水を沸かすだけで飲料水中のマイクロプラスチックを90%減らせるようになることが研究で判明、ただし軟水では効果が低いかも

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中国には、水を沸かして「白湯(さゆ)」にして飲む習慣があり、これには体を温めたり飲料水を殺菌したりする効果があります。中国の研究チームが実施した新しい研究により、水を沸騰させることにはマイクロプラスチックを効果的にろ過できるようにするメリットもあることが示されました。
Drinking Boiled Tap Water Reduces Human Intake of Nanoplastics and Microplastics | Environmental Science & Technology Letters
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.estlett.4c00081
Boiling Water Can Remove 90% of Microplastics From Your Tap Water
https://www.healthline.com/health-news/boiling-water-may-help-remove-up-to-90-of-microplastics
A simple way to remove microplastics from drinking water - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/climate-solutions/2024/02/28/microplastics-drinking-water/
マイクロプラスチックの環境汚染の深刻化が指摘されるようになって久しいですが、その一方で生きた人間の肺、血液、胎盤など人体のあらゆる場所からもマイクロプラスチックが検出されており、飲み水のマイクロプラスチック汚染の懸念も高まっています。
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煮沸がマイクロプラスチックの除去に及ぼす影響を調べるため、済南大学のエディ・Y・ゼン氏らの研究チームは、一般的な水に含まれるミネラルや化学物質、そして「ナノ/マイクロプラスチック(NMPs)」を加えて再現した水道水での実験を行いました。
その結果、5分間水を沸騰させると、コーヒーフィルターのような一般的なフィルターでNMPsを除去できるようになることがわかりました。
研究チームによると、水が十分な高温になると、炭酸カルシウムが固体になってNMPsの粒子を包むため、この働きにより簡易なフィルターでも容易に除去できるようになるとのこと。

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プラスチック粒子の除去率は硬度に大きく依存しており、硬度の指標となる炭酸カルシウムの含有量が水1リットル中300mg、つまり硬度が300mg/Lの硬水ではNMPsの約90%が除去できるようになりました。一方、硬度が60mg/L未満の軟水での除去率は約25%にとどまりました。
参考までに、日本の水の硬度は(PDFファイル)平均48.9mg/Lとされています。
研究チームはメディアの取材に対し、「この研究はより多くの研究を刺激するためのものであり、マイクロプラスチックが人の健康に与える影響や、煮沸によりマイクロプラスチックの除去効果について完全に理解するには、より多くの研究が必要です」と話しました。
例えば、水の硬度は地域によって異なるほか、水質やマイクロプラスチックの量も違うため、効果にはばらつきがあります。その一方で、研究チームは水を沸騰させることには有害な微生物やウイルス、寄生虫を殺すなど、マイクロプラスチックの除去以外の健康上のメリットがあることを指摘しました。
この研究結果を家庭で試したい場合は、水を5分間沸騰させて10分間冷まし、出てきた固形物をろ過するといいとのことです。

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