自民、島根1区総力戦でも広がる悲観論 支持層、無党派層とも支持拡大に苦戦

衆院3補欠選挙(28日投開票)を巡り、自民党は唯一公認候補を擁立した島根1区に総力戦で臨み、岸田文雄首相(党総裁)は27日に島根入りする方向で調整に入った。島根1区で敗れれば不戦敗を含め3戦全敗。岸田政権の浮沈を左右する選挙で、党幹部だけでなく若手・中堅議員も現地入りしたが、派閥パーティー収入不記載事件の逆風は強く、党内には敗北ムードも漂っている。

共同通信社が選挙戦中盤の20、21両日に行った情勢調査では、立憲民主党の元職、亀井亜紀子氏が先行し、自民新人の元中国財務局長、錦織功政氏=公明推薦=の苦戦が報じられた。調査では、錦織氏が自民、公明の支持層をそれぞれ6割弱、5割程度しかまとめられていないとされる。このため、党本部は自民支持層の票固めに注力した。

茂木敏充幹事長や森山裕総務会長、小渕優子選対委員長ら党幹部に加え若手も現地入りし、支持団体や企業、地方議員に協力を依頼して回った。茂木氏は25日、党島根県連や支持団体と会い、不記載事件に関し陳謝した。小渕氏は25日から投開票日まで島根に張り付く。自民支持層が亀井氏に流れないよう党の信頼回復を図る戦略だ。

それでも支持団体の動きは鈍く、党内には悲観論が広がっている。島根1区で議席を得てきた自民の細田博之前衆院議長=昨年11月死去=は、不記載事件の中心となった安倍派の元会長。現地入りした選対幹部は、支援を求めた企業から「今回は自民への投票は難しい」と苦言を呈された。

事件の影響に加え、財務官僚出身の錦織氏の知名度不足もあり無党派層の支持も広がっていない。共同通信社の調査でも無党派層の獲得は1割にとどまる。

公明党の山口那津男代表は現地入りを見送った。事件への不快感が強い公明支持層の票の行方も不透明だ。自民の閣僚経験者は「誰もが島根は負けると思っている」と突き放した。(永井大輔)

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