国会、事実上閉幕で法案成立率は98・4% 「政治とカネ」問題の裏で閣法審議は与党リード

自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件に焦点が当たった通常国会は21日、23日の会期末を前に事実上閉幕した。「政治とカネ」をめぐり与党が野党から集中砲火を浴びた一方で、政府が提出した法案(閣法)の審議はスムーズに進み、閣法の成立率は98・4%となった。

通常国会に提出された閣法62本のうち、参院で継続審査となった再生可能エネルギー海域利用法改正案を除く61本が成立した。成立率は、過去5年の通常国会では令和4年の100%に次ぐ高さだった。

閣法審議では、かつての安全保障法制などを想起させるような目立った与野党対決は表面化しなかった。

首相の国会答弁が必要な重要広範議案では、経済安保上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度を創設する「重要経済安保情報保護・活用法」などが成立した。

児童手当や育児休業給付の拡充を柱とした少子化対策関連法や、離婚後の親権を父母の双方に認める「共同親権」を盛り込んだ改正民法は当初、立憲民主党が成立に抵抗すると目されていた。しかし、蓋を開けてみれば少子化対策関連法は与党の賛成多数で、改正民法は立民も含む賛成多数で成立した。

滞りなく成立が相次いだ背景には、不記載事件を受けた政治資金規正法改正案を巡る与党批判に野党の意識が集中したためとの見方がある。

終盤国会では野党の追及対象が規正法案一色となり、自民が当初描いたスケジュールは崩れ、成立は会期末直前の今月19日にずれ込んだ。ただ、その裏では主要な閣法の審議が着々と進んでいた。

自民中堅は「政治とカネに野党の批判が集中したため、閣法を審議する委員会が止まることはめったになかった。野党は国民から『生ぬるい』と指摘されないだろうか」と笑った。(今仲信博)

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