「Cloudflareに解雇を伝えられた際の動画」が最悪の解雇通達であると話題に

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CDNサービスの代表格であるCloudflareが、「ブリタニー・ピーチ」という名前の従業員を解雇する様子を撮影した動画が、ソーシャルメディア上で話題となっており、海外メディアのInc.comは「最悪の解雇通達である」と指摘しています。
The Viral Cloudflare Termination Video Is a Master Class in How Not to Terminate Someone | Inc.com
https://www.inc.com/suzanne-lucas/viral-cloudflare-termination-video-masterclass-how-not-terminate.html

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問題の動画は、Cloudflareの従業員であるブリタニー・ピーチ氏が、同社の人事担当であるロージー氏、さらに氏名不詳のディレクターから解雇を通達された際の会話を録画したものです。この動画によると、Cloudflareを解雇されたのはピーチ氏ひとりではなく、複数人いたことが示唆されています。
Getting fired is tough, but it’s important to handle it with dignity. Firing someone is also hard, requiring compassion and respect. Total disaster on both sides here. pic.twitter.com/ptEFQT0TTb— SMB Attorney (@SMB_Attorney) January 12, 2024

海外メディアのInc.comがCloudflareに問い合わせたところ、同社の広報担当者は「Cloudflareはレイオフも人員削減も実施していません。我々が従業員との別れを決断する時、それは測定可能な業績目標を達成する従業員のパフォーマンス評価に基づいたものとなります。我々はチームメンバーのパフォーマンスを定期的に評価し、チームにふさわしくないメンバーを解雇します。レビュープロセスや四半期ごとのパフォーマンス評価後に従業員を解雇しており、この評価に特別な点はありません」と回答しました。つまり、ピーチ氏の解雇は不況による人員削減によるものではなく、同氏のパフォーマンス不足によるものであると言及したわけです。
この動画やCloudflareの広報担当による声明から伝わってくる怪しいポイントをInc.comが指摘しています。
◆見ず知らずの人が解雇を通達すべきではない
通常、解雇を通達するのは従業員の直属の上司です。しかし、ピーチ氏は自身に解雇を通達した人事担当者やディレクターについて「全く知らない人だった」と語っています。これが大規模な人員削減などであり、ピーチ氏の直属の上司も解雇されてしまっている場合、見知らぬ人から解雇を通達されることはあり得ることです。しかし、Cloudflareは今回の解雇がレイオフや人員削減によるものではないと説明しています。さらに、Cloudflareは今回のような「直属の上司がいるにもかかわらず見ず知らずの社員から解雇を通達されること」について「標準的な慣行である」と語っています。
Inc.comは「動画の中のディレクターとロージー氏のやり取りを見れば、彼らがピーチ氏のことを知らないのは明らかです。彼らはピーチ氏が何を間違えたのかを知りません」と記し、見ず知らずの人物(解雇理由を正しく説明することができない人物)が解雇を通達すべきではないと指摘しています。

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◆本当にパフォーマンス不足による解雇だったのか?
動画の中で、ディレクターはピーチ氏に対して「2023年のパフォーマンス評価が終了し、Cloudflareの期待に応じられていなかったのが解雇の理由です」と解雇理由を説明しています。しかし、ピーチ氏が上司からパフォーマンスに問題があると言われたのは今回が初めてのことだったそうです。ピーチ氏によると、マネージャーから否定的なフィードバックを返されたことは「これまで一度もない」とのことで、ディレクターおよびロージー氏から「パフォーマンス不足」に対する具体的な説明も行われませんでした。
Inc.comは「ピーチ氏の解雇理由がパフォーマンス不足によるものであるならば、同氏がパフォーマンス不足を指摘されるのは今回が初めてではないはずです。彼女は新入社員で、肯定的なフィードバックを受けてきたそうです。パフォーマンス不足を指摘され、何の前触れもなく解雇されるようなことがあってはいけません。ピーチ氏の上司は解雇前に問題解決に取り組むべきです」と指摘。
なお、動画の中でピーチ氏は「なぜ上司がこの場にいないのか」や「なぜこれまでパフォーマンス不足に関するディスカッションが行われなかったのか」などをディレクターに尋ねていますが、明確な返答は得られていません。

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◆解雇を通達する側が回答を持っていない
会社が解雇理由を従業員に詳しく説明する必要はありませんが、解雇理由がパフォーマンス不足であるなら明確な回答を用意しておくことが筋であるとInc.comは指摘。「あなたは○○をする必要があったのに、○○をしなかった」と証明する書類が用意してあれば、問題ないとのこと。
◆正しい人員削減方法なのか?
ピーチ氏が自身のパフォーマンス不足について上司から指摘されたことはないと主張した際、ロージー氏は「あなたの上司があなたの業務について語った内容は申し上げることができません」と返してきたそうです。
Inc.comは「これはパフォーマンス不足による解雇ではないのではないかと思います。これは恐らくCloudflareが定期的に行っているのであろう『業績下位の従業員を解雇する作業の一環』である可能性が高いです。あなた自身の業績が良くとも、他がより素晴らしければ解雇される可能性はあります」と指摘しています。
「毎年業績下位5%の従業員を解雇する」といった方法が効果的なマネジメント手段かどうかについて、Inc.comは疑問を呈しています。

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◆パフォーマンス問題が発生した場合の正しい解雇方法
なお、Inc.comは従業員のパフォーマンス不足を理由に解雇を行う場合、以下の5つのステップを踏むことが重要であるとしています。
1:パフォーマンスの低下を記録
2:従業員とパフォーマンスについて複数回の会話を行う
3:上司がパフォーマンス不足について直接伝える
4:従業員に文書でパフォーマンス不足について提示
5:従業員が自分の仕事について懇願したり議論したりすることを許可しない

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