「仙人になる」「退職金受け取る」「知事選はリニアでごまかさない」川勝平太知事最終会見

静岡県知事選(26日投開票)が告示された9日、川勝平太知事(75)は県庁で最後の記者会見に臨んだ。知事選でどの候補を支持するかは明らかにしなかったが、自身が静岡工区の着工を認めてこなかったリニア中央新幹線への対応を巡り、「候補者はそれぞれ明確な見解を出し、ごまかさないことが大事だ」と注文を付けた。川勝氏は10日午前0時に自動的に失職する。

4月1日に県の新規採用職員への訓示の中で行った、職業差別ともとれる発言をきっかけに、4期目の任期途中で身を引くことになった川勝氏。「最大の公約は、南アルプスの自然環境の保全と水資源の確保、それとリニア工事を両立させることだった」と振り返り、JR東海が東京・品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線の令和9年開業を断念したことで、「公約に関わる仕事に一つの区切りがついた」と述べた。

時折笑顔を見せながら自身の〝実績〟を語った川勝氏は、「南アルプスは国立公園であるがゆえに、その自然環境の保全は政府の国策でなければならない」と指摘。生態系に関する有識者会議が出した報告を引き合いに、「南アルプスのトンネル工事自体に黄色信号がともった」と持論を展開した。

川勝氏は1期目の際には自身の公約に従い、退職金の受け取りを辞退したが、2期目、3期目の際にはいずれも退職金を受け取った。4期目は約1年余りを残しての退任となるが、規定通りなら約2800万円の退職金が支払われる。川勝氏は退職金を受け取るかを問われると、「受け取ります」と明言した。

今後の身の振り方については、これまで明らかにしてこなかった。この日の会見でも「仙人になる」と冗談交じりに話し、「信州信濃の山奥で、小鳥と話して過ごす、それが私がイメージしている仙人の姿」とけむに巻いた。(力武崇樹)

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