「不記載」議員の非公認方針、自民都連の会合は重苦しい雰囲気に…幹部「このタイミングで言われても」

(左から)平沢勝栄・元復興相、下村博文・元文科相、萩生田光一・元政調会長

 衆院選が目前に迫る中、自民党派閥の政治資金問題で政治資金収支報告書の不記載があった都内の候補予定者8人のうち、下村博文・元文部科学相と萩生田光一・元政調会長、平沢勝栄・元復興相の3人が公認を得られない見通しになった。そのほか、比例選の重複立候補を認められない予定者も出る見込みで、各陣営には動揺が広がった。

「タイミングが…」

自民党本部で開かれた都連の会合(7日、千代田区で)=高橋美帆撮影

 自民党本部では7日午前、衆院選に向けた都連の会合が開かれた。出馬予定の国会議員らが集まった会場は、重苦しい雰囲気に包まれた。

 この日は都道府県連から党本部への公認申請の締め切りで、都連幹部によると、都連は不記載があった議員らも公認申請した。ある都連幹部は「後援会や各支部は選挙に向けて動き出している。このタイミングで言われても……」と困惑した様子で語った。

 非公認の方針が伝えられたのは前日の6日。地元・八王子市のイベントを回っていた萩生田氏は午後、予定を急きょキャンセルしたという。地元の自民関係者は「役職停止処分を受けていたので、公認されると思っていた」と驚きつつ、「『説明が足りていない』との声は今も届くので、今回の判断もやむを得ないのかもしれない」と肩を落とした。

「気を引き締めて」

 党員資格停止中で、元々、無所属で東京11区に出馬予定だった下村氏は、「ありがたいことに自民党時代の支援者が応援してくれる。政治とカネの問題について丁寧な説明をしながら、有権者に理解を得られるようにしていきたい」と強調した。

 822万円の不記載があった丸川珠代・元五輪相。参院からくら替えし、東京7区から出馬予定だが、支援する自民区議は、「強固な地盤があるわけではないので厳しい面がある。しっかり気を引き締めて、選挙に臨んでいく」と話した。

 こうした中、東京6区に出馬予定だった越智隆雄衆院議員は急きょ不出馬を表明した。地元・世田谷区の自民区議は、「小選挙区で泥臭く戦ってほしかった。不出馬は潔くないと思うし、残念だ」と悔しがった。

野党は警戒感

 一方、選挙戦で相まみえる野党陣営からは、様々な声があがった。萩生田氏と同じ東京24区に出馬予定の立憲民主党の有田芳生・元参院議員は7日に記者会見し、「萩生田さんは、死に物狂いで野党の候補者をたたきつぶす努力をするだろう。全く楽観していない」と警戒感をあらわにした。

 東京11区で下村氏と相対することになる立民の阿久津幸彦・元衆院議員は「当選すれば、『みそぎは済んだ』と元通りになる。国民軽視の政治姿勢としか思えず、議席奪還に向けて全力で取り組む」と意気込んだ。

 7区で出馬準備を進める日本維新の会の小野泰輔衆院議員は、丸川氏について、「(不記載について)公の場で説明をしておらず、政治姿勢が問われる選挙になるのではないか」と述べた。

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