藤井聡太八冠が「将棋とれいん」とコラボ 制服姿で車内アナウンス 「生まれ変わったら電車の運転士を目指しても」 愛知

名古屋市と愛知県瀬戸市を結ぶ名鉄瀬戸線で、3月12日から特別車両「将棋とれいん」の運行が始まりました。

第1号となる列車の「出発進行」の合図は、愛知県瀬戸市出身の藤井聡太八冠が務めました。

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12日、瀬戸市のコミュニティセンターに集まったのは、瀬戸市立效範(こうはん)小学校の6年生の児童100人。「偉大な先輩」の登場を前に皆さん、落ち着かない様子です。

そして、大きな拍手が沸き起こる中で登場した将棋の藤井聡太八冠。

(藤井聡太 八冠)
「私も效範小学校の出身なので、皆さんとお会いできることを楽しみにしてきた」

藤井八冠は2014年度に、この小学校を卒業したOBです。

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CBCテレビでは去年、藤井八冠が在校していた当時に担任だった2人の先生に話を聞いていました。

(小4時の担任 掛野友美さん)
「『つまり』という言葉をよく使っていた。子どもではなくて、おじいちゃんと話しているイメージ」

(小6時の担任 井口亮一郎さん)
「将棋の横綱を目指したいと(文集に)書いていたのは覚えている」

卒業文集の宣言通り、将棋界の横綱となった藤井八冠、母校の後輩たちに将棋セットを贈りました。

(藤井聡太 八冠)
「これまで将棋をやったことがない子も、これを機会に興味を持ってもらえたら嬉しい」

藤井八冠の合図で「将棋とれいん」出発!

子どもたちと記念写真を撮った後、藤井八冠は12日のメインイベントのため、名鉄瀬戸線・尾張瀬戸駅へ。

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電車好きで知られる藤井八冠が、制服姿で待つホームに入ってきたのは…

3月12日から4月12日まで期間限定で運行する特別車両「将棋とれいん」です。

記念すべき第1号は、名鉄瀬戸線を利用していた藤井八冠の合図で出発することになりました。

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車内には、あちこちに詰め将棋の問題が掲示されていて、中には藤井八冠がつくった問題も3つあるそうです。

(藤井聡太 八冠)
「きょうは『将棋とれいん』に、ご乗車いただき、ありがとうございます。この電車は尾張旭行きです」

この特別車両、藤井八冠が瀬戸線にゆかりが深いこともあってコラボが決まったそうです。

何度も訪れた「お好み焼き店」 当時は食事中も棋譜をチェック

名鉄瀬戸線は「せとものの街」愛知県瀬戸市から名古屋市の中心部・栄までの20キロあまりを結んでいます。

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そのうち、名古屋市の北区と東区の境に位置する大曽根駅は「せともの」を運ぶ中継点として発展、高度成長期には商店街を中心に栄え、40年余り前の1983年に高架化されました。

藤井八冠が小学生の頃から通っていた師匠・杉本昌隆八段の研究室があるのも、この大曽根駅の近く。

藤井八冠が研究室に通っていた当時、何度も訪れたという、お好み焼き店では食事中も棋譜をチェックするほど将棋を研究していたそうです。

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そして、藤井八冠が食べたというモダン焼きには、こんなエピソードが!

(お好み焼き まつ葉 店主 鈴木盛雄さん)
「藤井くんが(マヨネーズで)『藤』って書いていた。(藤井八冠は)サッサッサって書いたよ。先輩が『井』を書いて『藤井』と」

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さらに当時の写真には、食事のあと蓋をした鉄板の上で将棋を指す藤井八冠の姿が。盤と駒、対局時計まで用意して店に来ていたそうです。

(お好み焼き まつ葉 店主 鈴木盛雄さん)
「もっと写真を撮っておけばよかったし、サインももらえばよかったんだけど。もらってない…」

小学1年生の頃に通った将棋教室 「詰め将棋はプロレベルだった」

そして、名鉄瀬戸線の終着駅、名古屋・栄の栄町駅にも藤井八冠ゆかりの場所があります。

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瀬戸線が乗り入れるようになって、去年45周年を迎えた栄町駅。

「せともの」を運ぶ路線として、かつて名古屋城の外堀を走っていた列車は、栄町への乗り入れで利用客が急増。かつての陶磁器から、通学・通勤の利用客を運ぶ路線に変わりました。

その栄には、藤井八冠が小学1年生の頃に通った場所が。

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1階には飲食店が並ぶ、ちょっと大人な雰囲気のビル。このビルの3階にあるのが日本将棋連盟・東海支部の「栄将棋教室」。

中山則男六段は2008年から、この場所で将棋教室を開いています。

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壁には藤井八冠のサインが、ずらり!

(中山則男 六段)
「なかなかないと思いますよ。これだけ(藤井八冠の)サインがそろっているのは」

中山六段は、藤井八冠が初めて訪れた日のことを「鳥肌が立った」と振り返ります。

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(中山則男 六段)
「詰め将棋の大会で、びっくりした」

将棋教室で詰め将棋の大会を開いた際、答えに窮する大人がいる中、あっという間に解いたという藤井八冠。

(中山則男 六段)
「小学校1年の時点で、詰め将棋はプロレベルだった」

いまでも年に1度は藤井八冠と顔を合わせる間柄ですが、中山六段には唯一の心残りが…。

(中山則男 六段)
「一局も藤井さんと将棋を指したことがない。弱い時に、やっておけばよかった」

「生まれ変わるなら何になりたいですか?」の質問に…

藤井八冠と縁が深い「名鉄瀬戸線」。

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「将棋とれいん」には、将棋を通じて名鉄瀬戸線の魅力を高めようという狙いもあります。

同乗した效範小学校の児童からは、藤井八冠への質問も。

児童:「つらい時は、ありますか?」

藤井八冠:「負けて悔しいということも、たくさん経験してきました。それでも将棋が好きという気持ちは変わらなかった」

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児童:「生まれ変わるなら何になりたいですか?」

藤井八冠:「それは考えたことがなかった。最後に難問が来てしまいました。生まれ変わったら電車の運転士を目指してみるのも良いかなと」

藤井八冠を乗せた列車の運行は、5駅先の尾張旭駅まで約15分行われました。

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(藤井聡太 八冠)
「瀬戸線は子どもの時から乗っている路線。なじみのある路線で『将棋とれいん』を運行していただくのが嬉しかったし。(子どもたちと)交流することができて、特別な一日になったと思う」

名鉄は今後、沿線の学校に棋士を派遣して将棋の魅力を伝える出張授業も計画しています。

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(名古屋鉄道 本田昴大さん)
「今回は初手として『将棋とれいん』を企画したが。2手、3手目と藤井八冠だけでなく、将棋というコンテンツで何かできたら」

「将棋とれいん」は名鉄瀬戸線で4月12日まで1編成運行されますが、運行スケジュールは今後、名鉄のホームページで公開される予定です。

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