「政治とカネ」の遠因か 超党派議連が額賀福志郎衆院議長に選挙制度改革申し入れ

現行の小選挙区比例代表並立制の見直しを検討する超党派議員連盟が27日、額賀福志郎衆院議長に対し、議長のもとに衆院選挙制度の抜本的な検討を行う協議機関を設置するよう求めた。自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件などを受け「金がかかる政治」からの脱却を求める声も背中を押した。ただ、政党間の思惑はさまざまで、結論を得るには難航が予想される。

「『金のかからない選挙』と言いながら、金で政治が動く状況は変わっていない」

自民や立憲民主党など全9党派でつくる「政治改革の柱として衆議院選挙制度の抜本改革を実現する超党派議員連盟」に参加する福島伸享衆院議員(無所属)は額賀氏と面会後、記者団にさらなる選挙制度改革が必要だと訴えた。

岸田文雄首相も21日の記者会見で不記載事件を受けた政治改革について、「政治資金を巡る問題は民主主義のコストについての議論だ。選挙制度など政治に関わるさまざまな課題について議論を進めていかなければいけない」と言及していた。

リクルート事件(昭和63年)が浮き彫りにした「政治とカネ」の問題を受け、平成6年に導入されたのが今の小選挙区比例代表並立制だ。しかし、不記載事件は「政治とカネ」の根の深さに改めてスポットライトを当てた。この30年の間に都市部への人口集中が進んだことなどもあり、中選挙区制への復帰を含め多様な改革論が交錯している。

もっとも、各党派が思い描く「理想の選挙制度」は一致していない。

日本維新の会は今年1月に示した政治改革大綱で、将来的に議員定数を3割削減することを目指すとした上で、次期衆院選に向けて衆院比例代表の議席を2割削減すべきだと訴えた。一方、共産党は小選挙区制の廃止と比例代表を中心とする選挙制度を主張している。

自民幹部は「現行制度の評価は各党間で大きく異なる。『言うは易し』。新たな結論を見いだすのは簡単ではない」と強調した。(長橋和之)

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