衆院選公示、首相のお膝元の鳥取2選挙区はともに三つどもえの戦い

ガンバロー三唱で気勢をあげる支持者たち=2024年10月15日午前9時42分、鳥取県米子市、渡辺翔太郎撮影

 衆院選が15日公示され、鳥取県内2小選挙区には現職の首相を含む計6人(前職3人、新顔3人)が立候補した。両選挙区とも、自民、立憲民主、共産の三つどもえの争いとなった。「政治とカネ」の問題や東京一極集中の是正策などを争点に、27日の投開票まで12日間の論戦が始まった。

■鳥取1区の候補者らの訴え

 立憲新顔の朝倉浩之氏(51)の出陣式は鳥取市内の事務所前であり、推薦する連合鳥取、社民県連合の関係者も顔をそろえた。

 朝倉氏は市中心部や住宅街でもマイクを握った。自民党の裏金問題については、「この問題を許すのか許さないのか、その意思表示を今回の選挙でやる必要があります」と鳥取でも争点化する考えを示した。

 また自身が鳥取1区で野党第1党が15年ぶりに擁立した候補だと説明し、「27日は新たな選択肢がどうかとじっくり考えて投票してほしい」と呼びかけた。その上で、「県民一人ひとりに寄り添う政府を作るため、この鳥取からのろしを上げて政権交代を目指す」と訴えた。(清野貴幸)

 共産新顔の岡田正和氏(42)の第一声はJR鳥取駅前で行われた。

 党県委員会の岩永尚之委員長は「自民党政治をもとから変える選挙だ。期待が大きかっただけに(石破首相の)手のひら返しのがっかり感はどこよりも大きい」。鳥取民主商工会の浜野弘典事務局長や女性後援会を代表して岡本裕子さんも支援を呼びかけた。

 岡田氏は「政治とカネ」の問題に触れ、「自民党の裏金問題を追及し、企業・団体献金を禁止する」と明言。自民党政治では暮らしは良くならないとし、「この国に生まれてきて良かった、暮らしていて良かったと思えるような政治へと切り替えていく」と力を込めた。(斉藤勝寿)

 自民前職の石破茂氏(67)=公明推薦=の出陣式は、鳥取市内の事務所前で実施された。首相である本人は、全国の候補者の応援のため不在だった。

 東部選対本部長の浜崎晋一県議は「政治とカネ」の問題で厳しい選挙戦になるとして「政治改革を掲げる我らが石破総理を押し上げることが必要だ」と強調。後援会の渡辺憲会長は、石破氏から「地元に帰れないのでよろしく」と電話があったとして支持を求めた。

 石破氏の妻佳子さんは「石破は『肩書のある役職に就くのが大事なのではなく、何を実行するかが政治家にとって大事だ』と信じて進んできた。皆さんの力添えでしっかりと勝ち抜きたい」と訴えた。(清野貴幸)

■鳥取2区の候補者らの訴え

 立憲前職で社民県連合が推薦する湯原俊二氏(61)はJR米子駅前のだんだん広場で出陣式を開き、支持者らが耳を傾けた。

 自民党の「裏金問題」について「金まみれの政治を変えていかなければならない」と批判。そのうえで、企業・団体献金の禁止を訴えた。

 また、所得の格差や地域間格差について「地方に権限と財源を移していく。子育て、教育、雇用などを公(おおやけ)が支援する。中間層を分厚くし、可処分所得を消費に回すことで経済の好循環につながる」と、経済政策の転換を呼びかけた。

 連合鳥取の山口一樹会長も駆けつけ「政治を変えるために湯原さんが必要」などと訴えた。(奥平真也)

 自民前職の赤沢亮正氏(63)=公明推薦=は、鳥取県米子市公会堂の広場で出陣式に臨んだ。閣僚として臨む初めての選挙で、大勢の警察官が警備にあたった。

 赤沢氏は「政治とカネ」の問題について、「自民党はみなさまの信頼を失うようなことをした。本当に申し訳ない。私自身はやましいことはないが、国民のみなさんに、どれだけおしかりをいただいても、まったくしょうがない問題」と陳謝した。

 公約に物価高騰対策や地方創生などを掲げ、「県民所得をあげ、人口流出を止め、東京一極集中を是正する。この鳥取県から日本を変えていく力を私に与えてください」と呼びかけた。(渡辺翔太郎)

 鳥取県米子市内の事務所前で出発式をおこなった共産新顔の福住英行氏(48)は、この日は米子・境港市内を選挙カーで回り、街頭演説を重ねた。

 米子市公会堂前の交差点そばでは、「物価高騰が私たちの暮らしを脅かしています。無為無策の結果」と自民政治を批判。消費税を5%に減税することや、最低賃金の引き上げ、島根原発再稼働の阻止などを訴えた。

 さらに「今度の総選挙は共産党の躍進のチャンス。政党名を書く比例代表には日本共産党と書いてください。中国ブロックで1議席を何としても勝ちとらせてください。この鳥取2区では私を国会へと押し上げてください」と呼びかけた。(渡辺翔太郎)

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