ファストフードやスナックなどの「超加工食品」がメタボや精神疾患など32項目にわたる健康への悪影響と関連していることが判明

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超加工食品は塩分・糖分・脂肪分などが大量に含まれた工業的に生産された食品であり、ジャンクフードやレトルト食品、スナックなど現代社会に普及しているさまざまな食品が該当します。アメリカやオーストラリアなどの国際研究チームが、合計1000万人近くの被験者を対象にした14件のレビューを分析したところ、超加工食品の摂取が死亡率やメンタルヘルスなど32項目にわたる健康への悪影響と関連していることが判明しました。
Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses | The BMJ
https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-077310

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Ultra-processed food linked to 32 harmful effects to health, review finds | Health | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2024/feb/28/ultra-processed-food-32-harmful-effects-health-review
現代ではジャンクフードやレトルト食品、シリアル、プロテインバー、炭酸飲料など多種多様な超加工食品の消費量が増加しており、イギリスとアメリカでは平均的な食事の半分以上が超加工食品で構成されています。特に若者や貧困層、恵まれない地域に住む人々では、約80%もの超加工食品を含む食事が一般的だそうです。
一般に超加工食品は複数の工業的プロセスによって製造されており、着色料や乳化剤、香料などの添加物が含まれています。また、砂糖や塩分、脂肪分が多く含む傾向がある一方で、ビタミンや食物繊維といった栄養分は少ないため、健康にさまざまな悪影響を及ぼすことがこれまでの研究でわかっています。しかし、超加工食品が健康に及ぼす悪影響について、幅広いエビデンスを評価した包括的なレビューは行われていなかったとのこと。

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アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学やオーストラリアのシドニー大学、フランスのソルボンヌ大学などの専門家からなる研究チームは、45件のメタアナリシスを含む14件のレビュー論文を調査して包括的なレビューを行いました。
これらの研究では、特定の食品を食べる頻度や過去24時間の食事についてのアンケートなどで超加工食品の摂取量が推定され、さまざまな健康要因との関連が調べられました。今回の研究で超加工食品との関連が示された32項目の健康要因は以下の通り。
・死亡率(全体的な死亡率・がんによる死亡率・心血管系に関連する死亡率・心臓病に関連する死亡率)
・がん(乳がん・がん全体・中枢神経腫瘍・慢性リンパ性白血病・大腸がん・すい臓がん・前立腺がん)
・メンタルヘルス(睡眠関連の有害事象・不安障害・一般的な精神疾患・抑うつ)
・呼吸器系(ぜん息・呼気性喘鳴)
・心血管系(心血管疾患イベントの複合・心血管疾患死亡率・高血圧・高トリグリセライド血症・善玉コレステロール値の減少)
・胃腸系(クローン病・潰瘍性大腸炎)
・代謝系(腹部肥満・高血糖・メタボリックシンドローム・非アルコール性脂肪性肝疾患・肥満・過体重・過体重と肥満の複合・2型糖尿病)

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分析の結果、超加工食品の摂取量の多さが、32項目の健康に対する悪影響のリスク増加と一貫して増加していることがわかりました。研究チームは、「全体として超加工食品への暴露と、死亡率・がん・メンタルヘルス・呼吸器系・心血管系・胃腸系・代謝系にまたがる32項目の健康パラメータとの間に直接的な関連が認められました」とコメントしています。
たとえば、超加工食品の摂取量が多い人は心血管系疾患関連死亡率が約50%増加し、不安障害や一般的な精神疾患のリスクが48~53%高く、2型糖尿病のリスクが12%増加するという証拠が示されたと研究チームは報告しました。
一方でエビデンスの説得力には差があったほか、超加工食品の摂取以外の要因や変数が結果に影響を及ぼした可能性も排除できないなど、包括的なレビューにはいくつかの問題点があることも認めています。また、今回の研究はあくまで超加工食品の摂取と健康に対する悪影響との相関関係を調べただけであり、因果関係を証明したものではありません。
それでも、今回の研究には関与していないユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのクリス・ヴァン・トゥレケン博士は、調査結果は超加工食品と健康への悪影響を調べた膨大な独立した研究と一致すると評価しています。
研究チームは、「超加工食品への暴露が多いほど不利な健康転帰、特に心臓代謝や一般的な精神疾患、死亡のリスクが高いことと関連していました」と述べ、人々の健康増進を目的として超加工食品の摂取量を減らすため、集団ベースの公衆衛生対策を開発する根拠を提供するものだと主張しました。

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