花粉症患者は「腸内細菌の種類が少ない」という報告も。食物繊維とビタミンDで酪酸産生菌を増やす

イラスト:小林マキ

今年も花粉が飛ぶイヤな季節がやってきました。花粉症は免疫力の低下によって発症しやすくなるといわれますが、免疫機能を正常に保つうえで重要なのが腸内環境です。免疫とアレルギーの関係、腸内環境を整えるコツを学びましょう(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

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腸内細菌の多様性が長寿の秘訣

さらに近年の研究で注目されているのが、“腸内細菌の多様性”についてです。

「花粉症患者は、そうでない人に比べて腸内細菌の種類が少ないという報告があります。アレルギーだけでなく、新型コロナの重症患者や糖尿病、各種がん、潰瘍性大腸炎などの患者についても同様の結果が示されているのです。死亡率とも相関関係があり、腸内細菌が多様性に富むほど長生きであることもはっきりしてきました」

こうした最新の研究成果を踏まえて、内藤先生がおすすめする腸活法は、腸内で多彩な菌を育てる生活習慣です。

「多様な腸内細菌を育てるためには、いろいろなものを食べることが基本。現代人の食事は、たとえば、カレー、ラーメン、パスタというように、メニューの品数が少なく栄養のバランスが偏りがち。毎日の食卓に副菜メニューを増やして、種類豊富な食品を食べることを心がけてほしいですね」

そのうえで、意識してとってほしいのが食物繊維です。

重要な栄養素、ビタミンD

「日本人の食物繊維の平均摂取量は1日14g程度。WHO(世界保健機関)の推奨摂取量は1日25gですから、日本人は圧倒的に摂取量が不足しているといえるでしょう」

また、もう一つ重要な栄養素として指摘するのがビタミンD。

「こちらも多くの日本人に不足しています。ビタミンDは腸内細菌の増加とも相関関係があり、血中のビタミンD値が高い人は、腸内細菌が多様であることがわかっているのです」

食物繊維とビタミンDは酪酸産生菌を増やすのにも効果的な栄養素。とくにビタミンDは、紫外線に当たると人間の皮膚で多くつくられるので、積極的に外出して陽の光を浴びるようにしましょう。

次回からは、腸内環境を整えるさらなるヒントを紹介します。

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