兵庫県知事選、自民が候補者擁立できず 県議団幹事長「責任感じる」

取材に応じる兵庫県の自民党県議団の北野実幹事長=2024年10月3日、兵庫県議会、島脇健史撮影

 兵庫県議会で不信任決議が可決された前知事の失職に伴う知事選(31日告示、11月17日投開票)で、県議会最大会派の自民党は3日、議員団総会を開き、独自候補の擁立を見送る方針を確認した。

 今後、党県連(会長・末松信介参院議員)に報告する。自民は不信任決議の提出を主導しており、県議団の北野実幹事長は報道陣に対し、「責任を感じている」と話した。

 これまで県議団は、検討会で独自候補の擁立を協議してきた。

 立候補を表明した元経済産業省官僚の中村稔氏(62)を支援するかどうかについてや、立候補の意向を固めている前尼崎市長の稲村和美氏(51)の支援を念頭に自主投票を求める意見などが出たという。最終的に検討会は、「議員団として知事選への出馬要請を見送ることとする」との答申をまとめた。

 この答申を受けた3日の総会は、紛糾した。

 出席者によると、「(擁立見送りは)地元の支援者に説明がつかない。まだ結論を出すには早い」などと異論が出たという。

 しかし、県議団としての結論は変わらず、北野幹事長は総会後、「候補者の適任者を見つけるに至らず、非常に残念で、私自身はっきりと責任を感じている」と語った。

 自民県議団は、前知事の斎藤元彦氏(46)のパワハラ疑惑などが内部告発された問題をめぐり、6月に調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める動議をひょうご県民連合と共同提案した。

 7月には党県連の末松会長が「知事には大きな正しい決断をしていただきたい」と発言し、事実上の辞職を求めていた。斎藤氏に対する不信任決議をめぐっては、自民県議団が全議員に共同提案を呼びかけていた。

 そのため、次期知事選に立候補すると表明した斎藤氏への対立軸を示すことは、喫緊の課題だった。

 自民県議は「百条委を設置しようとした時から、『斎藤おろし』が目標の一つになっていた。後任の知事をどうするのか、出口戦略を描かなかったツケだ」と話す。

 自民は2021年の前回知事選で、日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した。だが県議団は当時、斎藤氏を支援するグループと立候補した元副知事を支援するグループに分裂。23年に県議団は再び一つになったが、会派内にしこりが残った。

 別の自民県議は、独自候補を擁立できない現状を嘆いた。「混迷だ」

 知事選には、斎藤氏、中村氏のほか、維新の清水貴之参院議員(50)、共産党が推薦を決めた医師の大沢芳清氏(61)が立候補を表明。稲村氏も近く立候補を表明する見通し。候補者が乱立する構図で、今後、自民票の行方が注目の一つになる。(石田貴子、島脇健史)

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