宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も

ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)

 宮内庁が開設した公式インスタグラムは2週間でフォロワーが90万人を超えるなど、順調な滑り出しを見せている。しかし、投稿に「いいね」という国民の“正直な声”が届けば、愛子さまと悠仁さまに負担をかけることにも繋がりかねない。宮内庁SNS戦略の問題点とは──。【前後編の後編。前編を読む】

【写真】金ボタンのブレザー姿、ネクタイを締めた悠仁さま。他、車からきりっとした笑顔を見せられる愛子さま、Tシャツ姿の悠仁さま、ニューヨークでの小室さん眞子さんデートも

 これまでの宮内庁の投稿で、もっとも多く「いいね」を集めたのは、両陛下が能登半島地震の被災地を訪問された際のお写真だ。そのほか、両陛下と愛子さまが、愛子さまの勤務先である日本赤十字社(日赤)のご進講を受けられた際のお写真が、10万以上の「いいね」を集めている。

「今後、天皇家だけでなく、秋篠宮家やほかの皇族方の写真もアップされるでしょう。そうなったときに、どなたのどんな写真に、いいねがどれくらい集まっているかが一目瞭然なのは、適切と言えるでしょうか」(皇室ジャーナリスト)

 それはまるで“人気投票”に映るからだ。

「皇室の存在自体が国民の関心や敬愛に支えられている側面は否定できません。陛下や皇族方が公務でチャリティーやボランティアなどに熱心に取り組まれ、文化的価値のある活動の視察などをされるのは、皇室の人気によって、その活動が広く国民に認知されることが期待されるからです。注目を浴びなくなれば、その皇族が活動する意味がなくなってしまう。 

 にもかかわらず、宮内庁が率先して人気の定量化をして、比較できるような仕組みにしているのは甚だ疑問です」(前出・皇室ジャーナリスト)

 その比較の矢面に晒されるのはほかでもない、愛子さまと悠仁さまだ。

ドレスとスーツは土俵が違う

 悠仁さまは4月6日、秋篠宮さまとご一緒に玉川大学(東京・町田市)に足を運ばれた。魚介類の養殖研究の水槽をご覧になり、餌などについてご質問を重ねられた。高校3年生の悠仁さまは、自然環境や昆虫の生態などの「自然誌」の分野が学べる大学への進学を目指されているという。

 現在、皇位継承順位第1位は秋篠宮さまで、第2位は悠仁さまだ。今年9月に18才の誕生日を迎えて成人される悠仁さまは、今後、秋篠宮ご夫妻と公務にお出ましになる機会もあるだろう。インスタの運用の幅が広がれば、悠仁さまのお写真が投稿される日もそう遠くないはずだ。一方で、女性天皇実現の期待は国民の間では高く、「愛子さまを天皇に」という世論は根強い。

「大学を卒業し、皇族としての活動を本格化された愛子さまは、この先しばらくは“初物づくし”です。4月23日の春の園遊会に初めて出席される方向で、調整が進められています。単独での公務も続々と担い、式典などでスピーチをされる機会も増えるでしょう。そのたび、愛子さまにさらに注目が集まり、多くのいいねが寄せられることになります」(皇室記者)

「インスタ映え」という言葉のように、写真主体であることの特殊性もある。

「女性皇族のお召し物や持ち物、アクセサリーは大きな関心事です。今年に限っても、新年の諸行事でのティアラや、大学の卒業式での桜色の振袖、伊勢神宮や明治神宮ご参拝時のロングドレスに、日赤ご就職時のビジネススーツと、さまざまな愛子さまのお姿が大々的にニュースに取り上げられました。当然、いいねが集まりやすい。

 かたや、男性皇族はほとんどの場合ダークスーツ姿。インスタ上では、言わば土俵が違うわけです」(皇室ジャーナリスト)

 にもかかわらず、SNSユーザーは「いいね」のみを物差しにしがちだ。その結果、愛子さまと悠仁さまを「いいね」争いの泥沼に引きずり込む。すでに各種世論調査でも「女性天皇」を容認する声は大きい。インスタ上のいいねが、その意見を後押しすることになる。

「天皇は人気投票で決められるものではありません。万世一系のもと、それを下支えする制度に従って、連綿と受け継がれてきました。ところが昨今の状況は、陛下を中心に一枚岩であるべき皇室そのものの分断を招きかねません。歴史的に見ても、皇室が二分されるような“権力争い”は最悪の結果に結びついています。

 さらに、国民の間にも“愛子さまと悠仁さま、どちらが天皇にふさわしいか” という不毛な議論を呼び、国民の分断にさえつながってしまうのです」(前出・皇室ジャーナリスト)

 皇室にも、SNS時代の余波が押し寄せている。

(了。前編から読む)

※女性セブン2024年5月2日号

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