1日の食事を8時間以内に済ませる「8時間ダイエット」が心血管疾患による死亡リスク上昇と関連しているという調査結果

1日の食事を8時間以内に済ませる「8時間ダイエット」が心血管疾患による死亡リスク上昇と関連しているという調査結果 - 画像


「8時間ダイエット」は1日の食事を8時間以内に済ませ、残りの16時間は食事をしないというダイエット方法です。8時間ダイエットはカロリー制限と同様の減量効果があるという研究結果もありますが、2024年3月にシカゴで開催されたアメリカ心臓協会(American Heart Association)の会議では、「8時間ダイエットが心血管疾患による死亡リスクの上昇と関連している」という調査結果が発表されました。
Association Between Time-Restricted Eating and All-Cause and Cause-Specific Mortality
https://www.abstractsonline.com/pp8/#!/20343/presentation/379

1日の食事を8時間以内に済ませる「8時間ダイエット」が心血管疾患による死亡リスク上昇と関連しているという調査結果 - 画像


Time-restricted eating may raise cardiovascular death risk in the long term | American Heart Association
https://www.heart.org/en/news/2024/03/18/time-restricted-eating-may-raise-cardiovascular-death-risk-in-the-long-term
8-hour intermittent fasting tied to 90% higher risk of cardiovascular death, early data hint | Live Science
https://www.livescience.com/health/food-diet/8-hour-intermittent-fasting-tied-to-90-higher-risk-of-cardiovascular-death-early-data-hint
Intermittent fasting may raise risk of heart disease death, study shows - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/wellness/2024/03/18/intermittent-fasting-time-restricted-eating/
1日の食事時間を制限するダイエットは「継続的断食」と呼ばれ、カロリー制限をしなくても体重減少やさまざまな健康上の利点を得られるといわれています。中でも1日の食事時間を8時間に抑える「8時間ダイエット」は、一般的な人々にも広く取り入れられています。
上海交通大学医学部のVictor Wenze Zhong教授らの研究チームは、アメリカの成人を対象に行われているNational Health and Nutrition Examination Survey(米国全国健康・栄養調査)が2003~2018年に収集した約2万人分のデータを分析しました。被験者らは2回以上「過去24時間に摂取したすべての飲食物とその摂取時間」について回答し、心血管疾患やがんによる死亡を中央値で8年にわたり追跡されたとのこと。
研究チームは、被験者が回答した「その日最初に食事をした時間」と「その日最後に食事をした時間」から、典型的な「1日の食事時間帯」を算出しました。そして、心血管疾患やがんによる死亡率と、1日の食事時間の関連について分析しました。

1日の食事を8時間以内に済ませる「8時間ダイエット」が心血管疾患による死亡リスク上昇と関連しているという調査結果 - 画像


分析の結果、「1日の食事を8時間以内に済ませた人」は12~16時間にわたって食事をした人と比較して、追跡期間中に心臓病や脳卒中などの心血管疾患で死亡する可能性が約2倍であることが判明。すでに心血管疾患やがんに冒されている被験者でも、食事時間が8時間未満であることが死亡リスクの上昇と関連していました。
また、食事を1日8時間以内に済ませる人々はより長い時間で食事をした人と比較して、体重から脂肪や内臓などを除いた「除脂肪筋肉量」が少ない傾向もみられました。これは過去の研究結果と一致しているほか、筋肉量が少ないと心血管疾患による死亡リスクが高いという研究結果もあるため、筋肉量の減少が死亡リスクの増加につながっている可能性もあるとのこと。
Zhong氏は、「私たちは8時間ダイエットを長期間採用すると、心血管疾患や全死因の死亡リスクが低下すると予想していました」「食事時間が12~16時間の人と比べて、1日8時間以内に制限している人の方が心血管疾患による死亡リスクが高く、長生きできないという結果には驚かされました」とコメントしています。

1日の食事を8時間以内に済ませる「8時間ダイエット」が心血管疾患による死亡リスク上昇と関連しているという調査結果 - 画像


しかし、今回の研究はあくまで観察研究に基づいて相関関係を示したものであり、「8時間ダイエットをすると心血管疾患による死亡リスクが上昇する」という因果関係を示したわけではありません。また、被験者も「8時間ダイエットをしている」と回答したわけではなく、やむを得ない事情で食事を1日8時間以内に納めている可能性もあります。
スタンフォード大学予防研究センターの栄養学ディレクターを務めるクリストファー・ガードナー氏は、「時間制のダイエットをしながら質の悪い食事をすることは可能です」「被験者は皆、同じレベルの可処分所得とストレスを抱えていたのでしょうか?それとも、1日8時間以内に食事をしている人々は、3つの仕事を掛け持ちしてストレスがとても多く、食べる時間がなかったのでしょうか?」と述べ、潜在的な人口統計学的違いを含めた詳細なデータを見たいと主張しました。
Zhong氏も、今回の研究結果は特に心臓病やがん患者に対して断続的断食の注意を喚起するものの、「私たちの研究だけに基づいて時間制ダイエットの具体的なアドバイスをするのは時期尚早です」と指摘。結論を出すにはより正確な調査を行う必要があり、世界中の他の人口集団でも評価する必要があると強調しています。

ジャンルで探す