花粉の季節到来! アレルギーを抑える「制御性T細胞」をつくる腸内環境を整えてアレルギーに勝つ

イラスト:小林マキ

今年も花粉が飛ぶイヤな季節がやってきました。花粉症は免疫力の低下によって発症しやすくなるといわれますが、免疫機能を正常に保つうえで重要なのが腸内環境です。免疫とアレルギーの関係、腸内環境を整えるコツを学びましょう(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

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免疫の《アクセル》と《ブレーキ》

花粉症は、花粉によって引き起こされるアレルギー疾患です。こうしたアレルギーは、免疫機能が過剰に反応することで起こるといわれています。

「免疫のしくみは少々複雑。免疫には、“アクセル”として働き、人体に有害なものを排除する『免疫反応』と、免疫反応が過剰に働かないよう“ブレーキ”をかける『免疫抑制』の機能があります。両者がうまく働いていれば、人体に有害なものは異物とみなして排除し、食べ物など体に安全なものは問題なく受け入れて生活できるのです。花粉は本来、人体に悪影響を及ぼさない物質。にもかかわらず免疫反応を起こしてしまうのは、このブレーキがうまく機能しなくなるからと考えられています」と解説するのは、京都府立医科大学大学院医学研究科教授の内藤裕二先生です。

近年、どのようなしくみで免疫抑制が働いているのか、さまざまな研究で明らかになってきました。

『制御性T細胞』と腸内細菌の深いかかわり

「免疫抑制の働きをする細胞はいくつかありますが、中でも注目されているのが『制御性T細胞』です。この細胞が、アレルギー疾患をはじめ、炎症性疾患、自己免疫疾患などを引き起こす、過剰な免疫反応を抑制する中心的な役割を果たしていることがわかりました」(内藤先生。以下同)

この制御性T細胞と、私たちの腸の中にいる腸内細菌には深いかかわりがあるそう。

「私たちの腸内には100兆個もの腸内細菌が存在しているといわれています。その中で、酪酸を生み出す『酪酸産生菌』と呼ばれる菌が、免疫抑制に極めて重要な役割を果たしていることがわかってきたのです。酪酸は腸内を弱酸性に保ち、良い菌が住みやすい環境をつくるほか、アレルギーを抑える制御性T細胞をつくり、増やしていることも明らかになりました」

(イラスト◎小林マキ)

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