Googleとイスラエルのビジネス関係に対する抗議活動で解雇された50人以上の元Google従業員が不法報復だとして規制当局に告訴状を提出、抗議を見ていただけで解雇されたという人物も

Googleとイスラエルのビジネス関係に対する抗議活動で解雇された50人以上の元Google従業員が不法報復だとして規制当局に告訴状を提出、抗議を見ていただけで解雇されたという人物も - 画像


Googleがイスラエル政府との間で結んだクラウドコンピューティング契約を糾弾するべく抗議活動を行ったGoogle社員が解雇されました。この解雇された元従業員たちが、Googleによる解雇は不法報復だとして全米労働関係委員会(NLRB)に告訴状を提出しています。
Google workers fired for protesting Israeli contract file NLRB complaint - The Verge
https://www.theverge.com/2024/4/30/24145680/google-workers-fired-project-nimbus-protest-nlrb-complaint


Workers who Google fired after Israel protest file federal labor charges - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2024/04/30/google-fired-israel-nlrb-labor/
Fired Google Workers Who Protested Israel Deal File Formal Complaint | Data Center Knowledge | News and analysis for the data center industry
https://www.datacenterknowledge.com/google-alphabet/fired-google-workers-who-protested-israel-deal-file-complaint-labor-board
Google workers fired over Israeli contract protests file complaint with labor board | AP News
https://apnews.com/article/google-fire-workers-israel-government-contract-f33ea85a0b9257439c02bd2355cd76ad
Googleは2021年にイスラエル政府のパブリック・クラウド・サービスの提供元として選出されました。両者の協力関係はProject Nimbusと呼ばれているのですが、Project Nimbusが発表される直前の2021年5月にイスラエルとガザ地区の間で武力衝突が起きたため、Googleの社内からは「大量虐殺やアパルトヘイトを支援するものだ」として批判が噴出。社内では抗議活動も行われ、解雇される従業員も出ていました。
これに続く抗議活動が2024年4月16日にも実施されており、カリフォルニア州サニーベールとニューヨーク市にあるGoogleのオフィス内で合計9名の従業員が逮捕される事態にまで発展しています。これを受け、Googleのグローバルセキュリティ責任者であるクリス・ラコウ氏は、従業員宛の社内メモの中で「Google社員の圧倒的多数は正しいことをしています。もしあなたが私たちがポリシーに違反する行為を見逃してしまうのではないかと考える数少ない人のひとりなら、考え直してください。当社はこの件を非常に深刻に受け止めており、解雇を含め、破壊的行為に対して措置を講じるための長年のポリシーを引き続き適用していきます」と述べていました。
Google従業員がイスラエルとの協力に抗議し逮捕される - GIGAZINE


その後の報道で、Googleは2024年4月16日に行われた抗議活動に参加した従業員を次々に解雇しており、その総数が50人を超えたとも報じられました。
Googleがイスラエルのクラウド契約を非難する抗議活動に参加した従業員約20名をさらに解雇、抗議活動で解雇された従業員は合計で50人以上に - GIGAZINE


現地時間の2024年5月1日、抗議活動に参加したとしてGoogleを解雇された50人以上の従業員が、アメリカの労働法を執行する独立機関であるNLRBに対して、Googleによる解雇は不法な報復であると主張する告訴状を提出しました。告訴状には「Googleは約50人の従業員に対して、保護された共同活動、つまり、平和的で非破壊的な抗議活動への参加 に対する報復として従業員を解雇あるいは休暇へと追いこみました。これは憲法修正第7条で定められる従業員の権利を妨害するものです」と記されています。
Google社員による抗議活動を組織したNo Tech For Apartheidの広報担当者であるジェーン・チャン氏は、抗議活動に参加していない傍観者も解雇されたと説明しています。これに対して、Googleの広報担当者であるベイリー・トムソン氏は、「解雇された従業員がオフィス内で行われた破壊活動に個人的かつ決定的に関与していたことを特定しています」と説明しました。

Googleとイスラエルのビジネス関係に対する抗議活動で解雇された50人以上の元Google従業員が不法報復だとして規制当局に告訴状を提出、抗議を見ていただけで解雇されたという人物も - 画像


また、抗議活動を見ていただけで解雇されたという従業員が、匿名を条件に海外メディアのThe Vergeに対して抗議活動が行われていた当日の出来事を説明しました。同氏によると、ニューヨーク市にあるGoogleオフィスの10階にあるラウンジで抗議活動が行われていたそうで、「私がそこに着いた時、20人くらいの人が床に座り込んでいました。私は彼らの誰とも話をしませんでしたが、立ち上がったりビラを配ったりしていた別の人々とは話をしました」とのことです。同氏によると、抗議活動参加者は皆おそろいのTシャツを着用していた模様。
その後、同氏は自分のデスクに戻り仕事をこなし、17時頃に再び抗議活動を見に行き、ラウンジ付近のソファで仕事を終えたそうです。同氏は翌日いつも通りGoogle社内で仕事をこなしていたそうですが、夕食頃にGoogleから解雇通知をメールで受け取ったそうで、「Googleによる解雇は発言権を持った労働者を取り締まっているというよりも、より大雑把に解雇する従業員を選別しているだけのようです」と語りました。なお、同氏は約3年間Googleで働いており、親会社であるAlphabetの労働組合(NLRBから承認されていない労働組合)の指導部の一員でもあったそうです。
Googleのトムソン氏は、The Vergeに対して「4月16日に建物内で起きた物理的混乱を調査し、問題を起こした社員から提供された追加の詳細を調べることで、どの従業員が抗議活動に関与したかを特定しています」と説明しています。
しかし、抗議活動に参加していないにもかかわらず解雇されたという元社員は、解雇まで人事部からは一度も連絡はなく、抗議活動に参加していたかどうかを尋ねられたこともないと説明しました。同氏は「これは本当にショックでした。こんなことが起こる予兆は何もありませんでした」とコメントしています。

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なお、同氏は抗議活動を見守っていた際に、警備員からGoogleの社員証を提示するように求められたと説明しています。この時のことを振り返り、同氏は「警備員に社員証を見せてはいけないだなんて思ってもいませんでした。彼は私が働いているオフィスの警備員であり、何も悪いことはしていません」とも言及しました。

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