流行のおしゃれを楽しみたいなら、バゲットハットにトライしてみたら…」と新しい課題をいただいたので、またもやショップに飛んで行きました。さらに、『色を着る』をテーマにしたレッスンのときには、今まであまり着なかった鮮やかな黄色のブラウスに挑戦。「派手かしら」と最初は抵抗もありましたが、組合せをあれこれ試してみるうちに「あれ?意外とワタシ似合ってる?」と思ったり(笑)。毎回、先生や仲間を信じて、それぞれの課題をとにかくやってみて、「このコーディネートはどうですか?」と尋ねると、いい場合も悪い場合も、先生や生徒のみなさんがすぐに反応してくれる。それが本当に嬉しくて……。「じゃあ、今度はボトムスの色を変えてみよう!」と、手持ちの服をあれこれ引っ張り出して、気付けば夜中までコーディネートの研究をしていました。

水彩画やお琴など、これまで様々なお稽古事に通ってきましたが、こんなにハマった習い事は初めてです。レッスンを通じて、今までの自分とは縁のなかった服やアイテムをコーディネートに取り入れられるようになったことで、おしゃれも心も自由になって、服を着ることをとても楽しく感じられるようになりました。

『着る学校』受講生・リリーさん

黄色ブラウスのコーデにチャレンジするリリーさん

孫のパワーに負けないように

当初の目的だった「好きな服をもっとおしゃれに着こなす方法」もたくさん教えていただきました。たとえば、以前の私はお腹の周りやヒップラインが気になって、自分の好きなふんわりしたトップスを着るときに、いつもお腹を隠すようなルーズな着こなしをしていたんです。そのせいで、どうしても「おばさんっぽく」見えてしまう。

すると、先生から「隠すのではなく、体のラインをじょうずに見せた方が美しいですよ。トップスをウエストインした後にブラウジングすればスッキリ見えます」と教えていただき、さらに袖をひと折りして手首を露出するようにしたら、同じ服でも格段におしゃれに見える! 以前は自信がなくて体型を隠しがちだったのが、今では胸を張って堂々と街を歩けるようになりました。

ウエストイン「あり」と「なし」。同じコーデで、着こなしによって印象が変わる

10年間、クローゼットの中で眠っていたベレー帽も、かぶり方を教えていただいてスタメンに復活。着こなしの基礎知識を学んだことで、もともと好きだったアイテムも自信を持って着こなせるようになり、おしゃれの幅が広がりました。夫や娘にも「変わったね」と褒められます。1歳と3歳になる孫の家にもちょくちょく遊びに行っているので、孫にも「可愛いおばあちゃん」と言われたい。

そのためには「枯れたおばあさん」ではなく、いつまでも元気でいなければ、と。『着る学校』で習った知識を応用し、孫と遊ぶ日は赤いシャツやキャラクターのついたTシャツなどを着て、孫たちのパワーに負けないような装いを心がけるようにしています。

『着る学校』受講生・リリーさん

10年ぶりにスタメン復帰したベレー帽を合わせて

年齢を重ねるほど冒険できる

3か月間のレッスンの中で最も心に響いたのは、「年齢を重ねるほど冒険できる」という西先生の言葉。「似合わなくなる服もあるけれど、代わりに年を重ねたからこそ着られるようになる服も必ずある」と先生は言います。

私も先生と同世代だからこそ、その言葉に説得力を感じます。父が亡くなった後、我が家で同居していた実母は90代を迎える頃から足腰が弱っていきました。私も、自分ひとりで自由に歩けて人生を楽しめるのは、あと10年くらいかもしれません。だったら、自分がやりたいことは全部やっておきたいなって。

『着る学校』で、同世代や自分より若い世代など、色々な世代の生徒さんたちと一緒に勉強したことも大いに刺激になりました。若い人からは、スマホで自撮りをするときは遠隔シャッターを使うと便利とか、私の年代ではわからないような情報も教えていただいたり、世代を超えて励まし合ったり…。3カ月間のレッスンでだけでは物足りない。まだまだおしゃれの勉強をしたいので、目下、西先生の個人レッスンを受けているところです。

『着る学校』受講生・リリーさん

お気に入りトップスのコーデ

もっと若いときにこの学校に出会えていたらと思うこともありますが、「70代はとんがる」という西先生のエールと笑顔を忘れずに、これからもおしゃれを楽しみながら、毎日を前向きに過ごしていきたいと思っています。

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