立民代表選、「対維新」巡り温度差 野田氏・枝野氏・泉氏・吉田氏がNHK番組で論戦

立憲民主党代表選に出馬した野田佳彦元首相(67)、枝野幸男前代表(60)、泉健太代表(50)、吉田晴美衆院議員(52)の4氏は8日のNHK番組で、野党連携の在り方や次期衆院選の戦略を巡って論戦を交わした。国民民主党との関係を重視する姿勢はおおむね一致したが、日本維新の会との距離感については温度差もうかがわせた。また、自民党派閥政治資金パーティー収入不記載事件に絡み、不記載のあった自民衆院議員への対抗馬擁立を他の野党と協力して進めるべきだとの声が相次いだ。

野田氏、「裏金議員」に対抗馬を

野田氏は「野党の大きな固まりを作るときには、まず国民民主党・立憲民主党の連携から始めなければいけない」と述べ、他党に優先し国民民主との関係構築を図るべきだと主張した。

一方で、次期衆院選での「野党の議席の最大化」の意義にも言及し、国民民主以外の野党とも「対話」は重ねるべきだと指摘した。不記載議員への対抗馬擁立の必要性にも触れ「裏金議員のところは、他の野党とも協力して全力で立てていかなければ」と訴えた。

また、他の野党と競り合う立民の立候補予定者に対しては「頑張って応援しなければいけない」と前置きしつつ、「あえて(候補を)ぶつけていくようなことはやるべきではないと思う」とも述べた。維新が一定の勢力を持つ近畿の選挙区でのすみ分けを念頭に置いた発言とみられる。

枝野氏、過半数擁立が「最大野党の責任」

枝野氏も、国民民主との関係を重視する姿勢を示し「共通の基盤に立っている政党だ。不断の努力で連携を深めていきたい」と表明した。

国民民主以外の野党に関しては、野田氏に比べると慎重さが際立った。次期衆院選での維新や共産党との関係を念頭に「一本化することが目的に見られてしまったら、立憲民主党がどういう社会を作るのかが伝わらなくなる」と指摘した。

一方、野田氏が述べた不記載議員への対抗馬擁立構想には賛同し、考え方が異なる野党が候補をすみ分けたとしても「裏金議員を倒すという最大の課題だ。(有権者に)理解していただけると思う」と述べた。

次期衆院選の擁立目標については、定数の過半数(233議席)の選挙区候補を立てることが目標だと説明し、届かない場合でも比例代表単独候補を合わせて過半数をクリアすることが「最大野党の責任だ」と持論を展開した。

泉氏、「阿吽の呼吸」に期待?

泉氏も次期衆院選の擁立目標に触れ、国民民主と合わせれば「233は超えていく」との見通しを示した。国民民主に関しては「連立ということも想定しながら」とも言及した。また、野田、枝野両氏と同様に「裏金議員の空白区には必ず立てて戦っていきたい」と述べた。

泉氏は、共産とともに政権を担う可能性は明確に否定しているが、8日の番組では、「阿吽(あうん)の呼吸」による候補すみ分けへの期待を感じさせる発言もあった。共産が立民との連携を考えていないのであれば「もっと(立候補予定者が)立っているはずだ」と指摘した上で「目に見えないところで努力もしていただいている」と語った。

維新との関係については、衆院選前に政権構想を共有できる可能性は乏しいとする従来の見解を重ねて示した。

吉田氏、「政治とカネ」に決着

吉田氏は、次期衆院選で「政治とカネ」の問題に決着をつけるべきだとして、選挙区で与野党一騎打ちの構図を作ることが急務だと訴えた。「もう時間が限られている。一本化に向けて全力を尽くすべきではないか」と述べた。

その上で、国民民主、維新、共産、れいわ新選組を挙げて「さまざまな野党があるが、この一点において協力できるのかを問いたい」と強調した。

また、他党とすみ分けを進める際は「地域事情はとても大事だ」と指摘し、代表に就任した場合は、地方組織に対して他党との話し合いなどを進めるよう促す姿勢を示した。政権構想について「国民にしっかりと説明する責任がある」とも主張した。

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